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R E D - D I S K 0 4  作者: awa
CHAPTER 06 * CATCH ME IF YOU CAN
44/198

○ Transformation

 ベラはナンネに電話したあと、アニタにも連絡を入れ、エルミを連れてセンター街に来るよう言った。

 浮気話にさすがに同情したチェーソンは、フリーの女を呼び、トッシュを飲みに連れていくことにした。バスで帰るという選択肢しか残されなかったレジーとパーヴォは、ベラにつきあってナンネたちに事情を説明するという口実を作った。ひとまずセンター街へと送ってもらう。

 センター街、待ち時間にクレープを食べると言いだしたベラにチェーソンが便乗、彼の奢りでクレープを買い、バス・ステーションの近くにあるパーキングエリアでクレープを食べた。トッシュはそれどころではないらしく、ずっと車内に引きこもっている。

 「なんで浮気ってこう、自分がするのはなんも思わねえのに、されたらムカつくんだろうな。あと、ツレがされたってのもなんかムカつく」

 車体にもたれるチェーソンが言った。ベラは呆れ顔を返す。

 「ねえ。それはただの自己中よ」

 「お前はしねえの? 浮気」

 「浮気の基準を教えてください」

 「微妙。あいつイイ男、とか、気持ちが揺れるとか言われたらそれだけでムカつくし、イチャこいてんのもムカつくし、キスはあからさまだろ。ヤるとか論外」

 「でも自分は、あの女いいオンナーとか、喰えるもんなら喰いてーとか、平気で考えたり言ったりしてるわけよね」

 「そりゃな。男だし」

 「それを理由にするのは卑怯。男だから許されるってわけじゃないのに。男がするなら女もする。なんで男ってそう、男だからどうとかいうのを言い訳にするの?」

 身に覚えのある質問に、チェーソンは真剣に悩んだ。そして真剣な表情で答えを出した。

 「男だから?」

 四人は笑った。

 「ベラ?」

 通りから声をかけられ、振り向いた彼女は次の瞬間、かたまった。パーキングエリアを囲む柵の向こうに、ティリーとダリル、エフィ、そしてケリーがいる。

 なぜいるのだろうだと思いつつ、ベラはひとまず質問した。「なにしてんの?」

 ティリーが答える。「なんとなく、ぶらぶらしてる。そっちはなにしてんの」

 「友達待ってんの。もうすぐ帰る」

 「へー。ま、行くわ。んじゃねー」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 チェーソン、トッシュと別れたあと、ベラはアニタたちと合流した。奢ることを了承してムーン・コート・ヴィレッジの地下にあるフード・コートのファミリーレストランに入る。そこで夕食をとりつつ、レジーとパーヴォの三人で、ジョンアのことを説明した。ほとんど呆れしか返ってこなかったが、自分たちより男を優先させたあげくそういうことになったということに対しては、ナンネとエルミは内心、自業自得だとも思っているようだった。

 デザートを待っている時、レジーが隣のテーブルについているナンネに切りだした。

 「今さらだけどナンネ、ちょい痩せた気が。気のせい?」

 絶賛ダイエット中の彼女は反応に困った。「わかんない」

 パーヴォが訊く。「お前さ、メイクしねーの? いや、エルミもしてねえか。たぶんエルミはそれほど変わんないと思うけど、ナンネはかなり変わる気がする」

 アニタが口をはさむ。「してあげよっか、とは言ったんだよ。けどいいっつって。たぶん信用されてないね、あたしの腕」

 「変わると思わね?」パーヴォが隣に座っているベラに訊く。「どうにかすりゃ、ヤンギャルみたいになる気がするんだけど」

 「なにそれ。いじれっつってんの?」

 レジーが言う。「お前はメイク濃くなったよな。原形なさすぎ」

 無視して、ベラはナンネの顔を観察しながら少し考えた。“アフター”をイメージした。“ヤンギャル”というのは間違っていない気がした。今の体型のまま当てはめられる系統というのが、それしか思いつかないのだろう。

 「先に服買いに行こうか。また誕生日プレゼントの先払い。開いてたら、ウェスト・アーケードの古着屋。開いてなかったらそこらへんで」

 アニタが便乗する。「お、やる?」

 「金渡すから、あんたはエルミ連れてメイク道具買ってきて。一式。チョイスはまかせるけど、ピンクとかオレンジ系」

 顔をそむけてエルミがつぶやく。「いつもナンネとジョンア優先」

 ベラは特に気にしない。「あんたの誕生日はまだまだでしょ。欲しいなら余った金でメイク道具買ってもいいけど、あんたはメイク映えしないだろうし、そこまで時間ないだろうから、自分で勝手にやって」

 数時間後、ナンネはパーヴォの言う“ヤンギャル”へと変貌した。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 ティリーたちとゆっくり話す時間ができたのは、十二日の昼休憩時間だった。そこにはやはり詮索が待っていた。チェーソンたちとどうやって知り合ったかと訊かれても、さすがに“カツアゲされたのがきっかけで”とは言えなかった。

 「もしかしてメル友とか?」

 ケリーの質問はいつも嫌味が混じっているように思える。どういう答えを返せばいいのか、ベラにはよくわからない。

 「プラージュのこと言ってる? そのサイトなら知ってるけど、ヒト捜しにちょっと使ったことがあるだけで、そういうのはキライだし、そんなことする趣味も暇もない。ナンパで知り合った男友達は何人かいるけど、あの三人はそういうのとも違う。ふとしたきっかけで下の二人と知り合って、また会う機会があって、気づいたら友達になってただけ。いちばん年上のは二人の先輩で、友達の友達でもあるってだけ」

 ティリーがケリーに訊く。「プラージュ、あたしも存在は知ってるけど、使ったことないんだよね。使ったことあんの?」

 一瞬、彼女は答えを悩んだ。「友達が使ってた」

 「へー。そんなに出会えんの? あれ。なんか怪しそーだけど」

 ダリルが応じる。「あたしの地元ではわりと流行ってたよ。わりとって変だけど、たまに暇潰しに使ってる奴いた。女が投稿するとさ、男からのメールが半端ねーの。ツレが投稿した時、メール届きすぎで携帯電話爆発すんじゃないかと思ったもん」

 ベラにも覚えがあった。「あんなのにハマるの、よくわかんない。メールぐだぐだ打ってなにが楽しいんだっていう」

 「ベラは暇潰しどころか、普通に送ったメールも返してくれないしな」とティリー。

 「けどベラって、顔広そうだよね」ダリルが言った。「実際どのくらい年上まで知ってんの?」

 「よくわかんない質問するわね。よく行く店の店長なら、三十代とか四十代くらい? ぶっ飛んで六十歳くらいのヒトも知ってるけど」

 彼女が笑う。「ちょっと違げーよ。ツレって意味で」

 ディックたちは今年三十代、ベラにとっては“友達”なのだが、話してすんなり受け止めてもらえるのは、パッシあたりが限界かと考えた。

 「んじゃ、二十四歳とかかな。今年二十五。それからちょっと下がって、今年二十一とか──十九歳とか? べつに顔が広いってわけじゃない。顔の広い友達がいたら、そいつと遊んだ時に他のとも知り合うってだけ。めんどくさいから、そんな話そうと思わないんだけど」

 「そんなに? あたしツレって言えるの、今年十九になるのが最高だわ」

 続けてティリーがベラに質問する。「二十四とか、話すことある? ぜんぜん話噛み合あわなさそーなんだけど」

 「そう? 普通に話す。仕事の愚痴聞いたり愚痴聞いたり愚痴聞いたり」

 三人は笑ったが、ケリーは愛想笑いだった。

 「そういやエフィがさ、昨日の──」ティリーがエフィに言う。「どっちだっけ」

 「二番目に背の高いほう。ちょっと色が黒めの」

 「そうそう、あれがちょいタイプなんだって」どうやらパーヴォのことを言っているらしい。

 「あいつもエフィのこと、可愛いっつってた。タイプだって。でも残念、彼女ができたらしいわ」と、ベラ。

 「マジか」

 「え、フラれたの、私」

 ダリルが笑いながら慰める。「だいじょうぶ、告ってねえからフラれてねえよ」

 「けど失恋とか言わないでね」

 「恋だったんか」

 「一晩で終わった。切ない」

 ダリルとエフィはけらけらと笑った。

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