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無気力高校生の異世界救済  作者: SUZUKING
第3章 四賢者の試練巡行
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60 千夜さんの記憶と不穏な気配

明けましておめでとうございます(激遅)

 宿で千夜ちよからの報告を聞き終えた優太達は、一度ルートと合流することにした。

 しかし、丁度優太達が宿から出て来たタイミングでルートが宿へと向かって歩いて来ていた。


「おー? 兄ちゃん達……何かあったのか?」

「船には乗れなかった……規制が厳しくなって関係者以外の乗船は無理だそうだ」


 優太の言葉にルートは「そうか」と返すと、宿とは反対方向に歩き出す。

 そして、優太達に視線を向ける。


「兄ちゃん達、飯でも食いに行くか?」

「……良く食うぞレイナは」

「な、何で私に飛び火するのですか!?」


 優太の言葉にレイナが顔を赤くして異議を唱えながら四人はルートの後についていくのだった。




─────────────────────────────




 街の中でも特に人通りの少ない貧民街、一つの寂れた建物に怪しい男女が四人がいた。

 建物の住人らしき人間がボロボロになって倒れているのを冷めた目で見下ろしている。


「ちっ、情けねぇ……留守番も出来ねぇなんて……な!」

「グゥ!?」

「………」


 四人の中で一番若い男が倒れている男を思い切り蹴り上げる。

 他の三人は興味が無いようで、他の倒れてる男に質問している。


「何があった?」

「と、突然メイドがやってきて……気付いたら全員やられてた……」


 倒れた男の話しを聞いて、男は怒りの形相で倒れた男に詰め寄る。


「ほう……つまりテメェ等はメイドに良いようにやられてた訳か……ふざけてんじゃねぇ!!」

「ブラド、どうするよコイツら……消すか?」


 若い男が蹴飛ばしていた男を引きずってリーダーと思わしき男の前に投げる。

 他の二人の男女は興味が無いようで、二人のやり取りに目もくれない。


「ふん……好きにしろ、国からの仕事に備えなければならない手短に殺れ」

「ひっ、ま、待ってく……」


 男の命乞いは若い男には届かず、倒れた全員分の血溜まりが床に広がっていた。

 若い男は一瞬の内に倒れた男達の首を切り落としていた。


「グレイ……汚いわ」

「ああ!? フランカの陰湿なやり方よりマシだろぉが!」


 血溜まりを見てフランカと呼ばれた深緑色の長髪美女が嫌そうに若い男……グレイにクレームを入れる。


「私の呪いはただ一人を想っているのよ……他の人達は勝手に巻き込まれてるだけよ」

「うげ、分かったからその鉈しまえよ」


 フランカが愛おしそうに鉈の刀身を撫でると、グレイは戦慄の表情で距離を取る。

 そんな二人を疎ましげに見ているもう一人の男がブラドと呼ばれるリーダーの男に質問する。


「ブラド……仕事」

「分かってるルメドー、テメェ等! 仕事の内容を説明するからさっさと来い!」


 もう一人の顔を布で覆っている男メルドーの言葉にブラドは苛立ちを隠さずに全員を呼ぶ。

 その声にグレイとフランカもブラドの元に集まる。


「それじゃあ、お国からのありがた~いお仕事を説明するぞ?」

「どうせ殺しだろ? 強い奴か?」

「……」


 グレイの言葉にブラドは一枚の紙を全員に見えるように置く。

 その紙には三人の男女の絵が描かれている。


「仕事の内容は殺しだが……今回の目標は冒険者らしい……」

「冒険者? 珍しいじゃん、大体有力な商人や貴族なのにさ」

「……」


 基本的にメルドーとフランカは仕事の内容は話さない為、大体やり取りをするのはブラドとグレイだ。

 二人のやり取りを聞き流しながらフランカは三人の絵を見つめながら呟く。


「三人全員子供じゃない……」


 フランカの視線には楽しそうな女性と子供に手を引かれる気だるそうな男の姿があった。


“殺害指令 冒険者ユウタ・ヤノ、レイナ・ヘンティル、ルナ・ヤノの三名を始末しろ”


 紙に書かれた文字を確認すると、フランカは憂鬱そうに溜め息を付いた。




─────────────────────────────




 冒険者ギルドは基本的には国に属する組織ではなく、国によって協力関係を築いていたり、逆に殆ど関わりを持っていなかったりする。

 この帝国のギルドは後者……むしろ仲が悪いと言って良いだろう、その為ギルド内に国の人間は入ってこない。


「単刀直入に言うと、俺達クリエスティアの商人ギルドは今回の反乱に協力している」

「それでこっちで情報収集をしていたのか」

「…………」パクパク

「おお~」

「……お見事です」パチパチ


 その為、帝国の人間に聞かれたくない話をするのにギルドの飲食スペースは良く使われる。


「俺の昔からの知り合いが今回の件の当事者なんだ……巻き込む形で迷惑を掛けた……すまん」

「その事は良い、変わりに何か入り用になったら協力してくれ」

「…………」パクパク カチャカチャ

「レイナお姉ちゃんすごい!」

「流石、レイナ様です。気品良く尚且つ早い!」


 冒険者達も気にすることは無い……しかし、今に限っては注目の的だった何故なら……


「そう言って貰えると助かる……出来る限り協力する……のはいいんだがぁ……」チラチラ

「ああ、そうしてくれ」

「すみませーん、3皿追加下さーい」

「おおー!!」

「まだ行くと言うのですか……レイナ様……恐ろしい子……です」

「は、はい! ただいまー!」


 優太は涼しい顔で居るが、流石にルートが堪えきれずにレイナ達に触れる。


「食べ過ぎじゃなーい? え? 何? 胃袋空間魔法なの? こんなに皿の積み上がってんの見たこと無いよ?」

「落ち着けルート……まだまだこんなもんじゃないぞ」

「ふおうでふ」モグモグ

「レイナ様、食べながら喋るのはお行儀が悪いです」

「……ゴクン すいません」


 優太はいつも通りと気にも止めず、レイナは千夜から注意を受ける等カオスだった……因みにルナは千夜と一緒に既に食後である。


「いやいや、安心出来ないよ? お金は良いけど何処にそんなに入ってるの?」

(もしかして全て胸に?)チラ

「ルート……何処を見てる?」ストン


 周りの視線を集めているのは、華奢な体でしかし出ているところは出ている美少女が猛スピードで食べた皿を積み上げているからだ。

 また、邪な考えが過ったルートの目の前には綺麗にナイフが立っていたりする。


「す、すいませんでした!!」


 カオスな食事はこうして過ぎて行くのだった。




 カオスな食事が終わり、ルートの懐に甚大なダメージが入り、今はゆったりとした時間が流れている。

 優太なんかはテーブルに伏せて脱力しきっている。

 そんな時間の中、何かを思い出したのか千夜が紅茶を飲みながら話し出す。


「そう言えば……この時代の人々は他の大陸への経路が海路しか無いのですね……とても不便ですね」

「確かになぁ……ん?」


 ルートが千夜の言葉に同意しようとするが、発言に引っ掛かりを感じる。

 それは優太とレイナも同じ様で二人とも千夜の事を凝視している。


「千夜、今の言い方だと昔は陸路あった様に感じるが?」

「……? えぇ、確かに陸路がございます……詳しくは覚えて居ませんが……ええっとぉ?」


 優太の言葉に千夜は頷くと、思い出そうと首を傾げている。

 しかし、無理もない千年生きた千夜に取って思い出すのも容易ではない。


「千夜さん、頑張って下さい!」

「ああ! そうです、砂漠を渡る商人達は皆高い塔を目指してキャラバンを率いて居ました!」

「たかいとう?」


 千夜の思い出した内容にルナが首を傾げる。

 すると、ルートが何かが思い当たったのか手をたたく。


「高い塔は恐らく女神の神塔だ! 結構距離はあるし国境越える必要があるぞ?」


 ルートの言葉に優太は少し考えると、ルートに視線を向けて話し掛ける。


「ルート早速で悪いが欲しい物がある」


 こうして次に向かう場所が決まるのだった。

次に向かうのは新しい国ですが……次はクラスメイトです

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