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無気力高校生の異世界救済  作者: SUZUKING
第一章 異世界へ
6/68

5 無気力さんは頑張らない

すげー遅れました。申し訳ないです。

 ジークが訓練の内容を説明している時に、進……とリティが訓練場にやって来た。


「すみません……昨日は遅くまでリティさんと、打ち合わせをしていましたので……」

「いやいや、構わんぞ? それより、ススム殿にも話しておこう……」


 進はジークから、改めて旅立つ上で人殺しや、危険な魔物との戦いの可能性を聞かされた。その上で、晃や楓達が旅立つ事を選んだことも、進は聞いたのだった。


「そう……ですか。分かりました、出来るだけしっかりと、鍛えてあげてください。後、少し矢野君と話しをさせてください」


 進の言葉に、ジークは頷くと優太を手招きする。

 優太は少し面倒くさそうに、顔をしかめさせたが進を視界に入れると溜め息をつきながらもジークの元へと歩いていく。


「矢野君、少し良いですか?」

「? 此処じゃダメなのか?」


 優太の言葉に、進は「はい……」と頷いた。

 すると、進は少し離れた訓練場休憩室へと、優太を連れて歩いていく。




 休憩室に入った、優太と進は置いてあった椅子に、向かい合う形で座った。


「矢野君……まず最初に、一人で行くと言う意思は変わりませんか?」


 優太は進の言葉に、静かに頷く。

 それを見て、進は顔を伏るが、また上げたその顔は一つの決意を固めた顔だった。


「分かりました……僕は、もう止めません。ですが……もし……もしも、自分を見失いそうな時、自分の心が迷い苦しい時には、僕が、君の心を救って見せます!」


 そんな進の言葉に、優太は僅かに苦笑を浮かべると……


「すいません、俺そんな趣味無いんで……」

「ち、違います! 愛の告白とかではありません! ……何故……いつもそうやって、誤魔化すのですか?」


 優太は、真剣な顔で進に向き合い溜め息をつく。


「はぁ……先生、変わったな……いや、進先生はあっちでもこうだったか……」

「矢野君……」

「真面目な先生に、俺も真面目に話すかな……でも、先生この事は他の奴等には言わないでくれよ?」


 優太は頭を掻きながら進に念押しをする。

 その言葉に、進は頷く。


 進は思い悩む事となる、優太の過去と力を知ることによって……




─────────────────────────────




 進達が休憩室で話していた頃、訓練場ではジークが顔をしかめさせていた。チラチラとリティを見ては居心地が悪そうに溜め息をつく。


「何だ? いちいち溜め息をつくな、鬱陶しい」

「はぁ……何故、ここに居るのだリティ?」


 ジークは、リティの辛辣な言葉など物ともせずに、理由を聞いた。一方、リティはジークの言葉にやれやれと肩を竦めている。


「私は、ススム殿があの少年と話したいと言うから付き添いをな……あと、救世主様方の様子も見ておこうとな……」

「ほぉ……なるほどなぁ……」


 ジークのニヤニヤ顔で見てくるその顔に、リティはノールックで裏拳を決める。それはそれは、綺麗に……


「なっ!? 身体きょう……ごふぅ……!」


 紅く輝くリティの華麗な裏拳、ジークの華麗な軌跡、転移者達の戦慄の表情……突然過ぎる出来事に、場は騒然とする。


「間抜け面をしないでくれませんか? 騎士団長殿」

「リティ! 貴様、貴様の魔力での身体強化の一撃がどのくらい脅威か分かっているだろう!」


 ジークとリティのやり取りの途中で、浮かない顔の進といつも通りの優太が休憩室から戻ってきた。

 進の様子に気付いたリティが、話し掛けようとしたが、先にジークが話し掛ける。


「ススム殿? 浮かない顔をしておるが……何かあったのか?」

「いえ……何でもありません……それより、早速訓練始めませんか?」

「ふむ……いや、王子がまだでな……おお、来たようだな」


 ススムがジークを質問を誤魔化した、タイミングでブレインがやって来た。


「すまないジーク、仕事が長引いてな……どうかなされたのですか? ススム殿」


 ブレインもススムに気付き、首を傾げている。


「何でもありません、ジークさん……始めましょう」

「うむ、皆揃ったしな……では、始めに旅立つ者達は前に出てくれ!」


 ジークは、ススムの反応を見て、話す気がない事を察し訓練を始めることにした。

 ジークの号令に、晃、絵美、大地、幸子の四人と、楓、明菜、将、正孝、姫花、和馬の六人、そして優太一人が前に出る。


「この三組か……まず、旅立つ者達と、残る者達は訓練の内容は基本、別々だ。旅立つ者達には、私が付きっきりで訓練する、残る者達には基礎のメニューを作ってあるからそれをこなして欲しい」

「「「「「はい!」」」」」

「今日を含めて三日後に、一度ダンジョンに潜る予定だ。先に言っておくがこれはレベル上げのためだ」


 ダンジョンに潜る……つまり、魔物と戦う経験を積ませるということだ、ごくりと息を飲む音が聞こえる。

 魔物……動物や精霊、鉱石などあらゆる物に魔力が蓄積し、変異した存在、自然災害とも呼ばれる危険な存在、ギルドから許可を得た冒険者やハンターが依頼を受けて、討伐するはずの魔物と戦う。

 全員の緊張を感じ取ったジークが、笑いながら励ましの言葉を送る。


「がっはっは! そう心配するな、我々も付いているし、基礎をしっかりと積めば問題ない!」

「そうです。私は一緒に行く事は出来ませんが、しっかりと鍛え、学べば恐れることはありません」


 二人の言葉で、少し緊張のほぐれた晃達は、旅立つ者と残る者とで別れた。

 ちなみに、優太は平常運転、今も大きな欠伸を一つかいていた。その姿をブレインが、面白く無さそうに睨んでいるが……優太は全く気にしていない。


「ふむ、先ずは私に打ち込んで来てくれまいか? 人数の制限はしない」


 旅立つ組では、いきなりのテンプレとんでも発言が勃発した。

 その発言の中、前に出たのは楓だった。


「宜しくお願い致します」

「カエデ殿か、たしか職業はサムライだったな」


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 井伊楓 16歳 Lv.1

 性別 女 種族 人族

 職業 サムライ 特殊職 転移者/救世主

 体力 :50

 攻撃力:50

 防御力:30

 持久力:30

 俊敏力:100

 魔力 :30

 魔防 :30

 固有能力 〈疾風の剣帝〉

 スキル 言語理解(固定) 俊足 剣技能強化 居合い技能 斬鉄

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


〈疾風の剣帝〉……俊敏力にボーナスが付き、刀や剣を使った攻撃の威力が増幅する。


「武器はこちらで用意した。好きなものを選んでくれ」


 そうして、用意されていたのは、刀、剣、槍、杖、手甲等の武器、楓は当然刀を選んだ、井伊流剣術道場の次期当主として当然の選択だった。


「では、お願い致します! はあ!」


 楓は礼をすると、同時に地面を蹴る。ジークは、用意していた盾と剣を構え、楓の一撃を正面から受け止めた。


「踏み込みの思い切りが良いな、そして速い、技も相当磨かれているな」

「軽々と……次はこれです!」


 全て軽くいなされ、これならと瞬速の斬撃を連続で放つ。

 しかし……


「おお! これは受けきれんな……我を守れ【絶壁】!」


 【絶壁】、魔力の壁を作り出す事で敵の攻撃を防ぐ、防御系魔法の一つにより、楓の攻撃は防がれてしまった。


「凄いです。魔法も……」

「このくらいで良かろう……うむ、速さも踏み込みも中々の物だ、それに磨かれた剣技も見事だ! あとは、魔法か……」


 ジークは楓達の戦い方を見て、それぞれの訓練内容を作ることにしたのだった。

 思案が終わると「次!」と優太達に声を掛ける。


「ほな、次は私が行ったろうやないか!」

「アキナ殿か、不思議な固有能力を持っていたな」


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 金井明菜 16歳 Lv.1

 性別 女 種族 人族

 職業 戦商人 特殊職 転移者/救世主

 体力 :30

 攻撃力:30

 防御力:50

 持久力:50

 俊敏力:30

 魔力 :50

 魔防 :50

 固有能力 〈金こそが力ゴールドパワー

 スキル 言語理解(固定) 値切り技能 宝探し 見抜く力

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


金こそが力ゴールドパワー〉……所持金こそが力! 金こそが全て! 成り上がれちからと共に……


「説明文どないやねん! 最初見たときツッコミ堪えるのが大変やったわ!」

「だから、明菜……静かだったんですね……」


 明菜は、元の世界では金井財閥のご令嬢である、そのせいでこんな固有能力になったのだろうか?


 元の位置に戻る楓と、一言二言話しながら明菜は短剣に手を伸ばした。


「私は、これで行くわ」

「短剣か、ではアキナ殿、宜しく頼む!」

「ほな……おうじょうせいやぁぁぁ!」


 ジークの言葉に、頷いた明菜は女の子とは思えない、怒声を上げて隠し持っていた、ナイフを数本をジークに投げる。

 しかし、ジークは「なるほど……」と感心しながら、ナイフを全て叩き落とし、最後の一本を指で挟んで受け止めた。


「ふむ……考えは素晴らしいが……」

「それも、フェイクやで!」


 ジークの意識をナイフに逸れてる内に、明菜は背後に回り込み、回し蹴りを打ち込む。

 明菜は、小さい頃から空手を習っており、黒帯の有段者で全国優勝をするほどの腕前だった。


「入った! 流石、お父様の一番弟子です」


 楓は、祖父から剣術を習っていたが、明菜は楓の父より、空手を習っていた。

 しかし……


「鋭い良い蹴りだな……これまで!」


 明菜の蹴りは、完璧な決まっていた。しかし、ジークには全く効いていない。

 紅い魔力が蹴りの入った後頭部を守っていた。

 部分強化による、強固な守り……ジークの強みの一つだ、また、そこに盾による防御術が加わるので更に質が悪い。


「化けもんやんけ! 割りと全力やったんぞ!」

「まあまあ、お嬢……次は俺達の番だな! 行くぞ! 将!」

「ああ! 正孝、せめて一撃入れてやろう!」


 軽々と受け止めたジークに、若干お怒り気味な明菜をなだめながら、将と正孝が前に出る。

 ちなみに、正孝と将は明菜の幼馴染みでもある。その為なのか、正孝達は明菜の事を“お嬢”と呼んでいる……


「ショウ殿とマサタカ殿の二人で……いいのか?」


 ジークの挑発めいた言葉に、将と正孝は……


「「上等だ! やってやらぁ!」」


 まんまと乗せられた……


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 八島正孝 16歳 Lv.1

 性別 男 種族 人族

 職業 魔闘士 特殊職 転移者/救世主

 体力 :50

 攻撃力:50

 防御力:20

 持久力:30

 俊敏力:30

 魔力 :60

 魔防 :60

 固有能力 〈魔眼の保持者〉

 スキル 言語理解(固定) 部分魔力強化(眼) 望遠の魔眼 見切りの魔眼

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 〈魔眼の保持者〉……眼に特殊な魔力を蓄積することによって魔眼を開眼することが出来る。蓄積した魔力によって様々の魔眼を開眼させることが出来る。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 佐武将 16歳 Lv.1

 性別 男 種族 人族

 職業 召喚士 特殊職 転移者/救世主

 体力 :50

 攻撃力:30

 防御力:30

 持久力:50

 俊敏力:50

 魔力 :70

 魔防 :70

 固有能力 〈召喚の極意〉

 スキル 言語理解(固定) 魔力増加(極小) 召喚(魔鳥ガルーダ)、(魔犬ハウンド

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


〈召喚の極意〉……魔獣に力を認めて貰うことによって、力を引き出す。


「俺は、井伊のお兄さんから習った槍を使うぜ!」

「じゃあ、俺も井伊のお母さんから習った弓を……」

「井伊家って何なんだよ……」


 正孝と将の会話を聞いて、優太は思わず呟いていた。何人かのクラスメイト達も微妙な顔をしている。

 そんな優太に、楓は不思議そうに首を傾げている。


「道場を営む家に住んでいれば、強くなるのは当たり前だとお爺様から聞きました」

「あ、はい、そうですか……」


 いや、それ当たり前チガウ。一部を除いたクラスメイト達はそう思ったが口には出さない。

 道場を営むだけで、人に技術を叩き込める程の達人になれるか? なれるはずがない。


「マサタカ殿、ショウ殿、準備はいいか?」

「当然! 将!」

「正孝、俺達の連携を見せてやろう!」


 そう意気込んでいた二人だが、結果だけ言おう……見事なまでの惨敗だった。

 連携は確かによかった、正孝の槍術での肉弾戦に、将の正孝を邪魔しない弓の援護。

 しかし、ジークは正孝を対処しながら、矢を全て防いでいた。最終的には、正孝が吹き飛ばされ、将に激突して終了した。


「連携はよかったが、それぞれ視線や癖で行動がまるわかりだな……次だ!」


 アニメの様に、重なって倒れる正孝達を横目に、ジークは次を呼んだ。

 すると、また二人組で、今度は男女のペアが前に出る。


「じゃあ、次は私達だね! かず君!」

「やれやれだぜ……」

「かず君……そのネタ貫くの? 楓ちゃんが恐いよ……」


 姫花がそう言い、和馬も振り返る。そこには、笑顔で手を振る楓の姿が……黒いオーラ付きの姿があった。


「え、え、笑顔じゃん! はは、で、でも、悪ふざけはこ、この位にしておこう、かな!」


 和馬は楓に手を振る、否、手を震わせていた。

 声すらも、震わせる和馬に、ジークは気の毒そうに見た後にステータスを確認する。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 近藤和馬 16歳 Lv.1

 性別 男 種族 人族

 職業 英霊術士 特殊職 転移者/救世主

 体力 :30

 攻撃力:30

 防御力:30

 持久力:60

 敏捷力:40

 魔力 :50

 魔防 :100

 固有能力 〈英霊憑依ヒーローソウル

 スキル 言語理解(固定) 魔力増加小 憑依(闘士ファイター

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 〈英霊憑依ヒーローソウル〉……英霊と呼ばれる、力の強い霊を身に纏い、力を借りることが出来る。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 鈴音姫花 16歳 Lv.1

 性別 女 種族 人族

 職業 帽子屋/(アサシン) 特殊職 転移者/救世主

 体力 :40(60)

 攻撃力:20(50)

 防御力:20(30)

 持久力:20(30)

 敏捷力:30(70)

 魔力 :30(30)

 魔防 :30(30)

 固有能力 〈帽子に宿る別人カオスキャップ

 スキル 言語理解(固定) 闇魔法初級 帽子に宿る者 (暗殺術・暗器) (暗殺術・気配遮断) (気配察知)

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


帽子に宿る別人カオスキャップ〉……漆黒の帽子に宿る別人を呼び覚ます。ステータスが別人の物と変わり、スキルも別人の物になる。


「ふむ、救世主様方はやはり……特殊な職業やスキルが多いのだな。ステータスも兵士達のLv.1の平均よりもかなり高い、普通は良くてもどれか一つが20までだ……これからが楽しみだな」

「確かに、こちらとしても未知の魔法が見つかる可能性を無視できない……これからが楽しみだ」


 ふっふっふっ、と不敵に笑うジークとリティ。

 そんな二人に、和馬と姫花が準備万端と声をかける。


「よっしゃ! 準備万端だぜ! 早速、始めようぜ!」

「割りと、皆ノリノリだよね? 命の危険がないからかな? それとも……今は集中しなきゃ、ジークさんよろしくお願いします」


 和馬は急かし、姫花は一つの疑問に行き当たったがすぐに切り替える。ジークはそんな二人に「うむ」と頷くと、武器を構える。


「〈英霊憑依ヒーローソウル〉!! 憑依〈闘士ファイター〉! 俺達は武道は何一つ習ってないからな、固有能力もスキルも全開で行くぜ!」


 和馬の言葉に反応して、一人の男が現れる。筋骨悠々の男が和馬の背後に降り立つ。

 ちなみに、和馬は素手で、姫花は何故か鉈を選んでいた。彼女曰く、誰かと相談したらしいが……


「と、それは置いといて……行くぜ姫花!」

「わっ、ま、待って! 〈帽子に宿る別人カオスキャップ〉! かず君、彼女に合わせてね?」


 和馬の言葉に、慌て帽子を被る姫花、そんな姫花の言葉に和馬は頷く。

 和馬も姫花のスキルを知っている。正直、見知らぬ別人と合わせるのには不安があるが……とそんな和馬の横を何かが駆け抜ける。


「ほらぁ、おにーさん。この娘を守るんでしょぉ? 先に走られてたら、かぁっこ悪いわよぉ?」


 と姫花の姿をした別人に言われ、和馬は苦笑いで駆け出す。

 初撃は和馬の英霊によるハイキックがジークの頭を狙うが、ジークは盾で受け止める、その背後から姫花アサシンが鉈で胴を狙うが素早く身を翻したジークが剣で鉈を弾き飛ばした。


「びくともしねぇ!」

「鉈、飛ばされちゃったぁ? ふぇ? あ、ダメだったんだ」


 露骨に悔しがる和馬と、帽子を外しながら呆然と呟く姫花。

 そんな二人を見て、ジークは盾に付いている鞘に剣を収める。


「これが、救世主様方の固有能力、スキルか凄まじいな防御特化でなかったら考えるだけで寒気がするわ!」


 ジークは心からそう思っているのか、顔をしかめる。

 そして、懐から時計のようなものを取りだし、時間を確認する。


「ふむ、ちょうど昼頃か……一度切り上げよう、皆も腹が減ったところだろう?」


 そんな、ジークの言葉に晃達は頷く。勿論、特訓メニューをこなしていた残留組も一緒だった。


「では、食堂へ向かうぞ!」


 晃達は昼食を摂りに、食堂へと向かうのだった。




 ─────────────────────────────




 ジーク達が昼食の話しをしている頃、訓練場へと続く道をパタパタと急ぎ足で歩く少女が一人、その後ろをメイド姿の女性が一人付いて歩いている。


 少女……エリナ・リルティア、リルティア王国第一王女にして、ブレインの妹、明るいピンクのドレスに、兄と違い明るい茶髪は緩やかなウェーブがかかっている。可愛さの中に精悍さのある顔立ちは父親の名残があるのだろう。

 そんな王女エリナは、足を止め、後ろを付いていたメイドに声をかける。


「シリア、速くしないと救世主様方が移動してしまいますわ!」

「エリナ様、落ち着いて下さい。転んでしまいますよ」


 シリアと呼ばれたメイド……シリア・バトラード、ランド・バトラードの妹にして、エリナの専属メイドだ。メイド服なのは勿論だが、兄と同じ栗色の髪を今は編み込みにしており、顔立ちは可愛さと綺麗さが合わさっている。 


 シリアの優しい言葉に、エリナは「大丈夫です」とまた、パタパタと歩き始めるのだった。

白天兵団は余裕がないので、こっちが10話かいたらあっちを更新でいきます。

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