そのいちっ
とくにないゾ
俺には好きな人がいる。席が隣の堀田李子だ。
でも、今日は告白するって決意しても恥ずかしくなって
目も合わせられなくなって諦めてしまう。
「何とかなんねーかな~」
「どした、綾野くん?」
「な、何でこっ、ここに!?」
なぜ李子が居る!?心の声漏れてないよな。
「何でって、私もここの掃除。友達が押し付けてきたの。」
あぁ~って言うことは、もしかして俺たち二人っきり!?
しかも皆が部活で外に出てるこの時に!? こ、これはチャンス。
俺は心臓をバクバクさせながら深く深呼吸をした。ドキドキし過ぎて死にそう。
よし、今日ならいける!
「あ、あのさ、俺、言いた、、、」
その時、あぁ、何てタイミングが悪いんだ、クソが。
「あ、いたいた。李子ぉー、早く部活いこー。先輩待ってるよー?」
廊下からキュキュっと内履きの音を出して、滑り込んできたのは、
李子の親友、船崎伊吹だ。もちろん女子。
この名前だけあって、男子と間違われる事も多い。サバサバしてるし。
髪型ボーイッシュ。制服は思っての通り。
今日こそは、と思っていた告白も、水の泡。もう少しだったのに(怒)。
「で、でも、、、」
流石李子、やっぱり優しいな。しかし今の時期、掃除よりも大切な事がある。
李子にとってもそっちの方を優先した方が良いだろう。
そして僕の印象向上のため、
「いいよ、ここは俺がやっとくよ。」
と言っておく。これで綾野真尋(名前いい忘れてた)は優しいという印象を彼女に与えたはず。
でないと困る。
俺は優しく微笑んだ。
「じゃあ、お願いね」
彼女も微笑み、伊吹と部活にいった。内履きの音が廊下、そして階段に響く。
キュッと音が鳴った回数は、俺が告白しそこなった回数より少ない。
そして段々と、音は小さくなっていった。
掃除を終え、帰る準備をしに、教室へ戻る。
途中、ちりとりを片付け忘れた事に気付き、急いで戻った。
窓から見えるオレンジ色の光。黄金に輝く雲はまさにパル○ナの鏡の雲。
意識が段々吸い込まれていく。そんな感じがした。
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