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ver.1 お豆ちゃんの語り ❶残酷

3つ下の我が愛弟 お豆ちゃんは、度々中学時代の思い出を語る。お豆ちゃんの学校は果て地のような山の中にあり、常に山のヌシたちとの遭遇の危険をはらんでいた。


お豆ちゃんの学校は俗にいう進学校で、1番上のクラスは毎年のように「旧帝大」(東大、京大、阪大、名古屋大、北大、九州大)の合格者を出す猛者たちが揃う。ちなみにお豆ちゃんのクラスは有名私立大学合格者の多いクラスだった。

「わー凄い!優秀!」とか思う人も多いと思うのだが、我が弟の口から毎度のように出てくるのは勉学でも学校行事の話でもない。


学生生活を経験した人の多くは、個性あふれる教師陣の思い出を持っているのではないだろうか。お豆のクラスも例外ではない。


2年になり、パソコンを扱う情報の授業が始まった。お豆ちゃんたちは初めての授業に少し緊張の面持ちで室内に入った。

チャイムが鳴り、しばらくすると少しクセのありそうな男の先生と女の先生が入ってきた。

お豆ちゃんは目を見張った。

女の先生がアキバのメイド喫茶に紛れ込んだような錯覚を覚えるゴスロリファッションで降臨したからである。さらに男の先生が、一通り挨拶を終え、いざ授業を始めようとしたその時


「みんな準備はいい? 行くわよ!!」


先生はオネエが入っていた。


             *


授業が開始して僅か数分。

お豆ちゃんは何とも言えぬ不安を抱えながら、クセの強すぎる教師2人を凝視していた。


ある日、いつものように授業を受けていると

ゴスロリが近寄ってきて

「あの先生オネエ、苦手やわ」

と堂々宣言した。


そして、その場にいた誰もが思った。


(本人おるのにここで言う!?)


             *


また別の日、お豆ちゃんが校門を出て帰路に着くと、例のオネエに遭遇した。オネエは肩で風を切り、前しか見えない新幹線の如くシャンシャン歩き、お豆ちゃんは、あまりにもクセの強い二足歩行を凝視した。


すると同じく帰宅途中の2人の少年がいた。

2人はまだあどけない感じで、恐らく中1と見えた。2人は新幹線を見かけると、可愛らしい見た目からは想像もつかない口調で


「見ろよ。あれで非常勤やぞ」


と吐き捨てた。


弟は幼い2人が吐いた暴言に衝撃を受け、一連の光景の目撃者となったショックで呆然と立ち尽くした。


そして思った。

「非常勤の何が悪いねん!?

 口悪すぎやろ!?」


数ヶ月で既に教員を嘲る1年坊

そんなこともつゆ知らず、今日も風を切る新幹線

それを眺めるお豆ちゃん


アホの大三角形が田舎町に輝いた。

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