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#04 友達としての距離感




2学期が始まると、特に約束とかしていなかったけど、朝は同じ電車に乗って一緒に登校するようになった。


放課後は僕は相変わらず教室でクラスメイト達とお喋りして過ごしたが、1学期と違ってそこにミワが「アカリ、一緒に帰ろ」と迎えに来るようになった。


ミワは学年では美少女として有名人だったから、ミワが僕のクラスに来るとクラスメイト達は喜んで「森田さんもお喋りしよう!」と声を掛けられていた。

いつもお喋りするメンツは、男だけじゃなく女子も何人も居たからか、ミワは声を掛けられると遠慮しがちではあるけれど、僕の所へ来てお喋りの輪に入るようになった。


ミワと一緒に登下校したり、ミワが僕の教室まで迎えに来るようになったせいで、僕の周りの友達たちには僕とミワが付き合っていると思われていた。

「アカリちゃんっていつから森田さんと付き合ってるの?」とよく聞かれたが『付き合ってないよ。あんなハイスペック美少女と僕なんかが付き合えるわけないじゃん』と敢えて自虐っぽく言って否定した。


他のクラスの連中からも同様の事をよく聞かれたが『同中で仲いいだけで付き合ってないよ』と否定した。


ミワの方でも良く聞かれたらしいが、僕と同じ様に否定していたらしい。

ただ、僕と違ってミワの場合は、そこから告白されたり連絡先をしつこく聞かれたりして、結構面倒なことになってたみたい。




そんな話をミワとしていて、ふと思い出した。


『そういえば、中学の時、彼氏居たんじゃなかったっけ?』


「居たよ。杉田くんと付き合ってた」


『へぇ・・・』

杉田というのは、高梨の元カレで、僕のことで高梨と別れた例の男だった。


「でも、3か月くらいで別れたよ。1年の頃一緒のクラスでカッコイイと思ってたけど、実際に付き合ってみたらそんなことなかった。イクミがあっさり別れたのもなんか納得したよ」


『でも杉田って凄いんだな。美少女コンビの高梨ともミワとも付き合ってたなんて、西中の男子だったらみんな羨ましいと思うぞ』


「アカリだって、イクミと付き合ってたじゃん。しかもイクミ、杉田くんの時とよりもアカリの時のが長かったし、ハタから見てても、アカリのことベタ惚れだったよ」


『う~ん・・・そうかな。そうだと良いんだけど・・・』

何となくだけど、話の流れが嫌な方に行きそうに感じた。

だから話題を無理矢理変える様にしむけた。


『そういえば、ミワは今度の体育祭と文化祭、どっちのチームに入るの?』


ウチの高校では、10月に体育祭が1日あり、その翌日から二日間文化祭がある。

クラスでは、体育祭の応援団をするチームと文化祭で出し物をするチームの二つに分かれて、それぞれ準備を進めることになっていた。


「わたしは文化祭の方。でも出し物は担任が勝手に決めてて、地元の文化財とかを紹介するレポートとか作るらしいよ。全然楽しくなさそう」


『あー、4組の担任って権藤だっけ。あいつ何でもかんでも強制的にやりそう』


「うん。みんな不満でも誰も文句言わずに渋々従ってる感じ。2組は何するの?」


『ウチの出し物は、体育館のステージで劇やるんだって。でも僕は体育祭の応援団の方。みんなに応援団長に吊し上げられた』


「なにそれ。全然似合わないんだけど」


『でも、お前ら俺にやらせるんだったらちゃんと手伝えよ!って強めに言ったら、応援団の方に人が多く偏っちゃって、結局応援団も劇のお手伝いするハメになった』


「いいなぁ、2組は楽しそうで。私も2組になりたかった」


『まぁ確かに2組はみんな仲良いしね。こういうイベントもなんかみんな張り切ってる』


「そういえば、応援団長って何するの?」


『応援団の旗作ったり、クラスのキャッチコピー作ったり、役割分担したり?旗のデザインとかキャッチコピーは最初みんなで意見出し合って決めようとしたけど、全然決まらないから全部僕が勝手に決めた。それを元にどうやって作ろうかとか何が必要かみんなに意見聞いて、買い出しとか製作の役割分担まで決めたところ。応援の振り付けは女子に任せた』


「結構大変なんだね。でもやっぱり楽しそう」

「あ、そうだ、文化祭の日一緒に周らない?」


『うん、判った』


「いいの?クラスの子たちと一緒じゃないの?」


『多分大丈夫。出し物の劇の時はちょい役で出るからダメだけど、それ以外なら大丈夫じゃないかな』


「そっか、なら自由時間になったら迎えにいくね」


『りょーかい』


「あと・・・体育祭の時も2組に遊びにいってもいい?」


『いいけど、それこそクラスの応援とかあって不味いんじゃないの? もしかしてさっき言ってた告白されてるとかしつこいのが居るとか、そんなんで居ずらい感じ?』


「うん・・・はっきり断ったんだけど、なんかそれでもしつこく話しかけてくるし、周りの子たちもなんか無理矢理くっ付けようとしてる感じで、凄く居づらい」


『なんかアレだな。正にモテる女には人にはわかって貰えない苦労がある!ってヤツだね』


「笑いごとじゃないんだけど」


『まぁまぁ、でもだったら遠慮なくウチんところに遊びに来ればいいよ。2組だったらミワのことそんな風に見る人居ないし、変なの来ても僕が防波堤くらいにはなるよ』


「うん、ありがと。そうするね」


『まぁ、昔、告白して恥かかせた僕が防波堤っていうのも可笑しいんだけどね』


「そうじゃん、私、アカリに散々酷い目に合わされたんだった!」


そう言って二人でゲラゲラ笑いあった。



僕たちの距離感は、これくらいが丁度いいんだと思っていた。

だから離れることはしないけど、ミワから距離を縮めてくるような気配を感じると、牽制するようにしていた。






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