表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無気力高校生の異世界救済  作者: SUZUKING
第一章 異世界へ
7/68

6 あたふた姫君とやる気なし魔導師

駄々くさな作者、バイトを言い訳に更新を遅らせる申し訳ない(`;ω;´)

 食堂に向かおうと、優太達が歩き出す。

 優太が出口に一番近い、それはいつでも抜け出せる様にとか、そんな考えからではない! 断じてない! と、どうでもいい言い訳を考えていたからか、優太は目の前に現れた人影に気付くのが遅れた。


「ん?」

「ふぇ?」


 瞬間、人影と目が合う、可愛さの中に凛々しさのある顔立ち、ウェーブのかかった茶髪、可愛らしいピンクのドレスがよく似合う美少女だった。

 そして、優太は気付いた。この少女は少し急いでいたみたいだ、人も急には止まれない=このままだと俺に衝突=面倒くさいフラグ回収=俺の危機。


(それだけは、何としても回避しなければ……しかし、避ければ角が立つ……ならば!)


 優太は、目の前の少女が避けた様にしか見えない風に、晃の元へと誘導した。

 少女は狙いどうりに、晃の元へと逸れていった。 


「えっ、えっ!?」

「なっ!? 危ない!」


 予想通りと、ふっと笑った優太は気付いた……素晴らしい微笑みで恐ろしさを撒き散らすメイドに……


(ヤバイ……バ、バカな……)


 危機を感じ、視線をずらすと幸子と目が合う、呆れ顔の幸子と……

 バレていることへの驚愕、完璧にやったという自負が崩れる。しかし、更に気付く……幸子とメイドのシリアしか気付いたようすが無いことに……


(マジかよこいつら……)


 と優太は戦慄したのだった。


『ゆう君、何でわざわざ晃君の方へ逸らしたの? ゆう君でも充分受け止めれたよね?』

『幸子……フラグ、メンドイ……』

『……納得した』


 気を利かせたのか、幸子が小声で聞いてきたので優太も小声でいつも通りの返しをする。短い言葉で理解されてしまう所がなんとも情けない限りだった。




 私、シリア・バトラードは、エリナ・リルティア王女の専属メイドにして、護衛の任を任されています。

 今、エリナ王女は異世界から来た救世主様方に興味津々の様なのでその付き添いをしています。ちょうど、お昼の時間を見計らって来たのですが……


「ん?」

「ふぇ?」


 どうやら、移動する直前だったみたいで、エリナ様と人影が激突寸前です!


(あっ! 危ない!)


 と思ったのもつかの間、エリナ様の進行方向が不自然に変わり、ヒカル様の方へ飛び込んで行ってしまいました。

 一瞬、ほんの一瞬ですが魔力を感じました。そう思い、人影……ユウタ様に視線を向けると、何故かギョッとされてしまいました。


(視線をそらされてしまいました……少し、ショックです)


 と、そんなことよりもエリナ様は大丈夫でしょうか?


 そうして、シリアは優太達の会話に気付くこと無く、エリナの元へと歩きだした。




(ど、どうしましょう!? 特徴から察するに、勇者様であるヒカル様に受け止められて……近い、恥ずかしい!)

「アワアワ……」

「大丈夫ですか?」


 あたふたする少女に、晃が安否の確認をするが少女は「ぴゃい!」と完全にテンパりモードだ。

 それを見かねたのか、シリアが少女に歩み寄って来た。


「エリナ様、あまりお急ぎなさいますから、つまずくのですよ」

「エリナ、少しは落ち着きを持て、ワクワクして転ぶなど子供がすることだぞ!」


 シリアに続いて、ブレインも少女元へと近付いていく。

 すると、少女は更にアワアワし始める。


「ブレイン、この方は?」

「えぇ、実は……」


 ブレインが少女の紹介をしようとした時、「はっ!」と少女が正気にもどった。


「だ、大丈夫です! お兄様、自己紹介ぐらいできます!」


 そんな少女の言葉に、優太達は驚きを隠せない。


(お兄様!? 兄妹なの!?)

(道理で似てると思った……)


 優太達の驚愕をよそに、少女は自己紹介を始める。


「はぢめまちてっ……」

(噛んだ!)

「……皆様、初めまして……」

(そして、何も無かったかのように再開した!)

「私は、ブレイン・リルティアの妹にして、リルティニャっ……」

(また噛んだあぁぁぁ!)

(何、この子!? 見てられない!)

「……リルティア王国第一王女、エリナ・リルテニャっでつ」

(最後の最後にまた噛んだあぁぁぁぁぁ!)


 エリナは、澄ました顔でやりきった感を出しているが、やりきれてはいない。

 そんな、エリナを見て、晃達は全員に目配せをする。


(何も、つっこまない方が良いよな)

(当然だよ! いちいちつつく必要ないよ)


 と、救世主同士の意思共有も努力も虚しく、優太クオリティは炸裂する。


「すげぇ、噛みまくってたな」


 ビシリと固まるエリナ、こいつ言いやがったと振り向くクラスメイト達。


「ゆうくうぅぅん!! ダメだよ! こういう時は空気読まなきゃ!」


 幸子が、優太を揺さぶりながらツッコミを入れる。

 その間、優太は「お?……おぉ?」と変な声出している。すると、その後ろからブレインも優太に食って掛かる。


「貴様ぁ……確かに、エリナはドジで!」

「はぅ!」

「子供で!」

「あぅ!?」

「はしゃいで転んでしまう所もある!」


 しかし、ブレインが言葉を発する度に、エリナへとダメージが蓄積されていく


(やめて! エリナ様のライフはもうゼロよ!)


 そんな、救世主達のテンプレな思考を余所に、ブレインはさらに言葉を続ける。


「それに、今回よりもこの前の大事な式典で盛大に噛んだときの方が余程こたえだろ? エリ……」

「お兄様……それは慰めですか?」


 ブレインがエリナに話し掛けると、その言葉を遮りながら瞳からハイライトの消えたエリナが質問する。


「と、当然じゃないか。エリ……」

「そうですか、お兄様にとって慰めとは……妹の欠点を晒し……」

「ちがっ……」

「……さらには、忘れたい過去を掘り返す」


 ブレインが否定しようとしても、エリナが遮りながら魔法発動の準備を始めていた。


 流れる様な仕草で魔方陣を展開し、詠唱を始める。複数の魔方陣に囲まれ詠唱する様は幻想的だった。兄妹喧嘩でなければだが……


「氷結の槍、敵を囲い、凍てつかせよ!!」


 そこまでの動作の間にブレインも、腰に携えていた訓練用の剣を引き抜き防御体制に入る。

 エリナの詠唱が終わり、魔法を形作る言葉を唱える。


「【アイスラ……】」


 しかし、エリナの魔法が唱え終わる前に、魔方陣の中心にナイフ突き刺さり、魔方陣を破壊する。




 ─────────────────────────────




 ここで突然だが、魔法について説明しよう。

 魔法とは、詠唱または魔方陣等を媒体とし魔力によって発動させる、攻撃、補助を目的として作られた技術だ。


 今回の兄妹喧嘩に使われた魔法は、詠唱と魔方陣を組み合わせた複式魔法と呼ばれる物だ。

 魔法には複数の発動させる方法がある。この中の詠唱と、魔方陣について説明する。


 まず詠唱、魔力を込めた言葉を組み合わせ、一つ詩を作り出し魔法を発動させる。

 例えば、エリナの魔法の詠唱の詩「氷結の槍、敵を囲い、凍てつかせよ」の場合、氷結で属性、氷結に繋がった槍で性質、囲いで展開を決めている。

 さらに、魔方陣についてだ。魔方陣は魔力を込めた陣を使い魔法を発動させる。

 メリットしては、威力の調節がしやすく、隙が少なく魔法を発動させる事ができる。


 この二つの魔法式を合わせる事で、細かい調節と魔法の特性を同時にすることができて。尚且、魔法の威力を拘束程度に押さえることが可能になる。




 そんなことを誰に説明するでもなく、優太はリティの魔法講座を思いだしながらそんなことを考えていた。主に詠唱と魔方陣の説明に関してだが……


 優太はエリナ達に、視線を戻した。

 その視線の先では、シリアが王族兄妹を説教していた。


「全く、貴方方兄妹はお客様の前で喧嘩をするとは……そもそも……」


 そんなシリアを見て、リティとジークは苦笑している。


「彼女は、ああなると長いからな」

「うむ、我もあやつだけは怒らせたく無いな……シリア、そろそろゆくぞ!」


 ジークの言葉でやっとブレイン達はシリアから解放されたのだった。




 ─────────────────────────────




 その後、城内へと移動し兵士用の食堂に来た優太達、何でもブレイン達も訓練中は此処で食事を取ることが多い様で、ここに来るのには馴れている。

 



 長テーブルは、救世主用に一つを丸々を用意してあったらしく、それぞれが好きな場所座って行く。

 もちろん、優太は一番後ろの席に座った。幸子も優太の横に行こうとしたが絵美に連れられてしまったので、そのまま晃達と座った。


「そう言えば、さっきのシリアさんが使った技って、術式破壊ですか?」

「ええ、良く知ってますね」


 席についたと同時に、幸子がシリアに先程の事を聞いていた。

 シリアが少し驚いていると、幸子は「えへへ……」と嬉しそうに笑う。


「リティさんに教えて貰いました」


 幸子の言葉に、リティは頷く。


「サチコは飲み込みが速いから、わたしも楽で助かる」


 幸子はリティの言葉で、嬉しそうに笑っている。

 対して、表情が暗いのは進だった。進は、今朝の優太との面談での事を思い出していた。




 遡る事、朝の休憩室、進は椅子に座り優太と向かい合っていた。


「さてと、まずは俺の過去から話そうかな?」


 進に「真面目に話す」そう言った優太は、進にそう切り出した。

 その言葉に、進は頷き先を促した。優太も、進に頷き再び話始める。


「何処から話そうか……あれは夏の日の暑い日」


 優太が、自分の事を話し始めた。

次回は優太が何故一人になろうとするのか、過去を少し書きます。あと、能力を本格的に少々……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ