29/35
片翼
「凪、それ」
朔が凪の胸元を見る。
大きく開いた襟ぐりに光るシルバーの片翼。
凪は右手でそっと触れた。
体温が移って、少しだけ温かい。
「昨日、奏にもらった」
朔は目を大きく見開いて、凪を見た。
「奏が?」
にっこり笑って凪は頷く。
「二十歳の誕生日だからって」
「そうか」
それだけ言って朔はそのネックレスに目を向ける。
繊細なシルバーの片翼……。
朔は僅かに眉を潜めた。
意味があって選んだとは思えない。
だが、無意識の内にそれを選んだとしたら……。
「……あいつは、無意識で人を見抜くな……」
ぼそっと呟く。
「え?」
聞こえなかったのか、凪が聞き返す。
しかし、朔は答えなかった。
「似合ってるよ」
それだけ返す。
大事そうにネックレスを抑え、凪は微笑んだ。




