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#27 不機嫌な新入生







今日から新学期。


朝いつものように駅のホームで電車を待っていると、これまたいつもの様にミワが「アカリ、おはよ」と言って現れた。



しかし、今日はオマケが居た。

妹のミクだ。

ミワと同じウチの高校の制服着てる。


ん?って不思議におもってたら

「昨日入学式でこの子も同じ高校。なれるまで今日から一緒に通学するから、よろしくね」とミワが説明してくれた。


へぇ~って思いつつ

『ミクちゃん、おはよう。よろしくね』と挨拶するも


「別に、先輩とは一緒に登校しませんので」と不機嫌に返された。



ミワの妹、ミク。

僕とミワの1個下で、中学の後輩。ああ、今日から高校の後輩にもなるのか。


容姿は姉のミワに良く似ており、むしろミワよりも少し若い分ミワよりも可愛いと思う。姉妹揃って中学でも有名な美少女だった。

顔は良く似ているが、ミワに比べ真面目な雰囲気があり、所謂いわゆる優等生っぽい子だ。

確か中学の時、ミクの学年では凄い人気だったと思う。


まぁ、僕に対しては前々から無愛想で、話しかけてもロクに返事もしてくれないので、人気者だろうが関係ないんですがね。




で、早速これだ。


ミワを引っ張って苦情を申し立てた。

『ちょい、ミワ。めちゃくちゃ態度悪いんですけど、この子』


「いつものことだから気にしないで」


『でも、上手くやれる自信ないんですけど』


「大丈夫だから」


『いやいや、めっちゃ怖い顔してるんですけど、この子』

『ほら!凄い睨んでるんですけど!』

『僕、先輩なんですけど!』

『お姉ちゃんのお友達なんですけど!』


「ですけどですけど、五月蠅うるさいん()()()()

ミクはそう言い残し、ホームに止まった電車に先に乗り込んで行った。


中学の頃のミワより怖えぇぞ、アイツ



高校の最寄駅で電車を降り、森田姉妹の後ろをトボトボ歩いて高校へ向かう。


途中の桜並木を歩く二人は、とても絵になる光景だったので、スマホで二人の後ろ姿をこっそり撮影した。

ミワはいいけど、ミクにバレたらスマホを破壊されかねないので、気づかれないかドキドキしながら撮影した。





高校に着き、ミクと別れて、ミワと僕はクラス分けの掲示を確認しに、昇降口前の貼り出しのところへ行った。


2年は幸運にも、ミワと同じクラスになれた。


ミワに向かって『お、今年は一緒だね。1年間よろしくね』と言うと、ミワは唇を噛みしめながら無言で僕の背中をバンバン何度も叩いてきた。

ああ、これは相当嬉しいんだな、と理解した。


下駄箱で上履きに履き替え、ミワと二人で並んで歩いて教室に向かった。


教室に入ると、チラホラ知ってる顔が居て、早速何人もに話しかけられた。


ミワの方も、席に座ると数名の女子に話しかけられてて、ミワも笑顔で答えていた。






同じクラスになったので、1年の時のように帰りに迎えに行ったり来たりする必要が無くなって楽になったけど、ミクはどうするんだろ?と思ってミワに聞くと、しばらくは校門で待ち合わせらしい。

用事が出来た時は、お互い連絡するとのこと。


じゃぁ帰るか、と校門に行くと、ミクが一人で待っていたんだけど、僕の顔見てあからさまに不機嫌な顔になった。


「チッ」


ミワさん!いまコイツ舌打ちしましたよ! 

お姉ちゃんとしてガツンと言って下さいよ!


心の中で訴えみたが

「ほら行くよ、アカリ」と、妹の舌打ちスルーで、ビビる僕の方が聞き分けないかのように言って、二人ともスタスタ歩き出した。



もうこりゃ、コチラが大人になるしかないな、と諦め、ミクが居る時は静かにすることにした。

ミワにも話しかけられたときだけ答える感じに。


折角ミワと同じクラスになったのに、なんだか気が重い新学期になった。






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