【コント】異世界
※お笑いコンビ(男A・B)、テレビ収録終わりの楽屋にて
男A:いや~今日もウケなかったなー。
男B:言うなよ、それ。つらくなるわ。
男A:俺、大物タレント苦手だわ。
男B:わかる。(笑いの)ツボがわからんよな。
男A:それはそうとさー、俺、最近、異世界物にはまってんるんだよね~。
男B:唐突だな!まー確かに、マンガやアニメとか次々新作が出てくるけどな。
男A:そうだろう。でさ、俺も一度は行ってみたいなーと思ってるんだよね、異世界に。
男B:お前大丈夫か?それ小学生でも恥ずかしくて言わないセリフだぞ。
男A:どうだい?ここは一つ一緒に行ってみるというのは?
男B:スルーかよ!いや”どうだい”って言われても、だいたい行くってどういうこと?
男A:だからそういうコントをだよ。
男B:コント?異世界設定で?それ面白いのか?
男A:面白いかどうかは試してみてと言うことで…、はい!異世界来ました。転移しちゃいました!
男B:え、いきなり?もう来ちゃったの?普通、異世界行くのって、事故に遭ってとか、ネットゲームしてたらとかあるんじゃないの、段取りが?展開雑じゃね?
男A:問題ないって。これだけ異世界物が普及したこのご時世、何きっかけで異世界行ったとか、誰も気にしないって。
男B:ご時世?そうなの?いいのかなぁ、それで…
男A:まあまあ。大事なのは、異世界に行ってから、何が起こるかだろ。
男B:まー、そう言われれば、そうかもしれんけど。
男A:だろ?みんなが知りたいのは、どんな魔法が使えるのか?どんな魔物やモンスターが出てくるのか?そういうことだからさ。
男B:なんかベタだな…。でも大丈夫か?なんかお笑い要素全くなさそうだけど?
男A:心配するな!笑いはモンスターを倒してドロップするのを待つだけだ!
男B:ん?何?ドロップでオチをつけました、みたいなこと?ドヤ顔してるけど、ちっとも面白くないぞ。
男A:さてこれから、どうするかだが?
男B:スルーかよ!
男A:セオリー通りなら、こういう場合は、王様に会うか、冒険者ギルドに行くと決まってるんだが。
男B:決まってるんだ。
男A:お!あそこに建物があるな。しかも見ろ、冒険者ギルドって看板が出てるぞ。
男B:都合良すぎだろう!てか、文字、読めるんだな?
男A:そこに疑問を感じちゃいけないぞ。異世界ってそういうもんだから。会話だってきっと普通に通じるに違いない。
男B:通じるんだ!ある意味海外行くよりハードル低いな、異世界。
男A:さて、中に入るが気をつけろよ。荒くれ者の冒険者に絡まれたりするかもしれないからな。
男B:いや、そんなベタな展開いらないんだけど。
男A:まあな。どうせなら、可愛い獣人の娘と鉢合わせってパターンがいいな。
男B:中に入ったが、見る限り荒くれ者は見当たらないな。てか、なんかスゲー顔色悪いやつがいるけど!
男A:よく見ろ、悪いのは顔色だけでなく、全身だ。きっと、あれはゴブリンだな。
男B:さすが異世界!亜人とかもいるんだな。てことは、あそこにいる耳がとがってる男は…
男A:あの耳、そしてあの長身、あれはきっとエルフだな。
男B:おお、あれがエルフか。しかし、よく見ると…
男A:ブサメンだな。
男B:確かに。エルフはだいたいシュッとした顔してるって思ってたけどな。
男A:全てがベタだと思うなよってってことだな。
男B:それ、誰が誰に言ってるセリフだ?
男A:そんなことより、隣の冒険者たちが話してたんだが、なんか今日はスペシャルクエストがあるらしいぞ。
男B:スペシャルクエスト?どんな内容だ?
男A:魔王の何かを崩壊させれば、金貨100枚が貰えるらしい。
男B:魔王?崩壊?やばそうだな。で、何を崩壊するんだ?
男A:さあ、よく聞こえなかったが…、魔王の剣とか宝とか?または魔王城とかじゃないのか?とりあえず、行ってみるか。
男B:マジで?異世界来たばかりでいきなり魔王?それってレベル1でラスボスに挑むようなもんだぞ?
男A:まあ、行ってみてヤバそうなら、引き返せばいいじゃん。
男B:軽いな~、大丈夫かな。
男A:よし出発だ!、ってギルドの三軒隣が魔王城みたいだな。
男B:近っ!駅前のコンビニか!
男A:ここが魔王城か、しかし随分人で賑わってるな。見ろ、あそこの看板、本日、魔王城、一般公開って書いてあるぞ。
男B:いや、どこの古寺だよ!緊張感ねーな。なんか酒飲んで騒いでるやつまでいるし、花見かお祭りみたいだな。
男A:なんかあそこ、人が集まってて、ステージみたいなのがあるぞ。
男B:本当だ、すげー盛り上がってるな。ん?上の垂れ幕に何か書いてあるな。
男A:えー、何々、スペシャルクエスト…魔王様の腹筋崩壊!で、金貨100枚!
男B:いや、崩壊ってそっちかよ。
男A:でもよかったな、異世界にもお笑い要素あったみたいで。
男B:けど、大物を笑わせるって…
男A・B:それ、俺ら一番苦手なやつやん!