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宵闇に奏でる―NOCTIS STORY  作者: 夜月黎


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静かな夜

宴会後、凪は自販機まで飲み物を買いに出た。


廊下はもう薄暗く、静けさが漂っている。

もう、真夜中の時間だ。


ロビーに出たところで朔に会う。


「朔も飲み物買いに来たの?」


朔の手元のお茶のペットボトルを見て、凪が聞く。


「あぁ、少し飲み過ぎたかもしれない」


「ふふっ、珍しく朔も饒舌だったね」


朔は少しだけ恥ずかしそうに、目を逸らした。

それから、少しだけ間を置いて。


「……でも、事実だ」


「えっ?」


凪が驚いて朔を見返す。


「お前もNOCTISに必要だからな」


その言葉は凪の胸の奥に深く沈んでいく。


「……うん」


凪は静かに微笑う。

それを見て朔は軽く溜め息を吐く。


「まぁ、あまり気にするな」


そう言うと、凪の肩を軽く叩いて去ってく。


凪はその背中を見送っていた。

姿が見えなくなると、凪は歩き出し自販機へ向かう。

水を買って部屋に戻る。


部屋の灯りは落ちていて、薄暗い。

陽はつぶれたまま、寝息をたてている。

朔もすでに布団の中に入っていた。


奏だけが起きていて、窓際の一人掛けソファに座っていた。


「遅かったな」


凪はペットボトルの水をテーブルに置き、向かいのソファに座る。


「そう?」


暗がりの中、奏はじっと凪を見つめる。


「お前、考えすぎんなよ?」


「え?」


凪は奏を見つめ返した。

奏は何も言わずに凪を見ている。


少し困ったように凪は笑う。


「大丈夫……」


そして、窓の外を見る。

月が凪の顔を照らした。


「俺は……まだNOCTIS(ここ)にいたい……」


そう言いながら、どこか消えてしまいそうな横顔。

奏は目を細めてそれを見る。


「……それが考えすぎなんだって。NOCTIS(ここ)にいて、いんだよ」


凪の顔が奏の方に向く。

奏は立ち上がり、凪の横を通り過ぎる時に頭を、軽く撫でた。


「お前も早く寝ろ」


そう言って布団に入る。


凪は撫でられた頭にそっと触れ、それからまた、窓の外を見た。

しばらく、そのまま。


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