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(一)
巨勢剛武はベッドの上の女から陰茎を抜き、女の隣に仰向けになって息を整えるとベッドを出た。そしてベッド横のナイトテーブルの上のティッシュを二枚取ると、ぬめりがつき萎えつつある自らの陰茎を立ったまま拭いた。
「ねえ、私のも拭き取ってよ」
まだベッドの隣の息の荒い女からそう言いわれ、巨勢は「自分で拭けよ」とぶっきらぼうに言い、ティッシュを部屋の隅のゴミ箱に向かって投げた。
巨勢がバスルームに向かおうとすると、「来週ね、木曜日は、会えないかも」と女の言葉を背中に受け取ったが、そのままガラス張りのドアを開けて「知ってる」とだけ言って中に入ってシャワーを浴びた。
(続く)