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氏神物語  作者: 斧竹石
4/12

新たな生活

弐栞姉妹が伸二の家に住むことになった日の翌日。


携帯で設定していたアラームで京達は目を覚ました。


「そういえば、いつも朝ご飯は何時からとか伸二に聞いて無かったな。・・・・・・まあ、出来たら起こせばいいか」


昨日は何かと忙しかったので、京は聞いておくべきことを忘れていた。


「お姉ちゃん、今何時?」


叶はまだ寝ぼけているようだった。眠たそうに目をこすりながら京に聞いた。


「7時、朝ごはんの用意するけど?叶はまだ寝てる?」


「ううん・・・・・・私も手伝う」


朝食の準備の前に二人は顔を洗いに行くことにした。


洗面所にいくと、すでに起きていたようで伸二が顔を洗っていた。


「おはよう、眠れた?」


歯ブラシで歯を磨きながら伸二が言った。


二人も「おはよう」と朝の挨拶をする。


「屋根があるからな」


伸二の問いに京は冗談半分でそう言ったが。


(笑えないよ・・・・・・)


と、京の冗談にどう反応していいか伸二は困った。


叶ちゃんもよく眠れた?と伸二が未だ寝ぼけている叶に向かって言っていた。


叶は言葉を発さずに頭だけ縦に振る。


まあ、この寝起きの顔を見れば一目瞭然か。と伸二は思った。


「それは、良かった」


伸二は満足気に頷いた。


「今から朝ごはん作るけど・・・・・・遅いか?」


「ううん、大丈夫だよ」


「そうか、分かった。じゃあすぐ作るから少し待っていてくれ」


二人も顔を洗い、それが終わると朝食を作り始める。


しばらくして、朝食が出来上がる。


朝食を食べていると、カップを片手に伸二が二人に言った。


「昼頃から出かけるから、それまで家事お願いします」


朝食を食べ終わると伸二はさっさと部屋に戻ってしまった。


食器を片付け終わると、京達は家事の役割分担を始めた。


「それじゃあ私は洗濯してくるから、叶は部屋の掃除をお願い」


「はーい」


京は洗濯に、叶は掃除をすることにした。


「こっちが終わったら、そっち手伝いにいくから」


洗濯は早く終わりそうなので、終われば京も掃除をすることにした。


さっそく掃除に取り掛かる叶。


「それにしても・・・・・・この家凄く広いなあ、取り敢えず順番に掃除機かけていこっ!」


そういば何処に掃除機あるのだろう?と叶は思い、伸二に聞きに行くことに。


その頃京は洗濯に取り掛かっていた。


朝食前に洗濯機を回しておいたし、なので洗濯物を干すだけだった。


洗濯機から洗濯物を取り出していく・・・・・・。


当然伸二の下着も入っている訳で、それを手に取り京は少し手を止める。


「・・・・・・き、気にしなければ何の問題もない」


少し顔を赤くしながら取り込んでいく。


ベランダに行って洗濯物を干していった。


洗濯物を干し終わると、京も掃除に取り掛かる。


掃除機をかけるだけなのに、家が広すぎて二人がかりで1時間以上かかった。


「疲れたよー」


「ああ、本当に広いな」


掃除が終わると二人は床に座り込んでいた。


そんな所に伸二がやってくる。


「二人共お疲れまさ、ちょっと休憩したら買い物行こうか」


しばらく休憩して、家を出る。


今度は少し遠出するよ、と伸二が言った。


30分程電車に揺られていた。


「伸二君、今日は何を買うの?」


と叶が何気なくシンジに聞いた。


「家具だよ、机とかベッドとかね」


一人暮らしで伸二の部屋以外には物が置かれていない。フローリングに布団を敷いただけでは体が痛いのではないかと伸二は思っていた。


目的の駅から歩いた所にあるホームセンターに向かった。


「じゃあ僕ちょっと用事あるから、二人で選んでて。1時間ぐらいしたら戻ると思うけど、何かあったら携帯に連絡してね」


伸二はそう言って、どこかに行ってしまった。


二人はそれぞれ必要であろう家具を選び、伸二が戻ってくるまで待っていた。


そして1時間後。


伸二は何やら袋を片手に二人の元に戻ってきた。


「お待たせ、二人とも選び終わってるよね?」


二人は頷いた。


「それは?」


と京が伸二の持っている袋を指さして京が言った。


「気になる?」


叶ちゃんも気になるのかこっちをむいていた。


「帰ってからのお楽しみ」


ニヤニヤと伸二は不適な笑み浮かべる。


会計を済ませ、翌日には届くよう郵送の手続きをした。


「次は学校で使うもの買いに行こうか」


筆記用具やノートなどを学校に行く上で使う勉強道具などを購入した。


昼食もまだだったし、せっかく遠くまで来たので、僕らはいろいろ見て回ってから帰ることにした。


家に着いた頃には8時を回っており外はすでに真っ暗だった。


帰ってからすぐ、京は近くのスーパーまで買い物に行った。


京が家を出てすぐ伸二は京が財布を忘れていることに気づいた。


昨日の輩は追い払えたと思うし・・・・・・大丈夫だろうと、伸二は叶に財布を届けるように頼むことにした。


「叶ちゃん、京が財布忘れたみたいだから届けてきてくれないかな?」


「うん、分かった。じゃあ行ってくるねー」


「いってらっしゃい、何かあったら連絡してきて」


それから10分後・・・・・・。


伸二の携帯に着信があった。


画面を見ると叶からで伸二はすぐに電話に出た。


「もしもし?叶ちゃんどうしたの?」


「お、お姉ちゃんが!助けて!」


まさか昨日の奴らがまだ・・・・・・?追い払ったはずなのに。


「叶ちゃん?そこ動いちゃダメからね?すぐ行くからそこでまってて!」


「う、うん」


電話を切り伸二は急いでスーパーの方へ向かった。


~数分前~


スーパーに来たものの財布を忘れてきたことに気づいて引き返すことにした京。

「はあ・・・・・・・財布忘れた。・・・・・・携帯も忘れたし、一旦帰ろう」


・・・・・・・・・。


昨日の京が不良たちに絡まれた道、やっぱり暗い。


不安が募ってきて・・・・・・少し小走りになった。


通りを抜けようとしたその時。


「お~い!待ってよー!」


後ろから声が聞こえた。


振り返ると、所々に包帯を巻いた不良連中のリーダー上宮と、昨日よりかなり人数が増えた不良たちの姿が見えた。


ざっと見ただけでも30人はいた。


それにそれぞれ鉄パイプやゴルフクラブ、金属バット等を手にしている。


「あら?昨日のおにいさんはいないのかな?」


上宮が言う。


へへっ・・・・・・と下賎な笑みを浮かべながら上宮が京に近づいてくる。


「あの野郎殺してやるつもりだったけど・・・・・・まあ良い、それならそれで、あんたに楽しませてもらおうか!」


上宮は京の服を掴みかかってくる。


「や、やめろ!触るな!」


「いいねえ!嫌がってるのを無理やりってのがたまんねぇ!」


上宮が京の服を無理やり引きはがされ、京の肌が顕になる。


「うおおっ!最高だぜ!」


「上宮さん!やっちゃってください!」


不良連中が場をはやし立てる。


上宮が京の下着を外しにかかろうとした時。


「やめて!!!!!!!」


電柱の影に隠れていた叶が叫んだ。


「お姉ちゃんから手を離して!」


「ん?なんだあぁ?」


上宮を含め、不良たちが叶の姿を捉える。


「きょ、叶なんで!?」


「おい!お前ら!そいつをここに連れてこい!」


上宮が命令し、不良たち4~5人が叶を捕まえにかかった。


「叶!逃げて!」


「いや!こ、こないで!」


叶は必死に逃げた。


しかし、すぐに追いつかれてしまった。


男と女では体力も脚力にも差がある。


「やめて!」


叶は恐怖から目を閉じた。


「いいからこいよ!・・・・・・なんだ、お前?」


一人の輩が叶の腕をつかもうとした。


「うわああああああああああああ!!!!」


しかし、叶の腕は誰にも掴まれることなく、不良たちの叫び声が聞こえる。


叶は恐る恐る目を開けてみた。


すると、目の前には伸二がいて、叶を追いかけてきた連中はすぐそこで地面に這いつくばり気絶していた。


「叶ちゃん?大丈夫?」


伸二が優しく笑い、叶に手を差し伸べる。


「私は大丈夫、それより・・・・・・お姉ちゃんを助けて!」


「大丈夫心配ない、叶ちゃんは先に帰ってて。良いね?」


「うん、分かった・・・・・・」


叶を家に帰し、伸二は京の所に向かった。


~その頃~


「あいつらいつまでかかってんだよっ!」


上宮は自分の手下が向かった方法に向けて言った。


「まあ良いか、こっちはこっちで楽しませてもらおう」


上宮は下衆な笑みを京に向ける。


「い、いや・・・・・・やめろ!」


「へへへ・・・・・・どうやら昨日の兄ちゃんはこないみたいだな?ラッキーって言えばラッキーだが、あいつをぶち殺してやりたかったところだぜ!」


上宮が京の腕を掴んだ。


その時。


上宮が京に迫るのを見ていた不良たちの何人かが叫び声を上げて吹っ飛んだ。


「あ?」


吹っ飛ばされた連中のそばに伸二が立っていた。


「伸二!!!」


「またお前か・・・・・・惜しいな、昨日のアレが最後のチャンスだったのに。恨むなら自分を恨め」


伸二は上宮に向けて言った。


「へへっ・・・・・・ようやく登場だあ!!!昨日のお返しをたっぷ・・・・・・ぐあああああああああっ!」


気がつけば伸二が上宮の隣にいて京を掴んでいた腕を蹴り飛ばした。


上宮の腕はあらぬ方向へ曲がっていた。


「う、腕が!!!腕があああああああああっ!!!」


上宮が腕を抑えて不良連中の後ろに隠れた。


伸二はしゃがみこんでいた京の元に駆け寄り、自分の着ていた上着を羽織らせた。


「京?大丈夫?」


「きょ、叶は!?」


「大丈夫、先に家に帰らせてる」


「そ、そうか・・・・・・良かった」


「京、少し下がって」


伸二は不良連中を睨んだ。


「お、お前ら!さっさとあいつを殺せ!!!!!!」


上宮が叫ぶ。


不良連中が雄叫びを上げながらそれぞれ持っている武器を振り回してきた。


伸二は正面から相手にし、ゾウがアリを相手にしているように簡単に連中を倒した。


「せっかくのチャンスだったのに・・・・・・」


20弱の男が地べたに這う中、伸二は上宮に向けて言った。


「ひいいいいいいいいい!すんません!すんませんした!」


・・・・・・さて、どうしたものやら。


携帯を取り出し伸二は電話をかけた。


「もしもし?あ、どうも、ご無沙汰です。あー、いえいえ・・・・・・」


一人電話を手に紳士的に話す伸二に、自分がどうなるのかと、上宮は戸惑っていた。


「いえ、個人的な用事で・・・・・・あー、はい、えーっと昨日いたのは7人かな・・・・・・?」


伸二が相手の返答を聞き。


「助かります。では後ほど・・・・・・」


と言い、伸二が電話を切ると。


「オレらは?」


上宮が心配そうに伸二に聞いた。


「僕はどんな人間にも必ず一度はチャンスがあると思う。でも・・・・・・そのチャンスまでも踏みにじるのならもう先はない」


それじゃしばらくここで眠っているといい、そう言って伸二は上宮の首に手刀をし、気絶させた。


離れたところで待たせていた京に駆け寄る伸二。


「京、もう大丈夫だから」


「私、お前が来なかったら・・・・・・」


京は今にも泣きそうな表情で言った。


「大丈夫、大丈夫だから」


僕は震える京の体を優しく抱きしめた。


「も、もう大丈夫だ」


少しだけそうしていて、京は少し顔を赤くして言って伸二から離れた。


「そっか、じゃあ帰ろう」


伸二は京を連れて家に戻った。


玄関を開けると叶ちゃんが待っていた。


「お姉ちゃん!良かった、無事だったんだね!」


叶は京の胸に飛び込んだ。


「それじゃあ、僕は買い物済ませてくるから、ちょっと待っててね」


「ああ」


伸二はまたスーパーに向かった。


小走りで先ほどの場所まで行くと、そこには一台の黒い高級車と大型トラックが止まっていた。


伸二がその場に現れると同時に一人の男が車から出てくる。


車から出てきたのはサングラスをかけた40代程のえらくガタイの良い男。


身長伸二り高く190cm近くある。


左目には額から縦に首のあたりまで、おそらく刃物類で付けられたキズがあり、全身真っ黒なスーツを着ている。


彼の名前は花木宗。花木組の次期組長である。


宗の付き人が宗に話しかける。


「頭、このガキ共運べばいいんですね?」


一目見ただけでも、その筋の人だと分かってしまう。見た目と威圧感。


宗は頷き、渋い声で言う。


「銀次郎、頭はやめろ・・・・・・」


伸二は宗の元へと手を振ってかける。


「どうもご無沙汰です、宗さん」


宗の前に伸二がやってくると。


「どうも、伸二さん」


宗は、ご無沙汰しています。と深々と頭を下げた。


「すいません急に呼んで」


「いえ、伸二さんがお困りとあればいつでも」


「悪いね・・・・・・親父さんは、元気?」


「えぇピンピンしてますよ」


「そうですか・・・・・・それじゃあ、後のことはお願いします。あ、親父さんによろしく言っておいて、6代目」


からかう風に言うと苦笑いしながら「伸二さんまで、やめてくださいよ」と言って、宗と銀次郎、トラックから出てきた数人のその手の人たちによって、地べたに倒れた不良たちをトラックに積み込んで行く。


彼は次期組長でありながら、自分の事をそういう風に呼ばれる事をあまり好ましく思っていない。


誰にでもチャンスは一度ある。


昨日京を襲った不良たちにはまだチャンスがあったのに、それを自分の手で踏みにじってしまったので、残念ながらおさらばしてもらうことになる。


彼は次期組長でありながら、自分の事をそういう風に呼ばれる事をあまり好ましく思っていない。


その場を宗たちに任せ、伸二はスーパーへと走った。


さっさと買い物に行かないと。


適当に出来合いのお惣菜などを買って帰宅した。


「ただいまー」


「おかえり」

「おかえりなさい」


と二人が出迎えてくれた。


京はもう落ち着いているようだ。


「ごめんね?もうあんな思いさせないから」


「良いんだ、ありがとう」


「じゃあご飯にしようか」


夕飯を食べ終え、伸二は自室に戻った。


京達は洗濯物を取り込み、お風呂に入っていた。


「二回も助けて貰った」京はふと呟いた。


「二回って?もしかしてお姉ちゃん・・・・・・」


叶を心配しないように隠して置くつもりだが、もう終わったことだと話すことにした。


「実は昨日もあの連中に襲われそうになった所を伸二が助けてくれたんだ」


「そうなんだ・・・・・・すごいね、伸二くんって」


「ああ、そうだな」


「じゃあ私先に上がってるね?」


「ああ、私もすぐ上がる」


叶はお風呂が空いたことを伸二に伝えに言った。


「伸二くん、お風呂空いたよー」


伸二は部屋でくつろいでいると、と叶ちゃんが教えに来てくれた。


「汗かいたから早くシャワー浴びたい・・・・・・」


伸二はすぐにお風呂場に向かった。


お風呂場のドアを開けようとした瞬間、内側からドアが開かれ・・・・・・。


「叶、パジャマ持ってくるの忘れたから・・・・・・」


脱衣所から京が下着姿で出てきた。


「きゃああああああああ」


京は後ろを向いて叫んだ。


「うわあああ!!!ご、ごめん・・・・・・?」


さっきのスーパーの時は気づかなかったけど、全身に浅い傷から深い傷まで切り傷に火傷・・・・・・異常なまで傷がある・・・・・・。


「その傷・・・・・・」


伸二は気づいたら京の背中にある一際大きな傷に触れていた。


「ここまで・・・・・・」


伸二は様々な感情が溢れた。


怒りや、悲しみ・・・・・・。


伸二無言で京後ろからを抱きしめた。


「辛かった?・・・・・・ずっとここに居ていいから」


「うんっ・・・・・・うっ、うぅ・・・・・・!」


京大粒の涙を流した。


少しして自分が今とっている行動に気ずき慌、伸二は慌てて飛び退く。


「ご、ごめん!つい、その・・・・・・」


「いいんだ。ありがとう」


京が涙を拭い、笑顔で言った。


京が自室に戻り、伸二はお風呂に入った。


湯船に浸かり伸二は少し、ぼーっとしていた。


「傷があそこまでとはな・・・・・・」


京の傷について考えていた。


「叶ちゃんも同じなんだろうなあ」


町田塔子という人に会う前にあの子達と出会うことが出来ていれば・・・・・・とそんなことを考えていた。


・・・・・・あ。


「そういえばあの薬もらっていたのをすっかり忘れていた。・・・・・・それにしても本当に効くのかな?」


伸二はお風呂を出て二人をリビングに呼んだ。


そうして伸二は昼間買い物の時に二人が気にしていた袋を持ってきた。


「そういえば、それなんだったんだ?」


「私も気になってた。伸二くんそれなに?」


「実はね・・・・・・」


と、袋を開けて中に入っている瓶を伸二は二人に見せた。


透明な瓶の中には白い液体が入っていた。


「これは傷を消す塗り薬なんだ。京に会った時から顔の傷が気になっててさ、学校に行くわけだから、できれば消せたらいいなあ?なんて思って友達にもらってきたんだ」


「京、ちょっとこっちに座って」


とリビングにあるソファに腰掛けている僕の前に京を座らせた。


「じゃあ塗るよ?」


僕は手に少しなじませてから、京の顔にある傷に塗っていった。


「そのまま10分待って」


「うん」


ビックリしてもらうため叶ちゃんには目を瞑っていてもらった。


・・・・・・10分後。


(え?・・・・・・半信半疑だったけど、これ実は物凄い代物なのじゃないの?)


伸二は友達に貰ってきた試作段階だという薬品の効力を見て驚く。


「京、鏡で見てみて!」


京はまだ疑問に感じながらそっと鏡を見てみた。


「き、消えてる!傷が消えてる・・・・・・すごい」


京は傷があった場所を手でなぞりながら傷が消えているのを確認した。


「叶ちゃんも目開けて見てみなよ」


叶はゆっくり目をかけて京の顔を見る。


「すごい!!!」


「うん・・・・・・この傷気になってたんだ、ありがとう」


「良かった、良かった」


伸二は満足気に頷いた。


「後で体にも塗るといいよ」


そうそう・・・・・これも忘れない内に渡しておかないと、伸二はあるものを取り出す。


「あ、これ書いて」


伸二は身長や体重、スリーサイズ、靴のサイズ等の記入欄がある用紙を二人に渡した。


「これは?」


「二人の制服と靴を用意しないといけないからね」


メジャーも渡しておいた。


「身長と体重はお風呂場にあるからそれを使って。書けたら持ってきてね、僕は部屋にいるから」


居ると邪魔だと思って伸二は部屋にて待機した。


さっそく二人は測定を始め、10分程度で測定は終わり。


紙に記入して伸二の所に持っていくことに。


各項目が書き込まれた紙を見て伸二は迷う。


「うーん・・・・・・これ見ちゃっていいのかな?」


「私は構わない」


「私も・・・・・・今は良いよ」


二人とも町田塔子の所にいた時はろくな食事をしてなかったらしいから、多分体重を気にすることは無いのかもしれないな。


「うん・・・・・・二人とも大分体重が軽いね。まあそのうち戻っていくかな」


まあ気にすることはないだろう。


「それじゃあ今から発注するから、明日の夕方にはつくと思うよ。僕は明日から学校だけど、二人は明後日からだから、一日だけ我慢してね」


じゃあ、おやすみ


と二人に言うと、何故かか二人は部屋から出ずに顔を赤らめていた。


沈黙。


「「これからもよろしくお願いします」」


二人は同時にそう言って、京は左側に、叶ちゃんは右側にそれぞれ僕を挟むように立った。


そして・・・・・・・。


「「ありがとう」」とまた同時に言って、二人は伸二の頬にそれぞれキスをした。


「・・・・・・」


伸二は突然の二人の奇行に放心していた。


「それじゃおやすみ」と二人は逃げるように伸二部屋から出て行った。


少し顔を赤くしながら伸二はベッドに横になった。


その頃自分たちの部屋に戻った二人も、今さっきの行為に恥ずかしそうに顔を染めていた。


「や、やっちゃったね・・・・・・」


「ああ・・・・・・流石にあれは恥ずかしい」


「お姉ちゃん顔真っ赤だよ」


「叶だってそうだろ」


二人は笑って布団に入った。


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