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宵闇に奏でる―NOCTIS STORY  作者: 夜月黎


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9/36

お仕置きされたのは

ライブ終了後。


いつもの如く、陽は大声をあげてソファに転がり込む。


奏はタオルを頭から被って椅子に座った。

涼しい顔で上着を脱いでいる凪が目に入る。


ふぅーっと大きく息をついて、奏は立ち上がり、凪の前に行く。


「?」


凪は不思議そうに奏を見た。


「どうしたの?」


にこやかな笑顔を見て、奏は気が抜けそうになった。


「あのな、お前」


「?」


首を傾げる凪。

奏は一歩、更に近づく。


不思議そうにしながらも、凪は奏の雰囲気に押されたのか、一歩、下がる。


すると、奏はまた、近づく。


「?」


相変わらず疑問符を浮かべる凪。

奏は無言で距離を詰める。


異変に気付いたのか、陽は起き上がって二人を見ていた。


……これ、やべぇかも。


そんなことを思いながら。


何度か、同じことを繰り返し、凪はついに壁際まで追い詰められていた。


とんっと、凪の背中が壁につく。


さすがに違和感に気付いた凪は声をあげた。


「奏……?」


真顔のまま、凪を見つめる奏。

細められた目が、煽るように見下ろしている。


すっと顔を近づけ、凪の耳元で。


「……あとでお仕置きって言っただろ?」


低い声が、囁くように耳に届く。


そこで凪は、ようやく気づく。


「あ……さっきのMCのこと?」


それでも、何が悪いのかは気づいていない。


「なんか、言っちゃダメなことあった?」


きょとんとする凪に、奏は小さく溜め息を吐く。


「お前、自覚ねぇのかよ」


「……何が……?」


奏の顔が悪そうな表情を浮かべる。


黙って見ていた陽はいたたまれなくなって、大声をあげた。


「ねぇっ!これ、俺見てていいヤツ?いない方がいいヤツ?」


一瞬で空気が変わる。


奏も凪も陽を振り返る。


「……なんかダメなの?」


この期に及んで、凪は理解していない。


「……あ?」


柄の悪そうな奏の声に、さすがに朔が止めに入る。


「……奏、その辺にしておけ」


朔に言われた奏は、舌打しながら元いた椅子に戻った。


「凪、お前もだ」


朔は今度は凪に向き直る。


「MCは暴露話するところじゃない」


「暴露っていうか……事実?」


そう言う凪に、朔の目がさらに鋭くなる。

さすがに、凪も理解したのか、素直に謝った。


「うん……ごめんなさい」


「わかれば、いい」


そう言うと朔はさっさと後片付けに行ってしまった。


「奏も陽もごめんね」


凪は二人にも声をかける。


陽は慌てて手と首を振る。


「いや、俺は別に……」


「ははっ……ありがとう」


凪は奏を見る。

不機嫌そうだ。


「奏?」


呼ばれても返事もしない。


「ごめんね」


再び謝るが、奏はそっぽを向いた。


困ったように凪は陽を見たが、陽にも理由はわからなかった。


今度は凪が奏に近づく。

奏の座った椅子の前に立ち、見下ろす。

それから、何を思ったのか、奏の頭を手でポンポンっと撫でた。


「ごめんね?」


さすがに驚いたのか、奏は慌てて凪を見上げた。


「おまっ、何すんだよっ」


凪はにっこりと笑った。


「朔がたまにやってるから、奏の機嫌治るかなって……」


「治るかっ!」


反射的にそう答えたが、奏からは不機嫌は消えていた。


「治ってる」


と言って凪は笑う。


そうして奏から離れた。


奏は右手で額を抑えて、椅子の背もたれに身体を預けた。

全身の力が抜けていく。


……ライブより疲れる……。



「……ねえ、これ、俺いていいヤツ?」


再び陽が言った。


チラッと奏は陽に視線をおくり、


「勝手にしろ」


とだけ返す。


お仕置きするつもりが、されたのは奏の方だったのかも知れない。










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