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始まりの冬  作者: Karyu
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37−綾夏、未来との出会い(3)



「ごめんなさい〜、私達二人で楽しみますから〜」


 未来は私を庇うように一歩手前に出て、丁寧に返事を二人に返した。


 そして私の手を掴んでカラオケ店に入っていこうとした。


「なあ、ちょっと待てって」


 男組みの内の一人が未来の肩に手を乗せ引きとめた。


「いいだろう? それに最近は物騒だろう? 終わったら送ってあげるからさ」


 男組みの顔は下品で厭らしい目をしていた。それは私を怯えあがらせるのに充分なほどだった。


「み、未来……」


 私は急に心細くなって未来の名前を呼んだ。


 どうみたって私達より大柄な男組みには力負けしてしまうのは目に見えていたからだ、それに走って逃げ切れるとも思わない。


「だいじょうぶだよ、綾夏」


「おい、無視してないで何か言ったらどうなんだよっ!」


 もう片方の男が待ちくたびれたのか声を荒げた。


 ここは商店街のまだ四時頃、人も結構いるのにこんなに目立ったことをしても誰もがお咎めなし……。


「ちょっとおじさん達、邪魔なんだけど」


「おじさんだと!? てめえこっちが下手にでてりゃ好き勝手言いやがってっ! いいからとっとと来やがれ!!」


 未来の肩に手をのせていた男の人が未来の手首を掴み無理矢理カラオケ店に連れて行こうとした。


「み、未来っ!」


「邪魔だって言ってるでしょ!」


 未来は男の人の腕を掴んで、一本背負いを見事に決めた。


 私達の周りにできていた人だかりからは感嘆の声が上がった。


 私はその人達に怒鳴りつけていた。多分これが私にとって始めて大声を上げた日でもあったと思う。それは私自身のためよりも未来の役に立ちたいからと思っていたのかもしれない。それなら私が携帯使えばよかったんだけどね……。


「誰も助けようとはしないんですかっ!? 警察呼ぶとかしてくださいよっ!!」


 私の叫びに一斉にその人達は携帯を取り出したり、私と未来を匿うように囲ってくれた。


 そして残りの人達はナンパしてきた男組みを取り押さえた。


「俺たちが何したって言うんだよっ!!」


「あいつらが先に話しかけてきたんだよっ!!」


 男組みはそう叫んだけどその人達が嘘をついているのは明らかですぐに駆けつけた警官の人に連行されていった。


「じゃ、いこっか綾夏?」


「う、うん。でもすごいね未来。一本背負いできるなんて……」


「あ、うん。ちょっと昔習ってたから〜」


「そうなんだ」


「ほら、早くいこっ!」


「うん」


 未来は私の手を優しく握ってくれて二人でカラオケ店に入った。




 そしてそれから三時間ぐらい歌ったり喋ってたりしてから私達は帰路についた。


 未来は私を送ってくれるって言ってくれて車を呼んでくれた。


 未来の家の車は外車で、見るからに高そうだった。


「ほら綾夏乗った乗った!」


「えっ? きゃっ!」


 私は運転手さんに開けられた後部座席の扉の向こうに未来によって押された。


「ちょっと、未来ー」


「あはは、まあまあ」


「えへへ……」


「ん? どうしたの綾夏? ちょっと恐いよ」


「う、ううん。なんか嬉しくって」


「なにが?」


「未来に今日会えたことが。友達になれたことがかな」


「な、なに言ってるの〜。私もおんなじだよ」


「えへへ」


「あはは」


「これからもずっと友達だよね?」


「もちろん。私が綾夏を独りにするわけないでしょ」


 私と未来はお互いの顔を暗い車両の中で見つめあった。


 互いの目に淀みや汚れはなく透き通り、輝いていた。


 そして私達は笑いあった。これから続く未来(あした)への(はなむけ)として……。




 これが私と未来との出会いであった。


 今未来がどこにいるかはわからないけど、あの時の約束は山口で会ったときは覚えていてくれた。


 だから私は未来を信じる……。


 また未来とカラオケ店に行きたいな。


今度は皆と一緒に……。





綾)これが私と未来との出会いでした。今思い返すだけでも涙が……

未)ちょっと綾夏〜、なに感慨にふけってるの〜?

綾)あ、未来。でもだって感動的じゃない?

未)うーん、本人がそれ言っちゃいけないっしょ

綾)そ、そうなのかな?

未)フツウはね、でもこれを読んでくれた方々は感動してるでしょうね

綾)ほ、ほんと!?

未)うん、じゃなかったら私が感動のあまりにスクリーン前で感電しちゃったって言わせるから

綾)そ、それって未来の能力乱用なんじゃっ……!?

未)感電したくなかったら感動してねー。それじゃ

綾)あ、ちょっと、未来! い、いいのかなー……

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