ep9 叫ぶ、炎(ほのお)
相変わらず戦闘描写があっさり・・・。
何とか臨場感のあるバトルが書きたい・・・!!
「ほ、炎さん!私も一緒に・・・!」
迷惑をかけた以上、私も炎さんに加勢するべきだろうと思ってそう申し出たが、
「ダメだ、お前は見てろ。
足手まといだ。」
きっぱり断られてしまった。
確かに、今の私は足手まといだ・・・。
だったら今やるべきことをやるしかない。
「あなたは早く逃げて!
ここからずっと遠くまで!!」
「は、はいぃ・・・!!」
私は男子高生にこの戦いに巻き込まれない所まで逃げる様伝えた。
とりあえず、これであの人は大丈夫だろう・・・。
後ろを見ると、二人の戦いが始まっていた。
「行くぜ、リベンジ!!」
レザーは、両手を伸ばしてリベンジの両腕・両足を捕まえた。
「よおし、これで反撃は出来ねえな!」
リベンジは縛られて身動きが取れない!
レザーは近づいて、足でリベンジの腹を蹴った。
まず腹に、そして脛に。
体中を連続で蹴り続ける。
「っ!」
「オラァ、どうした!?
この程度か!!」
・・・違う。
私は知っていた。
彼女は相手から攻撃を受ければ受ける程
相手に有利になる"復讐"の能力を持っていることを。
きっと、わざと攻撃を受けているに違いない!!
しばらく蹴られ続けると、
リベンジはレザーの拘束を自力で破った!
「チッ、流石にそう簡単にはくたばらねぇか。」
レザーは、腕の使用法を拘束ではなく攻撃方面に切り替え、
リベンジを連続で殴り始める。
「あのさ、あんたこれしか芸無い訳?」
リベンジはそう言うと、
一瞬のうちに小さな炎の弾をレザーの膝に撃った。
「ギャッ!!」
ダメージとしては大したことは無くても、
攻撃の手を休める位の隙を作ることが出来たようだ。
「私を攻撃する事しか考えてないからそうなる。」
リベンジは、右手を手刀の様に振るった!
次の瞬間、レザーの右腕はスッパリと切れた。
「な、にぃ・・・!?」
傷口から噴き出した血のシャワーと共に地面にドサッと落ちる。
「ウギャァアアアアアアアアアアッ!!!!
よくもっ・・・!
よくも俺の大切な腕をっ・・・!!
この腕はなァ!!
俺が1軍に入るために必死こいて鍛えた腕なんだぞ!!
それをこんないともたやすく・・・!!!
許せない!
お前は死刑に値するレベルの重罪を犯した!!
この『価値のある腕』を・・・!!」
「・・・・・・・・・・・・は?」
その発言を聞いた瞬間、
リベンジの声色が変わった。
「今、何て言ったの・・・?」
リベンジは、体をワナワナと震えさせながら、
一歩、二歩、とレザーにじわじわ近づいていく。
「『価値のある』、腕・・・?
お前の腕は、一体どんな価値があったんだ?
なぁ?」
リベンジの・・・、炎さんの様子がおかしい!?
リベンジは、レザーの胸ぐらを掴んで怒鳴った。
「答えろよ。
お前の人を殺めた汚い腕が!
その殺してきた人間の命の何倍の価値だったんだよ!!
お前の腕を売ったら、死んだ人は戻ってくるのか!?
命に換えられるのか!?
換えられないよなぁ!?!?
そんなものがあったら・・・!!
私は・・・!
私はぁ・・・・・・・!!」
「えっ・・・??」
私は、息を呑んだ。
今まで、炎さんの復讐の事を常に考える冷酷な声しか聴いた事がなかった。
しかし、今の炎さんの声は、今まで聞いたことのない程感情的だった。
そして、泣きそうな声だった。
エヴォルドへの復讐の想いとは何か違う、
私の知らない炎さんの一面なのだろうか。
「う、うるせぇ!!」
レザーは残った左腕を伸ばし、
上の電線にぶら下がる。
「クソッ、想像の何倍も強い!
やっぱりお前なんかごめんだ!
ずらかるぜ!!!」
まずい、逃げるつもりだ!!
「炎さん!!あいつが!!」
私は咄嗟に擬態を解く準備をするが、
「良い!
お前は手を出すな!!」
炎さんは私にそう怒鳴った!
「あのゴミカスはぁ・・・!
私が手を下す!!」
炎さん・・・、リベンジは、
手に巨大な火の球を形成し始めた。
大人がすっぽり入れそうなくらい巨大な塊だった。
「復讐の時間だ。」
リベンジは、その火球を、
思いっきり、空へ逃げるレザーに打ち込んだ!
「地獄で一生詫び続けろォ!!!」
「やめっ、やめろ、やめろぉぉぉっ!!!!」
火球に包まれたレザーは、跡形もなく灰になった。
炎さんの完全勝利だった。
「フーッ、フーッ・・・。」
炎さんは、擬態をせずにしばらく息を荒げてその場に佇んでいる。
「あの、炎さん・・・。」
私がそう声をかけると。
「ああ・・・。
私は・・・。
何を、やってるんだ・・・!」
突如、両手を地面について崩れ落ちた。
「炎さん!?」
「私が・・・!
命の価値なんか、語っていいわけない・・・!
今のはただの、八つ当たり。
八つ当たりだ。
地獄で詫びるべきなのは、
私なのに。
私は何も救えない。
何も出来ない。
クズだ。
ゴミだ。
生きてちゃいけない。
私はっ。
私はぁぁぁぁっ!!」
炎さんは、自分の頭を地面に勢いよく当てた。
地面がその衝撃で割れてしまう。
「あ”あ”ぁああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」
炎さんの絶叫は、今まで彼女が出してきたどんなドスの効いた声よりも
恐ろしくて、
悲壮な物だった。