腐った空気と日常~kusattakuukitonitizyou
栄太の家より約15分間ずっと自転車に乗り続ける事でたどり着く事ができる、なんとも普通の家と変わらない家、この家の周りには家と呼べるものも少なくなっている、ある物と言ったら鉄パイプ、鉄くず、ボルト、ナットなどが錆びて転がっている
あいからわずこっち側は空気が悪い
そのためかあまりにも長居したら吐きそうになる、ちなみに今も
俺は片手で軽く口元押さえつつ、片手で自転車を動かす
何とも普通な家の近くに自転車を止めた後周りを確認する
今ではもう使われなくなった工場、廃工場が風景のほとんどを占めている
「良くこんなところに住めるなぁ~」
俺だったらたぶん2日も持たないだろう、何か不気味だし
なんて考えながら、普通の家の呼び鈴を押す
「ピーンポーン」
「………」
あれ、いないのか?
でもあいつが出かける事なんてまずないだろうし、主に引きこもりのため。
かといって気づいてないわけでもないだろうし
まさか、まさか、殺人?
「………」
うな、ベタな話があるわけないだろう
俺はちょっと苦笑しもう一回呼び鈴を押す
「ピーンポーン」
「………」
自分の汗があごから手に落ちる
やっばい、何か冷や汗かいてきたんだけど、いやまてよ、珍しく出かけているってパターンもあるわけだよな、うん、やはりそんなベタな展開があるはずがない
と、俺が自己解決すると同時に秀太の自転車が目に入る
一瞬心臓がマジで止まりそうになった、だってあいつが自転車に乗らないでどっか行くことなんてあるはず無いから………
次だ、次でなかったら、窓から攻め込もう
「ピーンポーン」
「………」
「窓ガラスってどう割った方がいいんだろう?」
と、俺が真剣に考えこもうとすると
「はい、誰すか」
いきなり声が聞こえて、わずかに仰け反る
びっくりした~、本当にびっくりした
てか、一回で出ろよ、無駄な事色々考えてしまったじゃないか
と考えつつも、言葉を返す
「栄太だよ」
「入るすよ」
ウィ~と言って、俺は扉を開ける
玄関には入るが靴は脱がずにそのまま奥に歩いて行く
中に入るとすごく暗い、窓もないし壁などに穴も開いてないため玄関の扉を閉めると本当に暗い何も見えない、だが暗いおかげで奥の方でわずかに光っている部分が良く分かる
足元をおぼつかせながらそこに向かって壁伝いで歩いていく
何も見えないとは怖いものだ
「っ!」
タンスぽっいのが置いてあったらしく、俺の右足から何とも鈍い音が聞こえる
あまりの痛さにその場にうずくまる
何か今日右足に負担かかってばっかじゃない?
しばらく痛みと対決してから、俺は立ち上がりもう一度光に向かって歩いていく
俺はまた同じ事にならないように軽く下の方を重視して歩く
と言ってもほとんど見えないのだが
しばらく歩くと光に手を伸ばせばもう届くぐらいの位置に来ていた
そこで安心してしまうのが俺の悪い癖だ
下を見るのをやめてしまった
結果を言うまでもない俺は光に向かうために前を向いて歩いてしまったため右足があたる
工具が沢山つめてある箱に右足を
「ぁぁ~!」
それだけでも激痛が走ったのに、右足で蹴ってしまった箱の壁が破れ中に入っていた工具が右足の上に落下する、もし一個ならまだ耐えられたかもしれないだが分かるように箱に入っていた分全部が俺の右足に降りかかる
「いったぁぁぁ!」
今のこの痛さを言葉にしてみよう、雨で滑りやすい道を思いっきり走っていると前から人が来たため急に方向転換して、思いっきりこけた時に左手の小指だけですべての衝撃を受けきった時の痛みだ
それかシャーペンの芯が10本連続で刺さった感じかな
今日三回目の右足ダメージに耐えていると不意に電気がつく
すると今目指していた光の中もとい扉から
仲田秀太が出てきてしゃがみこんでいる俺を見下ろして言う
「電気くらいつけるすよ」
スイッチの場所が分かればこんな苦労する事なかったての!
と、言いたかったのだがあまりの痛さに答える事ができない
仕方なく俺は涙目のまま秀太を睨みつける
すると秀太は目を細めて扉に戻っていく
俺は声を絞り出す
「置いてくのかよ!」
俺がそういうとこっちを振り向きもせず軽く手を挙げ、振ってくる
何故かめちゃ悲しかった
しばらくするとやっと痛みも引いてきたので、立ち上がろうとするとまた、右足に激痛が走る、ほんのちょっと動きを止めると痛みが引く
「………」
もう一回動く、激痛がまた走る
折れてないだろうね?
何とか時間をかけて、秀太の研究室らしい所についた俺はとりあえず、部屋の端に置いてある、ベッドにダイブする
「勝手に飛び乗らないで欲しいんすよ」
そう言って机のパソコンと向かい合っていた秀太がこっちを向く、
秀太は髪が黒色で真っ白の服を着ている、この白い服のせいで滅茶苦茶、博士らしく見えてしまう
腕には常に赤色のリングを右手に2個、左手に1個、さらに青色のリングを赤色にはさまれるように右手に1個、左手にも1個つけている
同級生でかなり頭が良い、全国4位って本当にやばいよな
俺は寝転がったまま部屋の中を確認する
部屋はかなり散らかっており、目立つのが拳銃
「………」
たぶんレプリカだろう、たぶん
実際にはここは秀太の部屋ではないのだが
秀太いわくこっちの研究室らしいところの方が落ち着くらしい
ちなみにこいつの本当の部屋は二階にある
「珍しいすね栄太から来るなんて」
ちょっと俺が拳銃でビビッタのを、察して話題を作ってくれたのか
それとも拳銃から目線変えさせたかったのか、ちょっとあせった声で俺に何故来たのかを問いかけてくる
「色々あってさ、しかもちょっとオカルト」
そういうと、今のあせっていた感じが消えて、目に光がともる
何だ、その新しいおもちゃをもらった少年のような目は?
「ほう、それは聞かないとだめですね」
「実は」
「うん、うん」
と、いつの間に席を立ったのか俺の目の前に秀太がいる
「なんと」
「おお」
秀太がすごく、顔を近づけてくる
ちょっとマジで近いんだけど
俺はちょっと静かに言う
「近所のガキが何故か超能力? らしいもの使うようになってんだよ」
秀太の顔がわずかに曇る
「栄太、冗談言いにここまで来たんすか?」
何かすごく嫌な空気が出ていたのであわてて言い直す
「いや、だからおかしいんですよ、昨日までは超能力なんて非科学的だって言っているテレビ見ていたぐらいなんだから」
すると秀太は、もっと顔を曇らせ言う、
「超能力は昔からあるすけど………!」
しばらく秀太が黙り込むととりあえずと言って、秀太は俺の頭を叩く
「いった!? 何?」
しかし俺の質問に答えることなく、秀太は目を閉じる
しばらく沈黙の時間が流れ、秀太が何かを悟ったお坊さんのような顔をしてゆっくりこっちを見て言う
「栄太、違う世界から来たみたいすね」
さすがオカルト大好きやろう、いきなりすばらしい発言だよ、違う世界って何?
パラレルワールドみたいなもの?
ありえない、ありえない
「分かりやすく言うとパラレルワールドすね」
本気だったよ、もう俺が言う事なんて何にもないや、君はもう立派な妄想族だよ、もしくは厨二病!
とりあえず質問
「何で分かったんだ、俺がパラレルワールドから来たって」
俺の率直な疑問だ
「あ~、そうっすねそっちの世界じゃないみたいすね」
「何が」
秀太はまたパソコンの前に座る
「超能力すよ」
「あるわけないじゃん!」
そう答えると、秀太はちょっと黙る、するとパソコンのタッチの音だけ聞こえてくる
「まあ~簡単に超能力説明してきますけど」
「はいはい」
と説明しようとすると、あ、と言ってこっちを向く
「私の超能力は、脳4 だからできる事は相手の記憶を読んだり、考える事をできなくしたりする事が可能すよ」
そこまで聞いてやっと理解する、さっき頭を叩いたのも俺の記憶を読んで、何があったか調べたと言うことか!
そこまで理解すると、秀太の超能力についての説明が始まる
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2時間後
え~と、とりあえず今説明されたことをまとめると
この世界では人が生まれたときからある
弔電子ってのがあってそれが一人一人違って性質があるらしくそれによって使える能力が違うらしい、ま~あっちの世界でのDNAみたいのかな?
しかし、弔電子にも似ているのはいるらしくよって同じ能力でも力の差が出てしまうらしい
あと秀太、いわく
「たぶんこっちの栄太とそっちの栄太が入れ替わったんすね」
だそうだ、あっちの世界の俺大丈夫だろうか?
みっちり教えてくれた秀太先生は、ちょっと横になったまま、補足と言って俺に顔を向ける、
後何故か授業中ずっと、正座だった俺は、立てない
「栄太はまだ超能力何か分かってないんですよ」
「ふ~ん」
何かそれ立見も言っていたような気がする
「確か明日、明後日ぐらいって言ってたすよ、栄太自身で」
「ふ~ん、分かった、じゃあとりあえずしばらくは家でのんびりしとくよ」
ちょっと俺の超能力ってのも気になるしな
俺は何とかしびれていた足を立てて、外に向かう
じゃ~な、と言って扉から廊下に出ようとしたのだが秀太に引き止められる
「漫画でも借りるすか?」
「2、3個ほど」
「即答すか」