表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/16

9.

 テストも終わりすっかり穏やかな心持ちになった僕と遼は放課後の教室でだべっていた。他にも数人の生徒が残っていたが皆勉強しているようで、静かな空間が出来上がっている。

「そろそろ帰ろうか」

僕が言いだして二人して立ち上がったその時、教室の後ろのドアから一人の女子生徒が現れた。

白鳥佳澄だと気づき遼の方を見る。どうやら話しかけるか、かけまいか悩んでいるようだ。

「水谷ゆい……」

彼女とすれ違い、そのまま帰ろうとしたとき唐突に名前を呼ばれた。まともに会話もしたこともない人間に呼び捨てされて少し驚き、彼女の顔を見るといつも通りの美少女がそこにいて見とれてしまう。

「白鳥さん、こんにちは。俺の名前分かる?」

遼がここぞとばかりに話しかける。

「久住遼君?」

「覚えてくれてたんだ」

遼は嬉しそうだ。

「ゆいに話があるのだけど」

何故僕だけ呼び捨てにされているのだろうか。失礼な奴だと思いつい口に出してしまう。

「なんで呼び捨てなの?」

美少女の顔が少し歪みそして口が開く。

「ごめんなさい。やっぱりいい」

彼女は俯き僕たちから離れていった。





 また夢を見る。漆黒の中に佇むその少女は白鳥佳澄だった。学校で一言二言話しただけで夢にまで出てくるなんて、僕は彼女に惹かれているのだろうか。僕も他の男子共と同類だなと思っていると彼女は言葉を発する。

「私は何の為に生きているの?」

何を言っているのだろうか彼女は。

「私たちは何の為に生きているの?」

いい加減にして欲しい。可愛い顔して頭もよくてクラスでも注目の的の彼女に苦悶する権利なんて無い。



 「あなたは何の為に生きているの?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ