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R E D - D I S K 0 4  作者: awa
CHAPTER 17 * GRACELAND
107/198

* The Ways

 キーズ・ビル地下二階、赤白会議室。ベラはゼインに電話をかけた。

 「はいよ」と彼。「めずらしいな、どした?」

 彼女はやはりエグゼクティブチェアに座っている。「ごめん、デート中だった?」

 「うん、そうだけど」

 「なら手短に済ませます。ナイル、デジタルカメラ買った?」

 「うん? いや、ぜんぜん」

 「そ、わかった。ありがと、それだけ」

 「なに、誕生日プレゼント?」

 「まあ、そうかな。私が去年使ってたやつをね、コンパクトプリンターと一緒に、セットで一式あげようかと思って。シートもインクもけっこう残ってるのよ。だからしばらくは買わずに済む。ただカメラの電池は普通より短くなってるから、それは買いなおすんだけど。さっき店に問い合わせの電話入れたら、今日中に連絡くれたら週末には電池だけ用意できるって」

 「おお? マジか。そりゃ喜ぶんじゃね」

 「でも中古だからね。もう古いタイプ扱いされるし」

 「いや、あいつは最新かどうかよりもモノ見るタイプだからへーき。あれ使ってる時のナイル、妙に楽しそうだったし。携帯電話で写真撮ったあとに舌打ちする姿、何度見たことか」

 ベラは笑った。「一緒に遊ぶ時、ナイルがいちばんカメラ持ってたもんね。私が持っててもどうせ埃かぶるだけだから、使ってくれるヒトに使ってもらおーと思って」

 「いや、なんならオレが使うけど?」

 「いえ、丁重にお断りします」

 「なんでだよ!」ゼインは怒ったものの、すぐに持ち直した。「あ、そういや今日、エデがウェ・キャス高校に転校してきた。しかもサビナとカーリナとおんなじクラス」

 「マジで来たんだ」

 彼が苦笑う。「サビナもカーリナも、ちょっとばかしテンションが微妙なのな。ナイルは本気でエデのこと避けようとしてる。これからは学校で話す機会、あんまなくなるかも。オレはエデがどうこうとかじゃないけど、エデの嫉妬みたいなのがまた発動して、サビナがイヤな思いすんの、イヤだし」

 エデというのは本当に、どこまでも面倒な女だ。夏休み中に会ったカーリナの話によると、カーリナとエデは高校入学前の春休み、ベラを経由してレジーに紹介してもらったストーン・ウェルの男二人と会った。エデの相手はそれなりに彼女の好みだったものの、相手にその気がなかったようで交際には発展せず。何度か四人で遊んでいるうち、六月頃、カーリナとメールをしていた男がエデを口説いて、交際がはじまった。だが遊びだったのか、夏休み前に早くも別れてしまったのだという。

 しかもカーリナ、エデが最初にメールをしていた相手といい雰囲気になりかけたものの、彼女のことを考え、引いてしまったらしい(もちろんその雰囲気というのはカーリナの基準でしかない)。

 それからというもの、カーリナがエデに出会える掲示板、“プラージュ”のことを教えたこともあり、暇潰しという名目で、どちらもいろいろな男とメールをしているらしい。夏休み中には三組の男たちに会ったのだとか。

 そんな話を聞いたベラが、行動が完全にエルミ化(つまりビッチ化)している気がするとつぶやくと、カーリナは当然のように怒った。ただ彼女も、また青春を奪われることになる気がするという懸念はあるらしい。

 ベラも苦笑った。「まあ、そっちの日常生活のことは知らないけど。どうしようもなくアレにムカついたら言えって、サビナとカーリナにも言っといて。復讐の代行とか、代わりに怒るなんてことはするつもり、まったくないけど。ちょこっと精神的ダメージを与えるくらいのことはするから」

 「お? マジか。んじゃ言っとく」

 今現在、ベラが考えているいちばんのそれは、アゼルがいてくれるからこそできることで、今後、いつそれが不可能になるかは、彼女にはやはりわからない。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 翌日。

 「たまにだけどね、メールの返事くれるの」口元をゆるめるエフィが言った。「こっちもたまにしか送らんけど。しかも平日限定だけど。バラエティ番組とか観ながら、番組につっこみまくったりしてる。超おもろい」

 ベラはダリルのほうを向いてエフィの机に腰かけている。「へー」

 「まさかマジで口説きにかかるとは」ダリルが言った。「しかもそっこーで仲良しか」

 「いやいや口説いてないってば」とエフィ。「情報収集段階ってのが正しいような。けどわりと、いろいろ聞いたよ。地元とか学校の話。電話に発展しないのがちょっと哀しーけどね」

 ティリーが口をはさむ。「もうひとりは? もうひとりもアドレス交換したんだべ?」

 「うん、した。そっちもメールしてる。あたしが送ったり、むこーもくれたり。その子もおもろいよ。いろいろ教えてくれんの、思い出話。パーヴォと一緒にやらかしたこととか。教えてもらったことをあたしがパーヴォに対して話持ちだして、パーヴォがその子に、冗談交じりに文句言って、またこっちに話がきてーみたいな、変なループになったり。逆もある、あたしがその子に話したことがパーヴォに伝わってーみたいな」

 「仲良しか」

 彼女は照れて見せた。「その響きがこれほど嬉しく感じたことはないわ」

 ダリルが笑う。「お前そんな乙女なのな。知らんかった」

 「え、いつも乙女じゃないっすか」

 「いやいや、今はなんつーか、完全に恋する乙女化してる気が」とティリー。

 エフィはなにを言われてもにこにこしている。「だって恋してるもの。もうね、言ってみるもんだなーとは思ったよ。ベラ、まえにツレとツレがつきあってるとめんどくさいことになるからイヤとか言ってたんだけど。超協力的なんだもん。おかげで楽しくて楽しくて」

 ベラは、彼女の恋がどうなろうとどうでもいい。ただ、エフィとパーヴォなら相性がいいような気がしているのと、彼女たちなら嫉妬がなさそうだということ、一緒に会わなくても勝手に遊んでくれるだろう、という考えがあるだけだ。

 ティリーも笑う。「幸せか」

 「超、ね」エフィは強調した。「あれだよ、男紹介してもらいたかったら、そこは言ったほうがいいと思われます」

 ベラは拒否する。「いやいや、言わなくていいから」

 「え、んじゃ」ダリルがベラに言う。「紹介して」

 「だから、できるようなのいないってば。なんならあれよ、そのうち、エフィとパーヴォと、あと他に誰か呼んでもらって、遊べばいいじゃん」

 「けどオンナいるんだべ? さすがにそういうのには来ない可能性が」

 「ってゆーか」エフィがベラに言う。「二人が免許とって単車手に入れたら、そん時はベラも来てくれるんだよね」

 「その時はね。ちゃんとあんたがパーヴォのうしろに乗れるようにしますよ」

 「お願いします」

 昨日会った性悪男、マシューが教室に来てベラに声をかけた。彼女の好きな紙パックのストロベリージュースを差し出す。

 「飲めるか?」

 ベラは当然受け取った。「大好きです」

 「金よこせ」

 「奢りじゃないのかよ」

 「押し間違いだわ」彼はカフェオレの入った紙パックを持っている。「なんでわざわざ頼まれてもないもん買って奢らなきゃいけねーんだアホ」

 彼女はさっそくジュースを開けた。「財布、今ロッカーだから、めんどくさい。明日覚えてたらなんか買って持っていってあげる」

 「変なジュースとかやめろよ」

 ジュースを飲むので無視をする。「ドッジボールは得意ですか?」

 「だから会話しろっつの。どっちかっつったら得意なほうだけど」

 「よかった。もうちょっと涼しくなったら、みんなでドッジボールしよーね。一年生適当に集めて、真昼間の男女混合ドッジボール大会」

 「いいな。十月くらいか」

 「そーね、そんくらい。さすがに遊びにエアコンつけていいのかはわかんないから、ちょっと暑いかな程度で済むくらいになったら」

 「当然俺とお前は敵チームだよな」

 「当然。ギッタギタにしてやんよ」

 「女が男に勝てると思ってんの?」

 「女に負けるわけがないと思ってる時点でもうあんたの負けよ」

 「はあ? そこまで言うならなんか賭ける。負けたほうが三日間飯奢り続ける」

 「五日間でもいいけど」

 「んじゃ俺が負けたら三日間奢る、お前が負けたら五日間奢る」

 ベラは笑った。「ふざけんなバカ」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 「ベラはすごいねえ」と、授業が終わるなりテクラが言った。

 「なにが?」

 「さっきの休憩時間に話してた男の子、昨日はじめて話したばっかでしょ?」

 ハンナがつけくわえる。「なのに、なんかもう仲良しみたいになってる」

 確かに傍にはいたものの、ベラがマシューと話をしていた時、彼女たちは別グループとして話をしていた。

 「いや、どこが仲良しよ。昨日も今日も、いきなり喧嘩腰じゃないの」と、ベラ。

 マーシャも言う。「でもストロベリージュース、くれてた」

 「アドニスを知ってるっていうんだもん。私の好みを聞いててもおかしくはないのよ。チョコと生クリームと苺が私の好物だってのは、周知の事実だし。それにわざわざ来たわけじゃなくて、友達のつきそいだし」

 昨日マシューと話をしていた時、会話には入ってこなかったものの笑っていた男が、今日はギャヴィンに声をかけていた。

 「男友達ってこうやってつくるのね」ハンナがつぶやいた。「ニルスとかセルジも、気づいたらふつーに話してるし。遊んだし。ベラが話す相手とは話すけど、話さない相手はほとんど話さない」

 マーシャは苦笑った。「ベラがいなかったら、高校生活がぜんぜん違うものになってた気がする」

 「なってたよね。絶対そう。女だけでトキメキのない生活してた可能性が」

 「や、私はトキメキ、それなりにあるから」

 彼女ははっとした。マーシャにはカレシがいる。「そうでした。ゴメンナサイ」

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