5.
朝補習が終わりすこし目を瞑るが周りの喧騒のせいで全くリラックス出来ない。今日は転入生が来るのだ。僕も心のどこかで少し楽しみにしているのかもしれない。
教室に担任が入ってくる。そしてその後ろから一人の女子生徒が現れた。
「みなさん、おはようございます。いきなりですがまずは転入生の紹介です」
女子生徒が顔を上げる。肩より少し下まで伸びる長い髪と大きな目。可愛いなとついじっと見てしまう。
「白鳥佳澄です。よろしくお願いします」
透き通るような綺麗な声だった。教室の中がざわめき始める。彼女は窓際から二列目の後ろの方の席に座った。
昼休み僕と遼は共にご飯を食べる。遼は弁当、僕はコンビニで買ったパンだ。
「しかし白鳥さんほんと可愛いな」
僕は珍しく遼のこの下世話な話に同意した。
「休み時間も人だかり出来ていたけど今もすごいね」
佳澄という少女の周りには主に女子たちがお昼を誘う目的で集まっているようだ。
「俺もお近づきになりたいなあ」
「そのうち機会が巡ってくるといいね」
教室にいる男子たちも転入生に目を向けている。そのうちと言ったがその機会は当分来ることは無さそうだ。