Re:コール
携帯が振動する音で目が覚めた。
どうせメルマガか何かだろうと思って布団を被り二度寝を試みる。
だがその振動音はなかなか鳴り止まない。
どうやらメールではなく着信らしい。
しばらくすると留守電サービスに切り替わったのか振動が止んだ。
だがこれで眠れると思ったのもつかの間、再び携帯は振動し始めた。
このまま俺が出るまでかかり続けるんじゃ...
布団を被ってその振動が止むのを待つがなかなか鳴り止まない。
結局俺は三度目のリコールで根負けし携帯を手に取った。
そしてディスプレイに表示された相手の名前を見た瞬間再び携帯を置いた。
最も俺が話したくない相手の名前が表示されていたからだ。
しばらくして留守電に切り替わり振動が止まるもすかさず四度目のコールが来る。
これ出るまでずっとかかり続けるんじゃ...
そうなる未来を想像し渋々携帯を手に取り通話ボタンを嫌々押した。
「......もしもし...」
「あ、もうっ!遅いですよぉ。寝てたんですか?」
甘ったるい感じの優しい声ではあったがその言葉の裏に『てめぇなんですぐ出なかったんだ、ああん?』という意味が含まれていそうで怖い。
「......何のようだ?」
恐る恐るそう聞くと電話の相手は『あはっ』と笑い
「今からぁ、ちょっと会えませんかぁ?」
耳から携帯を離し現在の時刻を確認する。
ただ今の時刻は午前五時過ぎ。
まだ朝日も昇っておらず空は暗い。
「...せめて...」
時間をずらさないかと言おうとするとすかさず
「それでは成峡高校で待ってますからぁ♪」
そう言って門灯無用で通話は切られてしまった。
『逃げるなよ』とでも言うように。
「...これ...すっぽかすのはなし...だよなぁ...」
行かなかったら後が怖い。
何しでかすか分からないやつだからな。
今更だけどなんでアイツと番号なんて交換したんだろう...
アイツと番号交換したときの過去の俺を今すぐ殴りに行きたい。




