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20.初戦の勝利

翌朝、五人は緊張した面持ちで、学校の中心にある巨大なドーム型アリーナに向かった。

ここは普段の訓練場とは異なり、観客席が設置されており、最高レベルの安全設備が整えられている。

また、毎年の高校大会もここで開催される。


「ここに来るのは初めてだ……」


安藤の目は好奇心に満ちていた。ここは維持管理の関係で、普段は学生の立ち入りが禁止されていたからだ。

「対戦相手の情報はもう掲示されているだろうか?」

「もう10時だから、掲示板に出ているんじゃないか?」


一行は大きな光幕の前に向かった。既に多くの生徒がその前に集まっていた。

背の低い安藤は林に先に入って見てもらうことにした。大柄な林はすぐに周囲をかき分け、情報の前にたどり着いた。

しばらくして、林は戻ってきて言った。

「対戦相手は一年生の普通クラスの生徒たちだよ。秦野、誰か知ってる人はいる?」


林が名前を伝えると、秦野は少し思い出そうとしたが、誰も知らないようだった。

「普通クラスは8つもあるからね、全員覚えているわけじゃないよ。」

「大丈夫さ、相手も私たちのことはよく知らないし、下手したら油断しているかもしれない。試合で私たちの力を思い知らせてやろう!」

「おう!」


士気を高めながら、一行は試合会場に向かった。

対戦相手の5人も既に会場に入っていて、簡単なウォーミングアップをしていた。

リーダー格の生徒は控えめな印象で、眼鏡をかけて長い前髪を垂らしており、安藤には視線を読み取ることができなかった。


審判が前に出て、全員の身分を確認した後、指定された開始位置に立つよう指示した。

会場は半径50メートルの円形で、開始時は互いに円の端に位置しており、距離は100メートルほどだった。

この距離はほとんどの魔法の射程を超えており、開始直後に攻撃を受けることはないようになっている。


「準備はいいか?」


審判は上空から双方のチームの様子を確認していた。彼にとっては日常の業務であり、すべてが整然と進んでいた。

「はい!」


安藤たちは準備が整ったことを示した。

相手チームのリーダーも手を挙げて合図した。

「よし、それでは全員動きを止め、三秒後にホイッスルが鳴ったら試合が開始する!」


「ピッ、ピッ、ピッ——」


「開始!」


林と嘉原はすぐに前に出て、陣地を確保しに行った。安藤の計画では、円の中心から10メートルの位置に立つことで、会場全体を攻撃範囲に収める狙いがあった。彼ら二人の役割は、相手の攻撃を受けながら陣地を築くことだった。


安藤と尤川もその後に続き、秦野はすでに魔法の構築を始めていた。相手が林と嘉原の動きを妨害しようとすれば、すぐに阻止できるようにしていた。

しかし、相手は先手を取ろうとせず、その場で呪文を唱え始めた。


「ふん、油断しているね。秦野、こっちに来て。」


目標が達成され、次は安藤が活躍する番だった。

「火球術!」


安藤は低級の火球を試しに使ってみた。投げられた火球が相手の陣地に近づくと、柔水盾がすぐに展開され、水と火が相反し、火球の魔素が消耗されて攻撃は完全に防がれた。

「もう中級魔法が使えるのか……」


柔水盾は低級から中級の魔法の中でも万能の防御魔法で、多くの魔法使いが学んでおり、特に火系の攻撃に対して効果が高い。


「林、もっと前に進め!」


安藤の指示で、林は相手全員の目の前で、地面に作られた岩の盾をそのまま引き抜いて突撃し始めた。

「早く、止めろ!」


相手のリーダーは、林のこの大胆な行動に驚き、魔法の構築時間と魔素の節約に成功した彼の動きに焦りを見せた。

「遅い!」


嘉原は岩の盾の陰に隠れながら、木系の魔法の構築を既に完了していた。

「絡みつけ!」


リーダーは側面に飛び出して正面からの制御攻撃をかわしたが、林への攻撃魔法の構築が中断されてしまった。

「いいぞ!」


安藤は嘉原に親指を立て、林に向かって走り寄った。相手のチームも反撃を開始し、3つの火球が林に向かって飛んできた。


「いいね……」


安藤は右手を上げて呪文を唱え始め、審判も少し緊張した様子で、救援に入る準備を整えていた。

林は安藤の動きに気づき、盾を放棄してその場に伏せた。


安藤の前に水球が現れ、審判は叫んだ。

「水球術じゃ火球を防げないぞ!柔水盾くらいでなければダメだ!劣等班ではこういう常識を教えないのか?」


しかし、水球の中央に小さな火花が灯っていた。

安藤の目が狡猾に輝き、3つの火球が彼に近づく寸前、彼は最後の魔法構築を完了した。


「蒸気爆弾!」


水球が瞬時に爆発し、発生した圧力で3つの火球を跳ね返した。狙いを定めていなかったが、ちょうど中央の火球が相手チームの中心に向かって返されていった。


「まずい!盾を構えろ!」

「間に合わない!」


一瞬の出来事により、相手のリーダーは2人の女性を抱え、爆発を避けるために地面に伏せた。

彼は吹き飛ばされる覚悟で目を閉じて待ったが、2秒経っても爆発音が聞こえなかった。


顔を上げると、審判が彼らの前に立っているのが見えた。

リーダーの表情は、命拾いした安堵から一転して落胆に変わった。

審判が試合に介入したということは、彼らが敗北と判定されたことを意味していた。


彼は足が震える仲間たちを支えながらリングを降り、審判が安藤たちに向かうのを見つめた。

「君、さっきの魔法は何だ?」


審判も驚いていた。普通の水球術と火球術で、どうやって火球を跳ね返すことができたのか。

「企業秘密です!」


安藤は笑って言った。審判に説明する義務はなく、試合中のテクニックは彼の切り札だからだ。

「私たち、勝ったの?」


尤川が安藤の後ろで聞いた。試合が終わるまで何もできなかったため、少し驚いていた。

「勝ったよ。どうした?物足りなかった?」


安藤は彼女の頭を軽く撫でた。最近の集訓で彼女は一生懸命頑張っていたのに、今回は活躍の機会がなかったのだ。

「ううん、勝てばいいの、勝てば。」


彼女は少し残念そうだったが、チームが勝利したことに満足していた。

安藤は他の仲間の様子を観察し、まだみんな元気そうだった。


それも審判が早く介入したおかげだろう。安藤は火球術一発で相手が全滅するとは思わなかったが、審判が試合を止めたことについては心の中で少し疑問を抱いていた。

だが、教師が学生の安全を守る意図自体には何の問題もなかった。


「学生をいつまでも温室育ちにしておくべきじゃないな。魔法使いになるのも軍人になるのも同じで、いずれは血を見る必要がある。」


「みんな、どう? まだもう一戦いけそうか?」

安藤は仲間に意見を求めた。


4人とも賛成の意思を示した。

「私なんて魔法を一つも使わないうちに終わっちゃったよ。」


秦野は口元に手を当てて微笑んだ。手の中に溜めていた水の波が、反撃のための準備は整っていたが、その機会は訪れなかった。


「よし、もう一戦いこう!」


初戦の勝利により、5人は戦意を高めていた。

しかし、対戦表を見た林の顔はあまり良くなかった。

「次の相手、三年生だ……」


「三年生?」


安藤は不思議そうに言った。試合相手はポイント順で決まるはずなのに、彼らはまだ一戦しか勝っていないのに、なぜ上級生と当たるのか?

「どうやら、相手チームは新たに編成されたため、ポイントがゼロらしい。」


安藤はすぐに理解した。まるで低ランクのプレイヤーに挑む“サブアカウント”のようなものだ。

「問題ない、戦おう!やつらを完膚なきまでに叩きのめしてやるさ。」

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