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宵闇に奏でる―NOCTIS STORY  作者: 夜月黎


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NOCTISのはじまり

四人が黙ってテーブルを囲んでいる。


長い沈黙。


テーブルの上にはメモ書きがいくつも置いてある。


「NIGHTFALL」


「ECLIPSE ERROR」


「dark night」


「Moonlight」


「SUNRISE」


他にもいくつも並んでる、名前。


何時間も続く話し合いはなかなか進まない。


一枚の紙を手に取り、奏は呆れたように息を吐く。


「……お陽さまバンドってなんだ」


「え、ダメ?」


陽が驚いたように返す。


「ふざけてんのか?」


奏に睨まれて、陽はゔっと言葉を詰まらせた。


「奏が『お陽さまバンド』って呼ばれて出てくる姿想像してみたら?」


凪がニコニコした顔で陽を見る。


「や、だから、ごめんって」


慌てて首をぶんぶんと振り回す陽。

朔は頭を抱えた。


「陽、真面目に考えろ」


全員に責められて、陽はしゅんとしてしまった。


「なかなかいいの、ねぇーな」


疲れたように奏が溜め息をつき、冷えた珈琲を口に運ぶ。


「NIGHTFALL?」


一番上の紙を手に取る朔。


「なんか普通」


即座に奏が否定する。


「dark nightもよくありそうだね」


凪も紙を手に取り、考え込む。


「Moonlight」


「優しすぎるかな?」


「SUNRISEは?」


「"日の出"って感じじゃねーだろ」


全員黙り込んでしまう。


バサバサっと、陽が持っていた紙を落とした。


悪態をつきながら拾った紙の最後の一枚。

それを横から見ていた朔の視線が止まった。


「陽、それ貸して」


朔は陽から奪い取るように紙を取った。


そこには……。


――NOCTIS


「あ、それ」


凪が気づく。


「俺が書いた」


「凪が?」


朔から紙を受け取り、薄茶色の瞳を細めて、凪が見つめる。


「夜の……とか、夜に属するもの……って意味の言葉なんだ」


顔をあげて奏を見た凪は、にっこりと笑う。


「奏にぴったりだなって……」


奏は少しだけ驚いた表情をした。


「俺って……そんなイメージ?」


陽は横でぶんぶんと首を縦に振っていた。


「確かに……」


朔も手を口に当てて、真剣に考えている。


「奏のイメージにはぴったりだな」


珍しく嬉しそうに笑う朔は、奏の目を見た。


全員の視線が奏に集まる。


「夜……か……そうかも知れないな……」


少しだけ考えて、奏は納得したように頷いた。


「それでいい」


簡潔に答えると、陽が両手をあげて喜ぶ。


「俺達は"NOCTIS"だぁっー!!」


「陽、うるさい」


奏が呆れ顔で言う。

それでも、陽のテンションは下がらない。


「だって名前決まったんだぜ!!こっから始まった感、すごいじゃん!!」


誰も口にはしなかったけど、一緒だった。


――ここから、始まる。


奏はそっと拳を握りしめる。

珍しく高揚している。


ここが、すべてのはじまり。






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