陽の余話
帰り道。
俺は少しだけ、不貞腐れていた。
「あー、今年も最下位かぁ……」
思わず、声に出ていた。
空を見上げて、少しだけ長く息を吐く。
奏や凪には……まぁ、勝てるわけないよなぁ。
あいつらの人気、やべぇもんな。
……あと、顔がいい……。
だからと言って……朔?
ちょっと待て。
朔に、勝てる気もしねーなー。
朔はいつもバンドの為に動いている。
正直朔がいなかったら、NOCTISはここまでこれなかったと思う。
いっつも心労にやられてるけどな……。
呆れたように笑ってみるが、その心労の一部に自分がいるかと思うと、少しだけ申し訳ない気持ちがする。
「……やっぱ、俺が最下位しか選択肢、ねぇじゃん」
いつか、奏のヤツ、ぎゃふんと言わせてやりたいけど、無理だな。
がくっと肩を落として、俺はとぼとぼ歩く。
『でも、陽がいるから楽しいってコメント多かったよ』
不意に凪の言葉を思い出す。
そして、ファンからのメッセージ。
『いつも明るくて、NOCTISの太陽』
『陽の笑顔に救われた』
思わず笑みが零れる。
最下位でも、投票してくれたファンはたくさんいた。
『笑顔に救われた』とか言われると、やっぱ嬉しい。
そして。
『NOCTISの太陽』
ふっと笑う。
「『NOCTIS』の太陽か……」
悪くない。
あいつら全員陰キャだからな。
俺がいないと暗い暗い。
「よっしゃー、また頑張るぞーっ!!」
笑顔で俺は歩き出した。




