8.5秒
人間が1度の深呼吸すら終えられない「8.5秒」という極小の時間が、極限の窮地において生と死を分ける絶対的な境界線へと姿を変えます。
絶望的なカウントダウンの果てに、無謀な賭けへと身を投じる男の覚悟と極限の緊迫感を描いたストーリーです。ほんの一瞬の選択が引き起こす、命がけのドラマをお楽しみください。
8.5秒以内に成し遂げなければならないとしたら。
8.5秒は短か過ぎる。
8.5秒で成し遂げなければならないとしたなら。
8.5秒は無茶過ぎる。
8.5秒で成し遂げます、と誓ったとするならそれは、愚か過ぎる。
愚の骨頂
やるのがいけないのか、やらせるのがいけないのか?
でもそれが、生きる為の最後の手段だとしたら?
引き受けるしかない」と男は歯を食いしばる。タイマーの赤字が点滅を始めた。
8.5秒――息を吸う間すら惜しい。男は足元に落ちたコードを掴み、狂気のような速さで端末のジャックへ叩き込んだ。
スパークが弾け、視界が白く染まる。指先が焼き付く激痛と引き換えに、扉のロックが解除される電子音が鳴り響いた。
残り0.1秒。荒い息を吐きながら扉を押し開けた先で、男は絶望的な暗闇と、僅かな光を見た。
8.5秒という無謀な極限状態で見せた男の覚悟と生への執着を、わずかな文章の中に凝縮した物語です。
ほんの一瞬の選択が命運を分ける緊迫感と、激痛の果てに開かれた扉の先に広がる「闇と光」という余韻を感じていただければ幸いです。
改めまして、作品をお読みいただき誠にありがとうございました(深く頭を下げて感謝申し上げます)。




