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デート

比野守に連れられてやってきたのはここに来たときにそらと本を買いに行ったこの町唯一のショッピングモールだった。


特になにか目的があってここに来たというわけではないので比野守と並んで店内をぶらぶらと歩く。

こういうときどうすればいいのか分からなかったので移動中比野守に聞いたところ比野守もいつもこんな感じらしい。


「あ、先輩、先輩!あのお店見てみませんかっ!」

そう言う比野守が指差す方を見る。

どうやら雑貨屋のようで店頭には色とりどりの奇抜な眼鏡や巨大化されたお菓子、海外の玩具などが展示されていた。

「ああ、いいぞ。」

特に行きたいところもなかったので二つ返事で了承する。


店に入ると何やら少しキツめの香水のような匂いがした。

頭が少しクラクラする感じ。

だが、そんな俺とは対照的に比野守は慣れているのか商品を興味深そうに手に取って眺めては可愛いと言ってはしゃいでいた。


「先輩先輩。」

「ん?」

色々な漫画が集まっているコーナーを眺めていると比野守に服の裾を掴まれた。

「これちょーすごいですよぉ!」

そう言って比野守は手に持っていた大きめのクッションのようなものを差し出して来た。


どうやら腰などに当てて使うマッサージ器具らしい。

電池かなにかで動いているらしくコードは繋がっていなかった。

「なんと!これ1つで三種類のマッサージが出来るらしいです!腰とか首とか足とか!むくみとかも取れるっぽいですよ!」

「へぇ...」

あまり物珍しさは感じなかったが一応そう返す。

というか俺美容とかマッサージ器具はよく分からないし...


「先輩も試してみて下さいよぉ。」

そう言って比野守はマッサージクッションを差し出してきた。

「い、いや、俺はいいって。」

「えー、それじゃつまんないですぅ!」

比野守はむーっと唸った。

だが、やはり怒った顔も可愛らしく、ついドキドキしてしまう。

「もう、先輩が抵抗するならあたしにも考えがあります!」

そう言って比野守は『えいやー』っとわざとらしく言いながらクッションを俺の背中に回してスイッチを入れる。

俺の背中で的確に動くマッサージ機。


だが、それよりもヤバい大問題が発生していた。


マッサージ器を俺の背中に回して当てたことで比野守が俺と抱き合っているかのような状況になってしまっているのだ。

しかも、俺が逃げないようにとしているのかピッタリとくっついて自分の体とマッサージ機で俺をホールドしている。

「ちょっ!?ひ、比野守!?や、ヤバいって!!」

ピッタリとくっついているせいで比野守の服に包まれた大きな胸が押し付けられている。

「だめですぅ。先輩もあたしと同じ快感を味わってくれなくちゃ♪」

いや、快感って!!


マッサージ機のことを言っているんだろうがこの状況でその台詞を聞くとなにか良からぬ事のように聞こえてしまう。

「だ、だめだって!ほんと!マジで!」

幸い店内の奥の場所だったので人はいないがさすがにヤバい!

いつ人が来てもおかしくない状態だ。


無理やり肩を掴んで比野守を引き離し、距離をとる。

心臓がまだドキドキと高鳴っているし、男の象徴が欲望のままに反応してしまうっているのでそれを抑えることに俺は意識を集中させる。

「先輩ってば強引♪でも、そんな先輩も素敵ですね」

こ、こいつ...

なんでもあざとく返せば許されると思うなよ!?


いや、確かに可愛いけども!

今もちょっと、ちょーっとだけドキドキしたけども!!


「あ、そうだゲーセン行きましょうよ!」

突然の話題転換。

やはりイマドキの女子高生の思考はわからん。

どこがどう繋がってそんな話が出てきたのか。


「プリ撮りましょうよぉ!記念に!」

「プ、プリって...そ、それって普通女同士で撮るもんなんじゃ...」

それかカップルとか。

「今どきは男子も普通に撮りますよぉ。ほら、早くはやく!」

「あ、ちょっと!?」

服の裾を引っ張られるまま店の外に出る。

その際比野守の胸が揺れ、先程のことを思い出して抵抗すらままならない。

結局俺はそのままの状態でモール内を移動するハメになった。



一方そのころーーー

「なによ、昴のやつ。デレデレと鼻の下伸ばしちゃってさぁ!」

雑貨屋の影からは1人の少女が少女に引っ張られる少年の姿を眺めていた。

目深く帽子を被り伊達のメガネをかけた少女は目立たないようにと思って身につけていたのだがそれでもその整った顔やサラサラとした髪の魅力は抑えきれていなかったようでやたらと店内の他の客の注目を集めていたのだが少女がその視線に気付く由もない。


少女はそのまま歩いて行く少年たちのあとを追った。

人々の注目を集めながらーーー

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