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鬼祭り  作者:
8/9

第8話:門出

「わ、私じゃないです。私はずっと眠っていたし、それに・・・」

「ならいいんだ。ちょっと確認したかっただけだ。」

そう言うと、まるはその場に胡坐あぐらをかいた。

「とにかく、こんなことをしている場合ではない。・・・そうだ、お前、帰り道は分かるか?」

陽ノ丸の指は梅を指したが、やがてその指が陽ノ丸の顎元あごもとに戻った。

「分かるわけないか。私が連れて来たのだからな〜。お前、地図は読めるか?」

「残念ながら読めません・・・でも、言って貰えば大体分かりますよ。」

「そうか、あの井戸の中に入ればもとの世界へ戻れるだろう。ここからだと、随分かかるが・・・大丈夫だろう。」

陽ノ丸が言った事を頭の中に整理すると、すっと立ち上がってスーッと息を吸うと、「今まで有難う御座いました」と一礼して、急いで準備を進めた。

しかし準備をしている最中、梅の頭の中に疑問がふっと浮かんできた。

「そういえば、なんで私を置いて下さらないんですか?」

「そんなの、お前の身が危険にさらされるかもしれないからに、決まっているだろう。」

「なんで、そんなに私を守ろうとするの?」

「そんなの・・・いつか分かることであろう。さあ、行くんだ。」

「お元気で。」

そう言うと、梅は自分が思う精一杯の背伸びをして、別れを惜しむことなく梯子を降りた。

不思議なことに、梯子をあんなに怖がっていたのに、「帰れるんだ。」の一心で怖さを感じることはなかった。



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