2つの交差する世界2
なるようになれと全てを周囲に委ねていたら白マントが何かを思い出したかのように話しかけてきた。
「そう言えば君の友人の竜胆刑事だが彼は最近事故に遭い寝たきりの状態だったよね?」
「⁉ 何でそれを知ってるんですか?」
こちらの質問を無視して白マントは言葉を続けた。
「彼どうやら死んだみたいだよ、そしてその息子の翔真君だが彼も直ぐに死ぬことになるだろうね。」
「どういう事ですか‼ 何で翔真君まで!」
「さて、どういう事だろうね・・・まあ君にはどうにも出来ないんだから大人しくしててね。」
そしてまた詠唱を再開したが、武器もなく魔法も使えないため諦めて目を閉じていたら、目の前に何かが見えた気がしてそれに手を伸ばし掴んだら実際に何かを握った感触がしたため目を開けると白マントの集団もいつの間にか近くにいた最初の二人組も驚いた顔をしていた。
「あれは剣なのか? リース何か魔力は感じたか?」
「ううん、魔力は感じなかったから魔法で出した訳じゃないと思うけど何も持ってなかった筈。」
二人組はどうやって剣がでてきたか考えていたが白マントが取り乱して叫んできた。
「君どうしてその剣を出せるんだ! どうしてクレアーレを使える!・・・その剣は我らが闇の女王と姫しか使えない筈だ!!」
「闇の女王? 姫? クレアーレ?」
どうやら今握っている物の事のようなのでそれを見てみると剣と呼べなくもない物を持っていた。
それはどこか神聖さを感じさせながら同時に邪悪さを感じさせ
それはどこか人を魅了すると同時に嫌悪感を抱かせ
それはどこか神々しさを感じさせると同時に禍禍しさを象徴する
それはどこか全てを受け止めると同時に全てを拒絶するかの様で
どこか歪でまるで自分自身のためだけに存在するような不可思議な形状の剣だった。
「知ってる事があるのなら全て答えてください、さもなくば私はこの剣で貴方達と戦います。」
「糞が、わかりました話しますよ、その代わりそこのお二方武器をしまってください。」
「その瞬間襲って来るかもしれないから断固として断る。」
「そう言えばハヤトさんでしたっけ?」
「そうだけど、どうかした?」
「今更ですがハヤトさんは勇者なのですか?」
本当に今更ながらの質問を投げ掛けてみた。
「本当に今更だな、確かに俺が勇者だけどそれがどうかしたか。」
「なら武器をしまっても大丈夫ですよ。」
「何でだ?」
「だって私、どうやら勇者のスキルらしいですから。」
その発言を聞いた瞬間勇者が驚いた表情をした。