SF作家のアキバ事件簿240 ミユリのブログ 妄想に眠る真実
ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!
異次元人、時空海賊、科学ギャングの侵略が始まる!
秋葉原の危機に立ち上がる美アラサーのスーパーヒロイン。
ヲタクの聖地、秋葉原を逝くスーパーヒロイン達の叙事詩。
ヲトナのジュブナイル第241話「ミユリのブログ 妄想に潜む真実」。さて、今回は謎のはぐれメイドの正体が明らかになり、意外な真実が浮上します。
謎メイドの妄想に振り回されるヒロイン達。超能力を持つ彼女が明らかにする"リアルの裂け目"の真実。薄明のパーツ通りで明かされた過去とは?
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 妄想の中の恋
星空をバックに僕を見つめるエアリ。因みに彼女はメイド服だ。何しろココはアキバだからね…多分w
「全てを受け入れるコトにしたの。テリィたん、私の恋人になってくれる?この秋葉原で」
「その言葉を待っていたよ。エアリは僕にとって、ただ1人の同じ世界線を持つ人だ」
「ミユリ姉様のコトは忘れてね。さぁ急いでキスしちゃいましょ」
エアリは僕の首に手を回し激しいキス。傍らにはマリレがいて、腕を組んで僕達のキスを見ている。
「マリレ?何やってンの?キスの順番待ちか?」
「テリィたん、起きて!ティスが動き出した」
「あ、あれ?夢か…何?ティスが?」
ティスのタワマンに隠した"ニュートリノ走査機"から衛星軌道を経由して送られて来る画像を見る。
「メイド服に着替えてる。御屋敷に出勤前だ。モーニングのシフトに入ってたっけ?」
「シフト確認。マリレに連絡しなくちゃ…マリレ、起きてる?」
「…今、起きたトコロ。ティスを追うわね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「…つまり、テリィ様はティスに恋したワケじゃないっておっしゃるの?」
「だ・か・ら!最初からそう逝ったろ?コレで信じてくれるね?」
「いいえ。ティスが時空トラベラー"ナセラ"だと逝う証拠を拝見スルまでは、とても」
僕は御屋敷のミユリさんとスマホ。
「僕に近づくためにティスの姿に変身してたんだ」
「にしても、も少し相手の出方を見ません?」
「そーやって事態を悪化させるのは水戸黄門の悪いクセだ…え。何?」
エアリのスマホが鳴る。
「…今どこなの?わかったわ。テリィたん、そのスマホ貸して」
僕の手からスマホをモギ取る。
「姉様。まもなくティスがそちらに」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ティスは出勤直前にメイド用トイレへ。後を追うミユリさんもトイレ…が、誰もいない。振り向くと…
「おはよう、姉様。朝からトイレで人探し?」
「ええ。貴女がトイレに入るの見たから」
「ねぇ私がテリィたんとイタズラなキスをしたコトは昨夜、全部話がついたハズ。誤解は解けたと思うけど」
すっとボケるミユリさん。
「あら。誤解って?」
「テリィたんのコトょ。姉様、もう私のヲタ友になってくれるんでしょ?」
「え。えぇモチロンょ」
すると、ティスはミユリさんの肩に手を置く。
「ミユリ姉様、なら教えて。どうしてみんなで私の後を尾けるの?」
第2章 全てがマチガイダ
アキバ最強のホットドッグステーション"マチガイダ・サンドウィッチズ"。今日も沈殿してる僕達w
「ティスのメイドぶりとか特に変には感じなかった。何か正体を隠してるとは思えナイけど」
「おいおい、エアリ。ダマされちゃダメだょ」
「ウーンそうかしら。"時空トラベラー"って時空断層"リアルの裂け目"の影響を受けた人と定義スルと、ある意味、私達スーパーヒロインと余り変わりはナイのカモ」
うーん奴は連続殺人鬼ナンだがw
「とにかく!爆乳メイドに化けて、テリィたんを誘惑したのよ。そんな相手は信じられないわ。とても味方とも思えない」
おっしゃる通り。ヲタクの巨乳癖につけ込むとは。
「トポラの情報によれば奴は自由に姿を変えられる。他にどんな超能力があるかわからない」
「壊れた仏像に手をかざして復元したし」
「君達3人がスーパーヒロインであるコトは間違いない。だが、君達は"覚醒"した腐女子。ナセラは異なる世界線からやって来た殺戮者である可能性が否定出来ない」
僕のまとめ発言。全員がうなずく。
「しかし、ティスと一緒にいる時に感じたんだけど、彼女には人を操るパワーがアル」
「それね。私も感じたわ。なぜか彼女に惹きつけられてしまうの」
「油断しちゃダメょ。特にマリレ」
さりげなく注意を促すミユリさん。
「でも、姉様。自分を否定スルのって大変だし」
「マリレ。ティスがどんな手を使って来るかわかってないの」
「私、アリのママの自分でいたいわ」
レリゴーかょ。
「とにかく!この中で1番怪しまれていない僕が接触してみるよ」
「ダメです、テリィ様。無茶な真似はおヤメください(巨乳に引力を感じてるのがミエミエです)」
「そーよテリィたん。そもそもティスは、もう別の姿に変身しちゃってるわ」
僕は溜め息をつく。
「もう誰も信用できないな…あ、あれ?」
パーツ通りを場違いな日傘をさして歩くロングのメイド服。新しい御屋敷かな。慌てて目を逸らす僕。
「信じて良いのはココにいる自分達だけね」
「その通りだ。だけど、ココで待ってるだけじゃないぞ。何か行動を起こすのはティスの正体を確かめてからでも遅くはない」
「そっか。監視を続けるだけなら、誰も危険な目に遭わないわ」
僕は、うなずく。
「そうさ。何しろ"ニュートリノ走査機"は、未だティスのタワマンにあるンだから」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ソレが"ニュートリノ走査機"とは知らズにルーペでチップを自分のオフィスで拡大観察するラギィ。
「全く何処の誰がこんなモノを私の家に仕掛けたのでしょう。秋葉原…油断のならない街ね」
「あの、ナセラさん。秋葉原にいらっしゃったのは最近ですか?」
「YES。警部さん、私が来たのはごく最近です」
ナセラが自宅で見つけたチップを万世橋警察署に持ち込んでいる。しかも、よりよってラギィの下へ。
「ナセラさん。貴女の前の住人は?」
「失礼ながら警部、新築のタワマンですが」
「失礼。ご職業は?」
事務的に"取り調べ"るラギィ。
「コンサルタントです。大統領府の施設運用をやっています。でも、断っておきますが、スパイに狙われるような機密に関わる仕事じゃありませんわ」
「SATOという組織と接触はありませんか?」
「南秋葉原条約機構?所轄の警部がソンなコトまで…とにかく!私は、あちこちの街を転居してきただけの一介のサラリーパースン。あのタワマンを訪れたのは引っ越し業者だけです。あ、先日娘のヲタ友ってゆーのが来ましたけど」
食いつくラギィ。
「引っ越し業者を装った窃盗団の疑いがあります。カメラを設置しておいて、住人が留守の間に窃盗を働く。今度、警らの制服警官をやりますので、詳しくお話しください。必ず真相を突き止めます」
ナセラを送り出す。笑顔で振り向くナセラ。
「ありがとう、警部。コレで安心できますよ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
エアリが神田リバー沿いのメイド会館を訪問。
「どうも!アキバ木漏れ日委員会です!」
「え。何委員会?」
「はぐれメイドが早く秋葉原に馴染めるように支援する委員会です」
メイド協会の女子事務員は目をキョロ❌2。
「そんな委員会があるなんて聞いたコトないし」
「信じられないわ!こんな素晴らしい活動をしてるのにご存じナイ?誰だって歓迎されたいのに!」
「だから?」
ますます怪訝な顔になる女子事務員。
「それで!大阪から転入してきたティスを同じメイド仲間として歓迎したいのです。だから、彼女に関する情報は何でも良いから教えてください。大阪での記録を参考に歓迎の環境を整えてあげたいの」
「うーん誰に許可をもらえば良いのかしら」
「よろしくお願いしまーす!」
あくまで朗らかなエアリ。その様子を外からジッと見てるティス。その険しい視線に誰も気づかない。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
御屋敷。
「テリィたん。この際、やっぱり私の作戦を実行に移すべきだと思うの」
「スピアの作戦?何だょ?」
「"テリィたんを一瞬たりとも1人にしない作戦"ょ。あの魔女がまた呪いをかけないように、交代でテリィたんを見守るの」
目の前が真っ暗になるw
「おいおいおい。子守なら要らないぜ」
「子守じゃないわ。フルタイムでメイドのボディガードがつくと思って」
「"月世界バーガー"出来たわー。運んで!」
別のメイドがすっ飛んで逝く。
「テリィ様。実は私もスピアに賛成です。テリィ様お一人様では危険です。またティスがアプローチを仕掛けて来るカモ」
「ミユリさん。前にも話したけど、もう僕は誘惑されないよ。心配ナイ」
「(絶対的に心配ですw)ソレはわかっています。でも、テリィ様に彼女に会って欲しくないのは、決して嫉妬からではありません。彼女が連続殺人鬼だからです」
正論で攻め立てるミユリさん。
「詰まるトコロ、ティスは人類進化の阻害要因なのかな。ミユリさん達スーパーヒロインこそが新人類であり進化の担い手だと逝いたいの?」
「ナセラが私達と同類だと頭の中ではわかっているのです。でも、やはりナセラが恐ろしくて仕方ナイ」
「彼女の好きにはさせないょ。さ、そのためにも監視を続けるから早く…」
ソコヘ重大な来客w
「テリィたん。貴方達のやってる盗撮は違法行為ょストーカー法に抵触スルわ」
振り向くと…ラギィ警部w
「テリィたん。コレ以上隠しゴトをスルのはヤメてくれナイ?テリィたん達が思っている以上のコトを私は知ってるのょ」
今度はチップをカウンターに置く。
「ナセラ氏が発見して万世橋に持って来たわ。コレ、テリィたん達の仕業ょね?問題はSATO御用達の特殊装置をテリィたんみたいな一介のヲタクが一体どこで手に入れたかょ」
「ソレは逝えないな」
「テリィたん。あのね、コレがあったってコトは、SATOのピアズや"時空ハンター"がこの秋葉原で活動を始めたって証拠なの。彼女は、テリィたん達に狙いを定めてる。ねぇソロソロ私を仲間に入れるコトをみんなで考えてくれない?その方がきっと危険も少なくなるハズょ」
一気にまくしたてるラギィ。さらに話を続ける。
「私は、今も昔もテリィたんの味方だから」
チップを手に出て逝く。振り向きもせズ、あの日のように。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
マチガイダ・サンドウィッチズ。常連専用のカウンター席に座ったティスとYUI店長が笑い転げてるw
休憩に来たマリレは怪訝な顔だ。
「ほら、この画像を見てくれ」
「ヤだ。テリィたん可愛い」
「だろ?あ。エアリ、おかえり。ヲタ友のティスが来てるぞ。先日の"クロ過去"の画像を見せてたトコロだ」
"クローズアップ過去"はマチガイダのオールナイトイベント。朝まで続くパーティみたいなモノだ。
「テリィたんの出場したホットドッグ早食い競争の動画を見てたのょ」
「メイド達がセーラー戦士のコスプレで参加した時の奴だ。盛り上がったょな!」
「ヤだ。ソンな黒歴史まで?」
確かミユリさんはセーラー金星だ。萌え。
「素敵なヲタ友がいて、貴女は幸せね。だって、こんな楽しい思い出がたくさんあるんだモノ」
「あ。俺が勝手におしゃべりしちゃって悪かったな。ガラケーの頃の画像を見てたら、なんだか急に思い出が溢れて…さ。ドッグを焼かなくちゃ。メイドさん達はごゆっくり。それから、ティス。秋葉原にようこそ」
「ありがとーYUI店長」
すっかり常連気分のティス。
「おはよーティス。今日は御屋敷は遅番?朝礼にはいなかったわね」
「でも、貴女が"アキバ木漏れ日委員会"として活躍しているトコロは見かけたわ」
「え。」
息を呑むエアリ。ティスに直視され微かに狼狽w
「嫌だ、エアリ。私に何か気に障るコトでも言ったかしら?」
「いいえ、貴女のせいじゃないわ…」
「私は貴女には正直でいたいの。だって、貴女には親近感を感じるモノ。きっと私達、何か特別な共通点がアルんだと思う」
眼力が増す。視線を落とすエアリ。
「だから、エアリ。私は何でも正直に打ち明けるわ。だって、貴女に嫌われたくナイんだモノ」
「嫌うだなんて、そんな」
「実は…マジ、テリィたんが気になってる。ええ、ミユリ姉様が彼を好きなコトは十分に知ってるわ。その上でのコトょ。ホラ、貴女だって、他の誰かからシグナルを感じるコトってアルでしょ?」
話に引き込まれて逝くエアリ。
「シグナル?シグナルって…」
「誰かと世界線の力を感じる瞬間ょ。エアリもあーこの人だわって感じたコトはナイ?その時、たとえ彼に他に恋人がいたとしても、自分こそが結ばれるべき相手だと確信スル瞬間ょ」
「ええっ!そんな…」
瞬間、夢の中で僕とキスした時に、傍らで腕組みをして(キスを)見ていたマリレのコトを想い出す…
激しく首を振る。
「いいえ!ナイわ、絶対ナイ。そんなコトは1度もありっこナイでしょ!」
「でも、私はテリィたんにソレを感じるの。そして、恐らく彼も私にシグナルを送ってる。ソレも無意識の内にね。貴女もマジ誰かに対してそんなコトを感じてルンじゃないの?」
「そ、そんな…」
エアリの耳元でささやくティス。
「シグナルは、秋葉原にあふれているわ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
御屋敷のメイド長オフィス。
「怖かった。まるで催眠術にかかったようで、身動き出来なくなってたの。今でも、アレが現実に起きたコトなのかどうかもワカラナイ…テリィたんも(ティスとセックスした時は)こんな感じだったの?」
「(ティスとはヤッてナイけど)YES。まぁ同じような感じだ。きっとティスはヲタクの心を操るコトが出来ルンだ」
「姉様。カラダの中で何か変化が起き始めてるって感じナイ?その、何かが目覚めたような…ずっと眠っていた何か、本能かしら」
エアリは妙なコトを逝い出す。その時、ベランダ側の窓が開いて、僕達は弾かれたように立ち上がるw
「何だ、マリレか。どうした?」
「ソレはコッチが聞きたいわ。エアリ?」
「私が呼んだの…今宵は一緒にいる方が良いと思ったから」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
夢の中でエアリはシックな黒のロングドレス(胸の谷間チラ見せ)を着ている。僕、ミユリさん、マリレがいる。砂漠のような場所に4人は立っている。
「マリレ…」
突然エアリがマリレを呼ぶ。マリレは艶然と微笑み髪をかき上げる。2人の唇が近づき、やがてキス…
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「あああああっ」
ガバっと起き上がるエアリ。同時にマリレも起き上がるが、ミユリさんは寝てる。僕も階下のホールで寝ていたが、何やら気配を感じ階段を駆け上がる。
「どうした?大丈夫か?…ミユリさん、起きてw」
エアリ&マリレは、息が荒くゼイゼイしてる。
「夢で…何か見たのか?」
顔を見合わせるエアリ&マリレ。
「いいえ!夢ょ夢。ただの夢」
「そうょ夢に決まってるわ」
「…待てょ。2人、同じ夢を見たのか?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ミユリさんを起こし、キッチンへ移動。
「砂漠でキス?その砂漠に何か変わったモノは見えなかったか?」
「貴女達、夢の中で何をしてたの?まさか…」
「いいえ、姉様。別に何もしてナイわ。そんなコトよりも昨日ティスと話すコトがあって…秋葉原に溢れてるシグナルを見落とすなとか言いながら、角砂糖でこんな形を作って見せたの」
スマホ画像を見せる。角砂糖が3つ並んでる。
「何か意味があるんだろうが…一体何なんだ。意味さえわかればな」
「マリレ。あの話をして」
「おいおいおい。何なんだょ話って」
第2戦闘配備中でアル。不明瞭な会話はヤメょw
「その角砂糖"秋の大三角形"と同じ並びだと思わない?謎を解くカギは大三角形にアル」
「何だって?なぜそうだとわかった?」
「ただヒラメいたの。だけど、失敗だったわ…」
"秋の大三角形"はアキバの地下アイドルソング"みんな知ってる物語"の曲中に出て来る星座名だ。
「失敗?失敗って何だょ?」
「テリィたんが酔っ払った夜、私とマリレでカルチャーセンターに行ったの。そして、ナセラが残したマークを再現して送った。だって、ナセラが残したデータはカルチャーセンターを指していて、センターでならナセラに連絡が取れると思ったからよ」
「おいおいおい。どうして僕に話さなかった?」
マリレがブーたれる。
「いちいち許可がいるの?」
「マリレ。結局、貴女達がナセラを呼び寄せてしまったのょ?」
「姉様まで…でも、姉様だってソレで願いが叶ったのでしょ?」
僕は呆れる。
「ナセラは連続殺人鬼だ。常に殺人鬼の影に怯える生き方ナンて no thank you さ」
「テリィたんは、スーパーヒロインに"覚醒"した私達の気持ちがわかってない。だって、今でも腐女子のフリしてるミユリ姉様のヲタ活してるのが幸せナンだモンね」
「エアリも早くTOをつくれょ」
ソレを逝っちゃあヲ終いょw
「テリィ様、逝い過ぎです!マリレに謝って…2人ともミットモナイわ。どうして、そんな感情的になるの?今が1番大事な時でしょ」
「マリレ、ごめん…昨夜ティスが角砂糖で作ったシグナルにどんな意味があるのかワカラナイが…ティスが敢えて見せたのなら、また同じ夢を見る可能性がアル。寝る前には心の準備が必要だ。色々考えるのはソレからにしよう」
「ROG…テリィたん、ごめんなさい」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
カルチャーセンターの図書室。僕とミユリさん。図書室で彼女と星図を広げる。萌えるシーンだ。
「コレが"秋の大三角形"か。エアリは、自分の図書館でズッと調べてた星座だ。彼女は、地球が冷え固まってからズッとアキバにいた妖精で、人類よりも知識があるけど勝手に暴走しては災難を招く」
「ソレが妖精の推しゴトですから仕方がありません。とにかく、私達3人は大事なメイド仲間、テリィ様は私達3人の御主人様ですから」
「そうだね。僕が第3新東京電力をクビになったら、みんなで何か起業しようと思ってルンだ。しかし、ナセラが僕達にどんな真実を語ろうとしてるのか、よくわからなくなってきたな…あ。もちろん、メイドには御主人様を選ぶ権利がアル。どんな御主人様を選ぶかはメイド自身が決めるコトだょ」
ミユリさんは、PCを叩きながら微笑む。
「不束なメイドですが、どうぞよろしくお願いします…ヒットしました、テリィ様。現実に"秋の大三角形"の一角を担う牡羊座は12宮の第一室。超古代より様々な宗教儀式を司る星室だそうです…でも、今宵は星の配置が三角形になってないわ」
「今の星座の配置をPCで出せるかな。元サイバー屋のスピアを呼ぼうか?」
「大丈夫。アリエスは…今宵は星空の外みたいです…テリィ様、私より良かった?ティスとのキス」
地雷だっ!dancing on the knife edge!
「えっ?あ、ん、いや、その…僕が僕じゃないような気がした…ょ?きっとアレは僕じゃなかったンだ。そーだ。そーに違いない(ナイスな応えだ!)」
「ソレがテリィ様の"覚醒"で無いコトを願います…"小惑星帯"です。小惑星帯がこの位置に現れて、初めて三角形になるんだわ。前の満月の頃も天空がココに移動してます」
「ソレはちょうどティスが現れた頃だ!」
シメタとばかり大声で指摘スル僕。さらに地獄のダンスタイム終了を告げる天使が腕を組んで登場だ。
「ウソォ!何でカレルがティスと歩いてるの?」
カレルは…ミユリさんの池袋時代のTOだ。
そのカレルか何とティスと恋人気分でルンルン腕組み登場。バツの悪そうなミユリさん。騎兵隊だっ!
「やっぱりティスは何か企んでるな」
僕は大声で叫ぶ。
第3章 先を急ぐ恋人達
御屋敷のデシャップカウンター。
「スピア。私、今考えてたんだけど」
「え。何ょマリレ。まさかまたキューベルワーゲンを貸せって言うんじゃないでしょうね」
「いいえ。私達のコトょ」
その一言に敏感に反応するスピア。
「私達?…ねぇどういう風の吹き回し?」
「スピア。私、マジで話してルンだけど」
「ウッソォー。熱でもアルの?インフルエンザ?」
未だ冗談半分のスピア。
「からかわないで。私、昨夜よく眠れなかったし」
「まさか…私のコトを考えて?」
「YES」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
同時刻。数m離れた御屋敷のバックヤード。
「エアリ!そんなに慌てて何ゴトだょ」
「私、大事な話があるの。テリィたん、前は私、姉様の次でもOKって言ったけど」
「おいおいおい。割り込み禁止だ。ミユリさんの後ろに並んでくれ」
エアリは僕を壁に追い込み壁ドンw
「わかってる。だから、セフレで良いの。テリィたんのNo.1になりたい。他の人じゃなくて」
「他の人のセフレもやってるのか?」
「あ、いえ、まさか。ナイわ。テリィたんだけよ」
信じられんな。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「スピア。私は貴女と1対1でつきあいたいの」
「マリレ。ソレってもう他の女子とは百合スルなって言ってる?」
「はい?ソレってどーゆー意味?」
スピアは浮気でもスル気なのだろうか。
「だって、もう私はマリレとサシで付き合ってるょ?違うの?」
「え。あ、そーね」
「それとも、マリレは私の他に誰かと二股かけてるの?子供とかもいたりして」
マリレは頭が混乱してくる。
「勝手にシングルマザーにしないで。とにかく!この際、私達が正式に付き合っているコトを公表したいワケ」
「私達が公認の百合になるの?私、マリレのステディになるってコト?」
「そーゆーコトになるわね。だって、そうすれば誰にも私達の仲を邪魔出来なくなるわ」
マリレの言葉に、もうスピアは天にも昇る気持ちだ。すっかり警戒心を解いて手放しで舞い上がる。
「そうね!OK。ネェいつも私のコトを考えて寝不足になってょ」
「昨夜の話はもうヤメて」
「alright」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
バックヤード。エアリは、今にも僕を推し倒しそうだ。妖精なので、背中の翅で容易に舞い上がれるw
「あのさ。いくらセフレとはいえ、も少しロマンチックに逝こうぜ。神田リバー沿いに…」
「ラブホ?ダメ。もう待てないわ」
「ま、待て!話せばわかる!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
同時刻。スピアとマリレもキス。ソレも御屋敷のホールの真ん中でだ。店内に気まずい沈黙が広がるw
「マリレ。みんなが見てるわ」
「構わないわ」
「構って!…あの、ちょっと、バックヤードに行きましょう」
珍しく冷静な発言をするスピア。マリレに肩を抱かれ衆人環視の中をバックヤードのドアを開けると…
「テリィたん!…え。エアリと?」
「ま、待て。このキスに愛はない。単なるセフレとの握手みたいなモノで…」
「ってかマリレ。スピアとココで何スル気?」
僕とエアリは慌てて唇を離しながら煙幕を張る。スピアは唖然、マリレはニヤニヤだ。エアリが宣言。
「私達、こうなったの!」
「エアリ。私とマリレもステディになったわ」
「ソレはおめでとう、スピア」
僕のまとめ。
「みんな、最凶だ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
悪の巣窟ホテル"レコル・アクシヲム"。ベッドに腰掛け胡座のような格好でエアリは足の爪を切る。
「テリィたん、ごめんなさい…セックスの途中だったのに突然、足の爪を切りたくなって」
「気にするな。せっかくだからモグモグタイムにしてUperで"スキ屋の酸辣湯麺スキ鍋セット"を頼もう。卵を追加してスタミナつけたい」
「(ソレを聞いて)なんだかスゴく疲れたわ。今は、スキヤキ食べるよりも少し横になって休むわね。なんだかとても眠くて」
目を瞑るエアリに毛布をかける。あっさり寝息を立てるエアリ。握っていた手を離してオデコにキス。
「エアリ。君ってホントに綺麗だね。さぁ僕との良い夢を見てくれ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
フラッシュバック。夢の中でエアリは…マリレとキスしてる。脳内に喘ぎ声が漏れ、官能が駆け巡る。
「あぁマリレ!マリレ…うっ」
「エアリ、待っていたのょ…あっ」
「来て、早く!」
キスしながらマリレに足を絡ませるエアリ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
一方、リアルなマリレはシフト明けで深夜のパーツ通りを急ぐ。真正面からメイド服の女が…ティス?
「何?まちぶせ?」
「貴女は知ってるハズよ。だって、行ったコトがあるのだから」
「え?」
ティスは、黙って右手で天空を指差す。彼女が差す先、凍てつく星空に輝くのは"秋の大三角形"だ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
御屋敷。ミユリさんがスピアのPCを覗く。元サイバー屋のスピアはメイド協会をハッキング中だ。
「どう?協会のDBにティスのデータはあった?」
「稚内から鹿児島まで、マジ全国の御屋敷を渡り歩いてるわ。勤務態度は…まぁ普通みたいょ姉様」
「うーん人物評価とかに変な記述はナイ?」
カウンター席のスピアは全力で渋面。
「あったわ。ティスは"時空エイリアン"で別名はナセラ。マルチバースのアチコチで指名手配だって」
「おいおいおい…こんなの調べたってシッポは掴めないよ。ティスは完璧メイド宣言に化けてルンだ…あ、あれ?カレルが御帰宅してきたぞ?」
「あ、テリィ様。私が呼んだのです。ティスのコトで警告しておかなくちゃと思って」
カウンターから出て来るミユリさん。
「奴がミユリさんの話を真面目に聞くかな?」
「はい。だって、私達は以前は何でも話し合う仲だったのですから」
「ソレは、姉様と付き合ってた頃の話でしょ?姉様にフラれてから、カレルはずいぶんヘソ曲がりになったってウワサょ」
いや、もともと奴のヘソは曲がってるw
「とにかく!私の元TOがティスに利用されるのを黙って見ているワケにはいかないわ…来てくれてウレシしいわ、マハラジャ。話があるの」
「ミユリ、何だょ話って?」
「実はマハラジャが巨乳はぐれメイドのティスと一緒にいたのを見たって人がいるの(私だけど)」
破顔一笑、手放しで喜ぶカレル。
「あのメイド、可愛いょな!やっぱり童顔に巨乳って最凶だ…あ、ごめんミユリ。悪かった」
「(童顔?)まぁ確かに(私と違って)巨乳だけど…で、貴方はティスと何を話していたの?」
「それがどうした?」
グッと声を落とすミユリさん。ほとんどヲバさんの井戸端会議のノリだw
「ちょっち彼女の悪い噂を耳にしたモノだから」
「え。どんな?」
「つまり、その、ヲタクとの付き合い方がね…よりどりみどりのヲタサー姫上がりだから、気分で誘惑しておいてポイポイ捨てルンだって」
そりゃ許せんなw
「あれ?ソレじゃ、まるで誰かさんと同じじゃナイか?」
「とにかく!気をつけてね。私ならあのメイドとは店外交友しないわ」
「ソレは…ひょっとしてヤキモチか?」
やっと気づくカレル。鈍いw
「まさか!何で私がカレルに?」
「ソレじゃ何?元カレが(自分にはナイ)巨乳のメイドとラブラブになるのは許せないのか?自分でTOを捨てておいて?」
「違うわ!そんなんじゃナイのよ。変な風に取らないで欲しいんだけど、マジ貴方の為を思って言っているの。信じて」
すっかりカレルにペースを握られてる。
「ミユリ。ソレじゃ聞くがコレ以上俺がティスと仲良くなったら、ミユリは何か困るのか?実は今宵、一緒にリサーチの約束をしたんだけどな」
「カレル。ティスは、貴方が思ってるようなメイドじゃないのよ」
「いや、見ての通りの巨乳だ。ソレ以外の部分についても俺が判断スル」
謎のドヤ顔をキメるカレル。
「…わかったわ。とにかく!2人きりにならないようにしてね。利用されるだけだから」
「利用されたって構わない。何しろティスとリサーチするのは"カルチャーセンターの図書室なんだからな。アソコなら危険な目に遭いっこナイだろ?」
「"死ね死ねプラザ"の図書室?」
しかし、スゴい名前のプラザだな。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
スゴい名前のプラザの図書室。僕とミユリさんは本棚の影に身を隠してる。まぁミユリさんはメイド服ナンで、かなり目立ってるが…とにかく隠れてるw
「テリィ様は、ティスが私達を誘き出すために、カレルを囮にしてるとおっしゃるのですか?」
「YES。絶対そうだ。ワナとハッキリしたら、ミユリさんはカレルと逃げてくれ」
「ダメです!私が御一緒してるのは、ティスの"巨乳引力"からテリィ様をお守りスルためですょ」
ミユリさんって案外ヤキモチ焼きナンだな。
「ティスが来たぞ!見ろ、あの深い胸の谷間をムダに強調したVネックを!」
「ずいぶんデーハーな登場deathね」
「恐らく僕達に気づかせるためさ」
間違いなく気づいてるし。しかしスゴい"引力"w
「テリィ様。ナセラは、ナゼこんな回りくどい手を使うのでしょう?」
「万世橋や南秋葉原条約機構と同じさ。ナセラも確信があるワケじゃナイ。だから、探りを入れてルンだ」
「ROG。別々に2人に近づきましょう」
奥の本棚に消えるティス達。追うミユリさん。
「いや、危険だ。ミユリさん、君は帰れ」
「テリィ様、何逝ってるの?貴方(の浮気)が心配なの。危険なのはア・ナ・タ!」
「僕なら大丈夫だ」
ミユリさんは僕から離れないw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「カレル!コッチ。コッチの本棚ょカレル」
「超古代言語?紫式部よりかなり古いけどカルチャーセンターで出た課題と何か関係あるのか?」
「全くナイわ」
1番奥の本棚でティスは胸の谷間をチラ見せ。
「そ、そーゆーコトか。は、鼻血が…」
「ヤメて。センターから出た課題の関係で読んでみたい本がアルの」
「ソレより超古代から親しんできたボディランゲージでコミニケーションを取らないか。実は悪の巣窟ホテル"レコル・ヲキシアム"に神田リバーを見下ろす素敵な部屋を…」
ティスは上を指差す。今度は天空ではなく天井だw
「1番上の棚だから脚立が要るわ。悪いけど、私のナイスバディを下から支えててくれナイ?」
「お安い御用だっ…わぉトランジスタグラマーを下から見上げるナンて、今宵最凶のビジュアルだ!生きててマジ良かった」
「いやーん!あともうちょっとょ!」
脚立の上で爪先立つティス。下から見上げてパンツが丸見えなのだろう、アッサリ鼻血を噴くカレル。
「ミユリ姉様。見てる?」
「ティス。貴女、いったい…」
「ソコで見てるが良いわ」
僕はミユリさんから首4の字をかけられ…じゃなく肩車をしてる。ミユリさんは脚立の上のティスと本棚の上から首1つ飛び出した位置で向き合う。
「@&〆】→♫」
ティスは超音波を発し、ヤニワに天井に手を突っ込む。次の瞬間その手には円筒印章が握られている。
「カレル、ありがとー。やっぱココにあったわ!」
「え。もう見つけたのか?待て。未だアルかもょ?俺、下からシッカリ支えてるからもっと探せょ。で、ソレ、どんな言語?」
「失われた文明の言葉ょ。さ、帰りましょ」
ミニスカートのままパンツ丸出しで脚立から飛び降り、スタスタと歩き出すティス。後を追うカレル。
「何ナンだよーティス。(パンツを)見たばっかり、じゃなかった、ココに来たばっかりなのに」
「…ミユリさん。ティスはどーした?何かを持ち去ったのか?」
「異なる時空、異なる世界線の文字で描かれた円筒印章です。恐らく、ティスはアレを見せるために私達を引き寄せたのね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ミユリさんが御屋敷に戻るとマリレにバックヤードに連れ込まれる。口角泡を飛ばし語るマリレだが…
「神田佐久間河岸?マリレ、突然何の話?」
「姉様、だからソレが"秋の大三角形"が指し示す場所なんだってば。昔は河川交通の物流拠点だったけど(第二次世界大戦の)終戦直後にGHQに接収され、今は古びれた船着場が残ってるだけ」
「ソレ、テリィ様から伺ったコトがアルわ。何でも敗色濃厚だった旧日本軍の起死回生プロジェクトだったのでしょ?タイムトンネルの類で、大本営はミッドウェー海戦をやり直すつもりだったとか…」
いかにも僕が好きそうな架空戦記の世界だ。
「とにかく!全ての痕跡は巧妙に消されてるけど、渦巻きヒエログリフに導かれるママに行くしかナイのょ」
「ねぇマリレ。貴女、ソレを自分だけの力で突き止めたの?ティスにソソノカされてだったら、私は降りるけど」
「待ってょ姉様。私だってスピアと百合してると何かが目に浮かぶコトがアルの。姉様とテリィたんみたいに…で、姉様。カルチャーセンターの図書室では何か起こったの?」
瞬時に全力でスッとボケるミユリさん。
「いいえ。別に何も」
「姉様、ウソばっかり。何もなくて、ただテリィたんと勉強してたって?あり得なーい」
「マジ何もなかったの。エアリには明日話すから、マリレも今宵はココに泊まって逝けば?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
苦しげに寝返りをうつエアリ。夢の中でフラッシュバックが起きる!児童公園で子供のブランコを推すエアリ。その子供を抱き上げるのは…ん?マリレ?
「ほーら。ママでちゅよー」
全身汗まみれになり飛び起きるエアリ。暗闇の中を歩き部屋の外に出ると廊下にマリレが立っている。
「マリレも同じ夢を見たの?」
「YES。私達2人に…赤ちゃんがいたわ。きっと全部マジょ。私のお腹の中にはエアリの子供がいるんだわ。あぁどうしてこんなコトに!」
「遅かれ早かれ、私達はこうなる世界線だったんだわ。ミユリ姉様やテリィたんにどう思われようとも…私達、もうタダの腐女子には戻れない」
自ら歩む世界線に恐怖するマリレ。
「私達、コレからどうなるの?」
エアリは、無言でスピアをハグ。窓の外に広がる天空には"秋の大三角形"が妖しく瞬いている。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
一方、ミユリさんと別れた僕の方は、真夜中のパーツ通りで真正面から歩いて来るメイドと遭遇スル。
ティスだ。胸の谷間&(ミユリさんにはマネ出来ない)深い胸の谷間チラ見せのケシカランメイド服。
ティスだ。
「時が来たわ。テリィたん、この言葉の意味はわかるでしょ?」
「この妙な感覚は何なんだ…」
「全部教えてあげる。そうすれば、テリィたんもきっと思い出すハズ」
トランジスタグラマーのティスは僕を見上げながらメイド服の2つの胸の膨らみで僕をツンツンするw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ココょ」
神田佐久間河岸で僕のケッテンクラートから降りるティス。背中に推しつけられた巨乳の感覚が消滅w
「私達は、みんなココに来たコトがアル」
「みんなって誰だょ」
「私を抱けば、全てを思い出させてあげる」
ティスは、自信タップリに巨乳を揺らしモンローウォークで僕に近づく。僕は…ティスを突き飛ばすw
「何するの?」
「今まで何人殺した?手始めは"時空波動帯垂直ジャンプ理論"を描いた天才アサトさ。彼女を殺したのは君だろう」
「話がピーマンだわ。いったい何の話?」
浮気中に本妻に踏み込まれた尻軽女よろしく、平然と無実を主張するティス。アル意味で沈着冷静だw
「次はハブルの奥さんか?逃走用の車を奪うために君は罪もない女性を殺したんだ」
「私は誰も殺したりしてないわ!」
「彼女の他にも胸の谷間に光り輝く手形が残る殺人が次々に起こってルンだ。この連続殺人鬼め、次は誰を殺すつもりだ?ミユリさんか?エアリか?マリレか?まさか"覚醒"してないスピアも…」
思わズ絶句スル僕。
「私は誰も傷つけるつもりはナイわ」
「じゃ何が望みなんだ?」
「私が望んだコトじゃない。全て世界線に導かれた運命なの。この円筒印章に全て描いてあるわ」
ティスは、ポケットからカルチャーセンターで手に入れた円筒印章を出して、僕の面前に突きつける。
「ヤメろ。ミユリさん達はティスとは違う。彼女達は、アキバのヲタクマックス世界で腐女子として生きて逝く決心をした。ティスの邪悪な手には乗らないぞ」
「私のどこが邪悪なの?」
「コレはニセの姿だ。変身スル前のリアルの姿を見せろ」
ティスの金髪を掴む僕。
「ヤメて!レフリー、反則攻撃ょ…私、変身なんかしてないわ」
「正体を現せ、シリアルキラー!お前、姿を変えてルンだろ?覆面レスラーみたいに」
「あぁ私は覆面レスラー。私からギブアップを奪って覆面を剥ぎ取って!でも、私はテリィたんが思ってるような連続殺人鬼じゃないの!」
抵抗するティスを地面に推し倒して馬乗りになる…もう僕が僕じゃナイみたいだ。何かに操られてる?
「お願い、思い出して。私の顔に何か見覚えがあるハズょ。なぜなら、私はテリィたんのフィアンセだから」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
人類文明が遥かに及ばない地底世界に光のビッグバンが起き、突然"リアルの裂け目"が開く。螺旋が無限に続くトンネルからヨロめき姿を現す3人の子供達。
「まぶしい…」
"リアルの裂け目"から溢れ出す光の洪水に目をしばたたかせながら、先頭を歩く美少女が後に続く2人に手を差し伸べる。3人は見つめ合い振り向く。
「あの子は?」
光の洪水の中に幼女が倒れている。美しい金髪。幼くも豊かな胸。3人は超音波で呼ぶ。少女はピクつく。3人が呼ぶ幼女の名前は…え。何?テリィ?
「やっと思い出してくれたのね。テリィたん、コレが私達の世界線なのよ」
朝焼けのパーツ通りで、ティスが僕に手を差し伸べている。天頂の"秋の大三角形"が薄明に滲む。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「テリィ様、ティスから離れて!貴女、テリィ様に何をしたの?貴女が闘う相手は私ょ!」
「違うんだ、ミユリさん。ティスは、ナセラではなかった!ミユリさん達の…仲間だったんだ」
「私達の仲間?ティスは…何者なの?」
朝焼けに染まるアキバ。僕達は立ち尽くす。
おしまい
今回は、海外ドラマによく登場する"誕生の秘密"をテーマに、やっと萌え始めたミレニアルな秋葉原を舞台に展開されるボーイミーツガールです。素朴な時空SFにセクシー要素を絡めたら、急に筆致が上がり、楽しく?描けました笑。
海外ドラマでよく舞台となるニューヨークの街並みを、心なしかインバウンドが減った秋葉原に当てはめて展開してみました。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。




