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evold ~怪人になった少女~  作者: ドラグ
第1章 ようこそ、怪人の世界へ
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ep6 守江先生のエヴォルド講座

今回と次回の冒頭は説明パートです、退屈だったらごめんなさい!

早速、守江さんのエヴォルド講座が始まった。

「まずはエヴォルドの基本情報について。

エヴォルドっていうのは、ある特定条件において人間が進化した存在よ。

その条件っていうのは・・・、

竜奈ちゃん、何かわかる??」

守江さんは私にそう聞いた。

「ええっと、私の例と炎さんの話から言って・・・。

人が死にかけること、ですか??」

「残念、実は死にかける事自体はエヴォルド化に直接は関係していないの!」

「えっ、そうなんですか!?」

「ええ。

実はエヴォルト化の条件は、『人間が一定以上の激しいストレスを感じる』事。

あなたと炎ちゃんが死にかけた時にエヴォルドに覚醒したのは、

人が死ぬ直前に感じる未練、怒り、悲しみと言った激しいストレスが原因なの。

それでエヴォルド化したケースが一番多いらしいよ?」

死ぬ直前のストレス、かぁ・・・。

確かにあの時、友美ちゃんと死に別れそうになってそれが悲しかったし、

そんな時にトカゲが私の口の中に入るっていう気持ち悪い夢を見たから、

それでストレスがかかっていたのかもしれない。

と、その時ふと疑問が浮かんだ。

「・・・でも、ストレスがエヴォルド化の原因なら、

例えばすごいストレスを抱えたブラックな職場の人とかだったら

すぐにエヴォルド化しちゃうんじゃないんですか?」

「そう!鋭いね竜奈ちゃん!!

実はそこもエヴォルド関連で大変な所なの!」

「どういうことですか?」

「まず、全ての人がエヴォルドになれるわけじゃない。

どれだけストレスを抱えても、エヴォルド化しない人の方が何倍も多いの。

そのせいでエヴォルドになった人の多くが『自分たちは選ばれた存在』だと

称して、人間を見下し、虐殺するようになってしまったわけね。」

「そういえば、あの蝙蝠の人もそんなことを言ってたような・・・。」

「あー、ちょっと話がずれちゃったね。

人間を見下し始めたエヴォルド達の話は後でもうちょっと詳しくするから。

・・・で、その低い確率を潜り抜けエヴォルドになっちゃった人達なんだけど、

実は一回擬態が破れるまでは不完全な状態になってるのよ。

時々エヴォルドとしての能力が無意識に出てきちゃうけど、

まだ完全にエヴォルド化したわけじゃない状態。」

「っ!それってもしかして、私の・・・!」

私は昨日鏡の前でエヴォルドになった自分を見る前に、

コップを割ったり傷がすぐに治ったり、

変な感覚が体に走った事を守江さんに事細かく話した。

「うん!間違いないよ、竜奈ちゃん!

それは今話した不完全な状態の症状。

その症状が出てからしばらくすると、竜奈ちゃんみたいに

完全にエヴォルド化する、ってのが普通なんだけど。

・・・中にはそうじゃないエヴォルドもいるのよ。

エヴォルド化が不完全なままでも自分に異変が起きていると気が付かなくて、

そのまま完全には覚醒しない例が・・・!」

・・・自分では気が付かないまま?

それってつまり・・・!

「・・・自分がエヴォルトだって気づいてない人が、

この社会にいっぱいいる!?」

「・・・そう。

ブラック企業に勤めてるストレスの溜まった人が

エヴォルドになった例自体は結構あるらしいんだけど、

ほとんどの人が気が付かないのよ。

だから自覚の無いエヴォルドを含めたら、

この社会にはとんでもない数のエヴォルドが潜んでいるってこと・・・!!」

「っ・・・!!!」

私は息を呑んだ。

エヴォルドが既にそんなに社会に蔓延しているなんて・・・!!

お、恐ろしい・・・!!!

・・・しかし、また私には質問が浮かんできた。

「でも守江さん。

私はその不完全なエヴォルド化だけであんなに生活に支障をきたしたのに、

会社に勤めてる人がずっと自分の異変に気が付かないなんてあるんですか?

会社の備品とか壊して、気が付きそうですけど・・・。」

私がそう聞くと、守江さんは嬉しそうな顔になった。

「良いね、竜奈ちゃん!

また鋭い事に気が付いた!」

「それにも、何か理由があるんですね?」

「ええ!

でもその前に、エヴォルドになった時の外見・・・、

いわば、モチーフになったモノの話をしなくちゃね!

そもそも、自分が何のエヴォルドになるかは

その人の中で強く残っている『イメージ』で決まるのよ。

炎ちゃんは、エヴォルドへの復讐を誓っていたから

リベンジエヴォルドになった訳ね。

竜奈ちゃんはリザードエヴォルドだから、

何かトカゲに強い思い入れがあったんでしょ?」

「ええ、まあ・・・。」

私はちょっと目線をそらしながら言った。

炎さんがリベンジエヴォルドになってしまう程の強い復讐への欲求を

持っていたのに比べて、私のは何だかちっぽけで下らなく思えたからだ。

確かに何かにつけて頭の中に出てくるあのトカゲは私の記憶に

強く残ってはいるけど・・・。

まさかそんなくだらない理由でリザードエヴォルドになっちゃうなんて。

恥ずかしい。

しばらく黙っている私を見かねてか、守江さんは話を再開した。

「竜奈ちゃん、あなたと炎ちゃんのモチーフを比べてみて、

何か違和感ない??」

二人のエヴォルド態のモチーフ・・・?

私の場合はトカゲ。

炎さんは、「復讐」。

・・・ん??

「えっと、私は動物なのに、

炎さんは復讐っていう『概念』がモチーフになってる、って事ですか!?」

「そう、エヴォルドのモチーフになるのは、

動物や植物がモチーフでその元になった生き物の能力を使える『Aタイプ』と、

無機物やこの世のありとあらゆる概念がモチーフの『Bタイプ』の

2種類があるの!」

そ、そんな区分があるのかぁ・・・。

でも、動植物も概念じゃない?

そう思って、すかさず守江さんに質問する。

「・・・動物や植物も概念なんですし、

Bタイプと変わらない様な気がするんですけど。

具体的に、どう違って来るんですか?」

「うん、竜奈ちゃんみたいなAタイプは、

あくまでそのモチーフの動植物の能力しか使えないんだよ。

つまり、超常現象!て感じの能力は使えないのね。

ただし、その分素の身体能力の向上率は計り知れない!

不完全状態でも生活に支障が出る位・・・。」

なるほど・・・。

つまり、私はAタイプだから物を壊すほどの怪力になっちゃたのかぁ・・・。

「で、炎ちゃんのBタイプは、身体能力はAタイプに劣っちゃうのね。

まあ、それでもエヴォルド態なら常人を軽くひねり潰せるくらいはあるんだけど。

その代わり、Bタイプはモチーフに即した特殊な能力が使える!

例えば"回復"のエヴォルドだったらどんな傷でも治せるだろうし、

"消しゴム"のエヴォルドだったら色んな物を消せると思う。

つまり、Bタイプは能力重視ってわけね!」

「へぇ・・・、Bタイプはそんなにすごい事が・・・!」

「で、さっきの話!

不完全状態のエヴォルドが何で自分の異変に気が付かないか。

それは、そういう人は皆Bタイプのエヴォルドだからなの!

Aタイプは大抵竜奈ちゃんと似たような感じで自分の異変に気が付いて、

それがトリガーになって完全なエヴォルド態になるけど、

Bタイプは不完全状態じゃほとんど生活に支障が出ない。

だから未確認のエヴォルドが大量にいる、ってわけ。」

あー、なるほど!!

「それとね、竜奈ちゃん。

エヴォルドになってから、体に変な感覚がしなかった??

こう、ゾワッてくる感じの!」

「はい、昨日ありました・・・。」

「それはね、エヴォルドにしか感じられない波動だよ。

擬態を解く時には穏やかな波が、

感情が高ぶった時には激しい波が広がるの。

これを感知して、エヴォルド達は別のエヴォルドを遠くからでも

発見出来るってわけ。

竜奈ちゃんも擬態を解く時は注意してね、

周りのエヴォルドにバレちゃうから!」

そっか、昨日のあの感覚はそれだったのか・・・。

でもこれを応用すれば、

エヴォルドに襲われた時に逃げやすそうな気がする。

・・・そんな状況があるのかはわからないけど。

「エヴォルドの体についての話はこんな所かなあ。

どこかわからない所ある??」

「ええっと、うーん。」

色々な情報を整理すると、こんがらがっていた頭がようやくまとまってきた。

エヴォルドとは、ストレスがきっかけで進化した人類である。

そのモチーフには2種類あって、

動植物モチーフのAタイプは身体能力優勢、特殊能力劣勢。

無機物・概念がモチーフのBタイプは身体能力劣勢、特殊能力優勢。

ゾクッとする感覚はエヴォルドが発する波動・・・。

私にも、少しだけエヴォルドの事がわかってきた。


「大丈夫です、理解出来ました!」

「それじゃあ、次は途中で話を中断した、

エヴォルドにはなぜ人間を見下すやつが多いのかについて。

これを解説するね・・・。」

守江さんの話はまだ続く様だ。

私は一度深呼吸をして、それに臨んだ。

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