四人揃って
がらっ。
勢い良く扉を開けて、奏が露天風呂に入る。
湯気の向こうに三人がいる。
「なんだ、結局来たのかよ、奏」
「……別に」
ぶっきらぼうにそう言って、奏は湯に入る。
体の緊張が解ける。
昨日までのライブの疲れが、少し抜けた気がした。
はぁっと息を吐いて、空を見上げる。
少し、暮れかけた空。
奏はぼんやりとそれを見ていた。
「昨日のライブも良かったね」
誰にともなく、不意に凪が言った。
「……あぁ」
空を見たまま、奏が低く答える。
「そうだな……まだツアーは半分だがな」
朔は冷静に答えた。
熱くなった体を冷やす、心地のいい風が吹いた。
立ち上る湯気が四人の間を抜けていく。
ふっと奏が悪そうな顔で陽を見る。
「あと、陽うるさい」
急に振られ、陽はばしゃっとお湯を大きく跳ねさせた。
「はっ!?なんで急に俺だけっ?!」
フッと朔が笑う。
「確かに、今回、陽の音が少しうるさいな」
「朔までっ!?」
にこっと笑う凪も追い打ちをかける。
「うん、陽のリズム、ちょっと暴れすぎ」
「凪もかよっ」
ぶくぶくと音をたてて、顔半分までお湯に沈む陽。
その目は恨めしげに三人を見ている。
朔は陽の首根っこを捕まえて、お湯から出す。
「沈むな、迷惑だ」
陽は露天風呂の端に座り、足だけをお湯に入れた。
「だってさぁ、今回十周年だろ?張り切るじゃん!?」
三人の視線が、静かに陽に向いた。
「え?」
陽の顔が少し、赤くなる。
「間違いねぇな」
奏は唇の端をあげた。
凪は何も言わずに柔らかく笑う。
朔だけが真顔で陽をじっと見据える。
「……それとこれとは別だ。リズムは守れ」
「はーい……」
陽は小さく返事した。
くすっと凪が笑う声が響く。
奏は無言で再び空を見上げる。
湯気の向こうに見える空が、更に紺色に染まっていた。




