賑やかな朝
朝。
朝食を終え、四人はテーブルを囲んでいた。
朔は静かに湯のみを傾け、奏は少し不機嫌そうに窓の外を見ている。
陽は二日酔いで、テーブルに突っ伏している。
「陽、やばいね」
凪が湯のみを手に、陽を見る。
「あー、頭痛てぇー」
お茶を飲む余裕もないようだった。
「ふふっ、昨日、陽潰れるの早かったもんね」
凪が笑いながら言う。
「……そうか?」
死人のような目で凪を見上げる陽。
「陽ね、朔に『奏手懐けてくれてありがとう』って言ってた」
「は?」
がばっと陽が起き上がる。
「……そんなこと言ってた?」
にこっと笑う凪。
「言ってた」
「言ってたな」
朔も頷く。
奏は相変わらず不機嫌そうに、目だけを向けた。
「朔の背中ばんばん叩いて怒られてた」
陽は頭を抱え、またテーブルに突っ伏す。
「お、覚えてねぇ……」
凪はにっこり笑う。
「奏もデレてたね」
急に振られ、奏は目を丸くして凪を見る。
そして、少しだけ顔を赤くして背ける。
「……デレてねぇよ」
朔が目を細めて奏を見る。
そしてお茶を一口飲んで、
「デレてたな」
「マジかぁっっ、くっそー覚えてねぇの悔しいっ」
陽が絶叫する。
「陽、黙れ」
奏が一喝する。
凪は再び笑い、朔を見る。
「朔も奏に『人間らしくなったな』って言ってたしね」
陽が目を丸くして朔を見る。
「朔、そんなこと言ったん?」
「朔もだいぶ饒舌だったよ?」
朔は黙って凪を見る。
凪はその視線を受けながらも、笑っている。
「あとね」
その言葉に三人の動きが止まり、凪に視線が集まる。
凪はそれに気づくこともなく、お茶を飲む。
「奏が、俺の頭撫でた」
一瞬、沈黙。
「ええっ!?」
最初に陽が驚きの声をあげる。
朔は奏に目線を向ける。
「なるほど」
奏は固まったまま凪を見ている。
にこっと笑う凪。
「ね?奏?」
「凪」
奏が呼ぶ。
凪は首を傾げて奏を見る。
「ん?」
「お前、喋り過ぎ」
「え?何が?」
目をぱちぱちとさせて凪が三人を見る。
陽が吹き出す。
「凪、最高っ!!」
テーブルを叩いて爆笑している。
奏がそれを睨んでいる。
「陽、うるせぇ」
その顔は少しだけ赤い。
「奏、顔赤いよ?」
「赤くねぇ」
「赤いな」
朔が凪を援護する。
奏はぽかんと口を開けて朔を見る。
「おまっ……」
朔は口元だけで笑う。
それを見た奏は諦めたように顔を逸らした。
「やっぱり奏と朔、仲良しだね」
再び沈黙が落ちる。
直後、陽の大笑いする声が部屋に響いた。




