19;奴隷とハルト
「宣戦布告はこんなもんかな?」
”我はフェンリル、名をエルンスト・カジミール”
”我は宣言する、我こそが魔王である”
”我は魔王城にいる者、全員の魔王場から出て行くことを命ずる”
「魔国に響き渡るエルンストの声!いいね!」
之奈がわくわくしているのが解る
『マスターこのような多くの兵をありがとうございます。』
そして、魔族領の平原には10万を越す兵が
「彰のスケルトンあれ中位だよね・・・鎧ミスリルじゃん・・・こんなに一杯」
「50年貯めてた素材フルに使った!防具と剣、作ったのはハルトだけど、俺は素材提供しただけ」
「魔物の軍隊の中に天使が居るのは異常だろ」
ルシフがあきれる
「大丈夫よ<自愛の父>のスキルがあるから従うから、私も始めて召還したのが中位召還獣で天使が召還できるなんて知らなかったわ」
「なんか皆凄いのに私だけ、メルトスライムの分身で申し訳ない・・・」
『「「「・・・どこが?・・・」」」』
「あれはやばいね、一瞬で相手を蒸発させる溶解液を放つ、剣の効かないモンスター怖っ」
「弱点の魔法も耐性つけたんでしょ?」
『我の眷属にも耐性付けてくださりありがとうございます。』
ウォーウルフ(尻尾が二股の中位魔獣)
「ま、一番えげつないのはハルトか?」
「200レベ平均のワイバーン・・・空からこれで攻撃されたら・・・」
「人化も出来る、知識のある指揮系の魔獣だ!いろいろ使ってやってくれ」
「それで私たちはこれからどうするの?此処に私たちは今は要らないよね?」
「人間の町に行く、魔国制圧は数ヶ月?いや数週間で終わるだろ?我らの干渉はその後だ。任せたぞエルンスト・カジミール!」
『はい、マスターお任せください』
ハルト達は人間の街に入った
「結界は結構立派なの張ってるわね、でも既視感が・・・」
之奈が不思議そうな顔をする。
「私の魔力ね・・・・」
花音が溜め息を吐きながら言う
「花音の魔力が込められた魔石はどれくらい在庫あるんだろうな」
入場審査を終え、門をくぐっているハルト達
ガラガラガラ
勢い良く横を幌馬車が通っていった
「危ないな!」
「教会の紋章あるわね・・・中身はありえない物だけど・・・」
ハルトが花音を庇うように抱きしめている、その腕の中で花音が言った
帆で見えないが、ハルト達は気配で感じ取れた。
「奴隷?獣人が多いわね、差別国家で他の種族は居ないんじゃ?」
「此処に来た理由がこれだ」
之奈に答えるようにハルトが言う
「教義に奴隷禁止!入れといたんだけどなぁ・・・」
「そうよね、無視?」
「獣人には魔力は無いが、体は丈夫だからな、鉱山で働かせるにはちょうどいいんだ」
「この町には鉱物系のダンジョンが幾つかあったはず」
「ダンジョンは1つだよ、入口が多くてアリの巣のように複雑に絡みあっているんだ、鉱物の他に宝石も多く発掘されている」
「奥まで行くと帰ってこれないって言われているわね、だから浅い所しか攻略されて無いはずよ」
「詳しいな、花音」
「クソ共が来ないとき、暇だったから、新聞や雑誌、本読むしか暇つぶし無かったのよね・・・」
「・・・・・・」
「結構、私に見られたらまずい所、塗りつ潰されてたけど・・・」
花音の村の制裁のニュースは戒めとして報じられていたが、花音の目には入らないようにその部分は切り取られるか、塗りつぶされていたらしい、3人は黙ってしまった。
「いやね、そんな暗い顔しないでよ、ばばさまたち笑顔で逝ったんでしょ?本当に素敵な家族だったわ」
「ああ、皆花音のことを思ってたよ」
「着いたぞ教会だ」
彰がフードを改めて深く被り言った
「二人とも体調は大丈夫か?」
「「花音の魔力は体になじんでるから大丈夫だよ」」
魔物の二人は聖域である教会に入っていった。
本来なら魔物は浄化されるべき、力の源である聖域ではあるが、
花音の血を飲んだ彰に、ハルトの眷属の之奈は平然としていた。
ただ、ルシフは・・・・
HP1・・・・で気絶中である。
「嫌な気配・・・糞どもと同じ匂い(気配)がするわ」
「ダンジョンの入り口の一つが教会の地下にもあるみたいだな」
花音が嫌な顔をして手で口を覆った
「血の匂いがする」
そう言ったのは彰だった。
「司祭が来たぞ」
教会の正面の煌びやかな台座にそれはすごい宝石をまとった男が現れた
「あの男から血の匂いがする・・・」
「ああ・・・洗ってはいるが手にべっとりとルミノール反応があるな」
「ハルト・・・そんなのも見えるの?・・・」
呆れる之奈、そしてぎゅっとこぶしを握る4人だった。
なにやら司祭が説教を始めたが4人はろくに聞いていなかった、もっぱら地下に意識を向けて探っていた。
「子供も入れて400人ってとこか・・・」
「命の危ない人も要るわ、ハルト!」
「花音・・・・泣きそうな顔をするな、大丈夫すぐ行動しよう」