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奏と朔
「お前は変わんないな」
唐突に朔が言った。
「……成長してないってこと?」
奏は憮然とした表情で聞き返す。
その顔がまるで子どものようで、朔は笑った。
「そういうとこもな」
少しだけ背の低い奏の頭を手でポンポンっとしながら、返す。
「頭なでんな」
更に不機嫌そうに奏は朔の手を払おうとする。
「悪い悪い」
軽く謝って朔は続ける。
「変わんないから、いいこともある」
本当に言いたかったのはそれだ。
不機嫌な表情を少しだけ緩めて、奏は朔を見た。
鋭い、灰色の瞳。
一見、クールに見えてその奥底には尽きることのない衝動を抱えてる。
その瞳は出会った頃から変わらない。
だから、凪も陽も……そして朔も、奏についていきたいと思う。
「奏は変わんなくていいんだ」
つい、また頭を撫でそうになる。
奏は不満そうにそれを避けた。
「意味わかんない」
朔は苦笑する。
「わかんなくてもいいから、お前は変わるなよ?」
奏は拗ねたように視線を逸らす。
「……ホント、意味わかんない」
朔は口元だけに笑みを浮かべた。




