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帝国VS王国 4

「くっ・・・第二射、放てぃ!」


 敵軍のあまりに非常識な動きに唖然とした将軍だったが、それも一瞬の事。すぐに気を取り直したレイ将軍はスマッシャー部隊に第二射の号令を下す。


 一斉に放たれる鉄の弾丸。殺意を秘めたソレは真っ直ぐに進軍する王国騎士団に襲いかかるが、すべて強固な盾によって阻まれた。


 それは予想の範囲内だ。


 そも、スマッシャーは強力な兵器だが練度の高い大盾部隊に対する突破力は薄い。ならばこそこの一射は投石機組み立てまでの時間稼ぎが目的だったのだが・・・。


「・・・・・・止まらない・・・か」


 8千のスマッシャーによる一斉射撃を受けた騎士団はまるで何事も無かったかのように突撃のスピードを緩めることも無く突き進んでくる。その速度は凄まじく、やがて帝国軍と激突するだろう。


 選択を迫られていた。


 このままでは負けてしまう。状況を打開する一手が必要だ・・・それが無理でも最悪の事態は避けなくてはならない。


 レイ将軍はちらりと射撃部隊を見た。


 皇帝陛下より借り受けた8千のスマッシャー。例え敗北したとてこれを無駄にすることはできない・・・ならば・・・。


「スマッシャー部隊は後方へ下がれ! 歩兵部隊前へ!」


 数の上では帝国軍の有利、しかし兵の練度では王国騎士団に圧倒的に部がある。真っ正面からの真っ当な戦で勝てない事などわかっている。しかしレイ将軍はまだ勝ちを諦めた訳では無かった。


「誇り高き帝国兵達よ! 敵は世界最強だが恐れるな! これを下せば世界最強の称号はお前達のものだ!」


 将軍に鼓舞された歩兵部隊が鬨の声を上げながら迫り来る騎士団に向けて走り出した。それを後方から見守る将軍の視線は厳しい。


 両軍の距離が縮まっていき、やがて両軍は衝突する。


 王国騎士団の強さは圧倒的だった。手にした大盾を片手で軽々と振り回して歩兵を押しつぶし、空いた手で握り締めた剣で別の兵を斬り殺す。


 一人一人が常識外れの武力を有する騎士達の軍。数倍の戦力差などモノともせずに武力で帝国兵を圧倒する。


 それを見ていたレイ将軍は大きく息を吐き出した。


(やはり・・・やるしか無いか)


 出来ればこの作戦は行いたくなかった。しかし何もせずにただ敵に蹂躙されるよりはいくらかマシだという事も事実だった。


 将軍は後方に控えていたスマッシャー部隊に指示を出す。


「スマッシャー部隊、構えぃ!」


 それを聞いて驚いた表情を見せる副官の兵。


「将軍閣下! それでは味方に当たってしまいます」


「・・・構わん。味方ごと撃ち抜いてしまえ」


「閣下!?」


 なおも食い下がろうとする副官の男に、レイ将軍はグッとその顔を近づけた。


「・・・どのみち歩兵部隊は助からん。これは勝利の為の尊き犠牲である。・・・・・・それとも何か? 貴様は必勝を期してスマッシャーを下賜して下さった陛下の顔に泥を塗るつもりなのか?」


 その異様な迫力に副官は押し黙る。将軍はフンと鼻を鳴らした。


「甘いことを言うな・・・ここは戦場だ」


 そしてキッと鋭い視線を前方に向ける。


「第三射、放てぃ!」

 

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