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evold ~怪人になった少女~  作者: ドラグ
第2章 蛸が舞う舞台
12/17

ep12 "慣れ"という事

第2章、開幕!!

とはいえ、まずは前回の話の続きから・・・。

慣れ、というものは恐ろしい。

日常がそれまでと様変わりしても、

1週間もしてしまえば直に慣れてくる。

初めてリザードエヴォルドとしての姿になった時、

私は泣き叫んだ。

自分の体が気持ちの悪いトカゲ人間になっていた事に恐怖し、

絶望し、獣の様な声を上げて泣きじゃくった。

それが・・・、今ではどうだろうか。

私が正式に人間同盟に加入してから、1週間が過ぎた。



「・・・来たな、竜奈。」

約束の夕方5時、私は炎ちゃんと集合場所で落ち合った。

ここは使われなくなった廃工場。

誰も入ってこないから、

私達の姿を見られる事は無い。

「うん、今日もよろしくね!」

「・・・本当に私の指導で上達しているのか?

やはり私には何かを教えるのは無理な気がするが。」

ガーン!

私は炎ちゃんの言葉に少しショックを受ける。

「・・・ねえ、それって私が上達してないってこと!?」

「いや、自分の指導にちゃんと効果があるのか不安になっただけだ。

だが、仮に効果があるのだとしたら、

竜奈は昨日の模擬戦の何倍もやれるはずだと思って。」

「やっぱり私の物覚えが悪いって事じゃん!!」

「さあ。

私の教え方が悪いのか、

お前の覚えが悪いのか、

果たしてどちらなのだろうな??」

・・・おそらく、さっきからの一連の流れは

実際にあまり上達しない私への挑発なのだろう。

「あーもう!!

わかった、今日こそ炎ちゃんの期待に応えられるように頑張るから!!」

「良いだろう、見せてみろ竜奈。」

その言葉と共に、炎ちゃんは擬態を解きリベンジエヴォルドの姿になった。

私も目に力を入れてヒビを入れ、

擬態を解きリザードエヴォルドの姿になった。

「じゃあ、行くよ炎ちゃん。

1、2の、3!!」

その瞬間に私はリベンジに右ストレートを仕掛けた!


先週守江さんが提案した、炎ちゃんによる私の戦闘指導。

本人の宣言の通りそれはとても厳しく、

私は炎ちゃんに毎日ボッコボコにされている。

でも、少しだけ戦い方がわかってきた。

少なくともレザーと戦った時よりはちゃんと戦えると思う。

・・・覚えが悪いので、さっきみたいに炎ちゃんから

しょっちゅう挑発されているけれど。

指導は、主に炎ちゃんに詳しく技能を教えてもらうパートと、

今やっているみたいに模擬戦としてお互い擬態を解除し

実戦形式で教わった技能を披露するパートの2つにわかれている。

これは戦いだけじゃなくこの世の全てにおける事だけど、

教わる段階では簡単だ。

でも実戦では全く上手く行かない。

ほんと自分が嫌になる。

でも私は強くならなきゃいけない。

皆を助けたい。

だからやるしかない!!

「これでどうだぁ!!」

私は昨日教わった蹴りを入れた。

昨日は上手くできなかったけど、

自分なりにイメトレしたんだ。

きっと上手く決まったはず!!





ダメでした。

「はぁ、はぁ・・・。」

私は完膚なきまで炎ちゃんにズタボロにされ、倒れこんだ。

「まだまだだな。

動きが甘い。

精度も良くない。

これでは実戦で死ぬのも時間の問題だ。」

「うぅ・・・。」

私はため息をついた。

「・・・だが、昨日よりはマシになっている。

そこは評価点だな。」

炎ちゃんは少し微笑んだ。

「あ、ありがと・・・!」

私は地面にうずくまりながら笑った。

「それより、そろそろ慣れたか?

その姿に。」

「・・・え、何の事?」

「何って、今まさになってるその姿に決まってるだろ。」

「・・・ああ、エヴォルド態の事??」

そう言われてみれば・・・、

先週に比べたら、あんまり嫌悪感を感じなくなっていた。

鱗に覆われた体も、流石に毎日炎ちゃんとの特訓で変身していると

慣れてきてしまった。

「うん、ちょっとは慣れてきた、かな??」

「そうか・・・。

慣れたなら、良かったな。」

炎ちゃんは少し寂しげな声でそう呟く。

「炎ちゃんは、慣れてないの?」

「まあ・・・、そうだな。

私はエヴォルドが嫌いだから。

こんな醜い姿、

出来ることなら一生見たくない。

でも、そうも行かない。

奴らと戦わなきゃいけないから。

慣れなくても、私はこの姿を晒すしか無いんだ。」

何だか嘲るように炎ちゃんは言った。

顔の紫の炎の奥で光る赤い目も、物寂しげに見える。

「・・・ごめんね、エヴォルドが嫌いなのに

擬態を解かせて、私のエヴォルド態も常に見せ続けちゃって。」

「良いんだ。

私の事は気にするな。

それより竜奈、いくら身体に慣れたからと言って、

心までエヴォルドに染まったら許さないから。

その時は私がお前を殺す。

覚えておけ。」

炎ちゃんは久しぶりに本気のドス声で私に宣言する。

「うん、気を付ける。」

私はうなずいた。

「・・・それじゃ、そろそろ続きを始めるぞ。

立て、竜奈。」

私の受けた傷は、エヴォルドの驚異的な回復スピードで既に完治していた。

「オッケー、いてててて・・・!」

厄介なことに、傷は癒えても痛みは残っている。

それを我慢して私は立ち上がり模擬戦を再開した。



「ふう・・・、やっと終わったよ。」

時刻は大体夕方6時30分。

1時間半に及ぶ炎ちゃんの指導が終わった。

私達は擬態を発動させ、

廃工場を離れた。

「少しは上達したな、竜奈。

1%位。」

1%ぉ!?

「全然ダメじゃん!!」

私は炎ちゃんにツッコんだ。

「いや、良くなっている。

何しろ昨日から今日の最初の模擬戦時に成長した度合いは

大体0.01%位だからな。」

「ええ・・・、そんなにちょっとしか上がってなかったの!?」

「まだまだ道は遠いぞ、竜奈。」

どうやら、まだまだ私の特訓は終わらないらしい。

でもやるしかない・・・!!

頑張るぞ!!

そう決意しながら、私は炎ちゃんと一緒に暗くなってきた道を歩いた。

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