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R E D - D I S K 0 4  作者: awa
CHAPTER 15 * NERO
100/198

* Pray / Nero

 ベラはステージに立った。拍手を送ってくれる客たちにマイクを使って言う。

 「初披露の曲なので、歌詞は用意しました。歌詞の束の最後のほうにあるはずです」客が歌詞カードを確認しにかかるのを見やりながら続ける。「まずは“Pray”。これ、どういう状況なのか、なかなか意味がわからないと思うのね。でも訊かれても、私は一切答えません。いつも言ってるとおり、理解されなくてもかまわないから。わかるヒトだけわかってくれればいい。状況はみなさんの想像に任せます。その次は“Nero”、“暴君”なんだけど、私のイメージそのまんま。神格化されてるなんて話を今さっきはじめて聞いたんだけど、そんなの知らないし、小さなことは気にしない」機材係に合図を送ると、すぐフロアに曲が流れた。「では、聴いてください」

 そう言って、アゼルの祖父に贈った曲、“Pray”をベラがうたいはじめる。



  今さら後悔してももう手遅れ

  あなたの顔は覚えているけれど それは終わったこと

  私を知るために訪れたあなた

  なのに名乗りもせずに 去ってしまった


  彼を恋しがっていた十月

  私の心を彼に届けることができたはずなのに

  あなたは伝書鳩ではなく

  わずかな時間の通りすがりの人になることを選んだ


  祈ってるの

  名前も知らないあなたのために

  あなたと再会するなんて思ってもみなかった

  こんなかたちで

  なぜか寂しい

  どうしてこんなふうに感じるの

  あなたへの疑問は風に乗り

  そして去ってしまった


  あなたは彼と同じものを持ってる

  それを教えてくれていたら もっと話せることがあったのに

  自分だけ私のことを記憶して

  私にはあなたが何者なのかを知らせてくれなかった


  祈ってるの

  名前も知らないあなたのために

  あなたと再会するなんて思ってもみなかった

  こんなかたちで

  なぜか寂しい

  どうしてこんなふうに感じるの

  あなたへの疑問は風に乗り

  そして去ってしまった


  祈ってるの

  名前も知らないあなたのために

  あの日から八ヶ月が過ぎて

  やっとあなたが誰なのかわかった

  なぜか寂しい

  どうしてこんなふうに涙が流れるの

  疑問があるのにそれは

  それは決してあなたには届かない



 意味を理解してかどうかはわからないが、拍手がフロアを包む。すぐに“Nero”の曲が流れることはわかっていたので、ベラは控えめな微笑みを客席に返し、“静かに”と身振りで示した。そして“Nero”をうたった。


 

  Nero

  わかるかしら なぜ私が今ここにいるのか

  彼に代わって あなたを見ている

  Nero

  私は知ってる あなたが犯してきた罪を

  あなたは去ってしまったけど それは消えない

  私の存在が あなたの罪の証明


  Nero

  あなたは彼の羽を折り

  闇に染めてしまった

  Nero

  あなたが咲かせた罪の花を

  摘み取って燃やすわ 彼と一緒に


  Nero

  あなたにはふたつの顔があった

  正義に従い まっすぐ進むべきだったのに

  Nero

  あなたは王の座についていたけれど

  その足元は 自分で作った泥に捕らわれていた


  Nero

  私は同情なんかしない

  すべてはあなたが自分で蒔いた種

  Nero

  彼の憎しみと痛みを埋めてあげる

  忘れないよう あなたの上に


  Nero

  羽はまだ壊れたまま

  だけど彼はもう一度羽ばたこうとしてる

  Nero

  あなたの影を彼に見せるくらいなら

  私は彼の視界を闇で覆う


  Nero

  どうか安らかに眠って

  だけど絶対に あなたに彼を渡したりしない

  Nero

  彼の傷跡は消えない

  だから私は それすら一緒に抱きしめるの



 またも沸き起こる拍手の中、ベラはステージから、フロアにいたキュカとエルバを呼んだ。“Insane In Vain”をうたうためだ。予定するどころか予告すらしていない、完全に予想外のことだったので、彼女たちは驚いていたもののけっきょく、三人はそれを、客席にいる女たちと一緒におもしろおかしくうたった。

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