51 再会と誤解
アルセウスが楽しすぎてやばぁい
スライム狩りを終えて洞窟から出ると、だいぶ辺りは暗くなり始めていた。
優太達はそのまま一旦ギルドへと寄ることにした。
「ギルドに寄ろう……少し何か食べよう」
「あー、そう言えばお昼も食べてませんね……」
「うん……」
二人の了承を得た優太はギルドへと向かうのだった。
ギルドに着くとレイナはルナを連れて注文をしに行く。
その間優太は端っこのテーブルに座って、完全脱力形態へと変身する。
しかし、そんな優太に気付き声を掛けてくる者が居た。
「あれ? ゆう君……?」
「あー! ほんとだ、優太君だ!」
そこには、幸子と絵美が脱力形態の優太に気付いて近付いて来ていた。
優太は少し面倒くさそうにしながらも二人に視線を向ける……体勢はそのままで……
「ゆう君せめて体は起こして!?」
「あはは、優太君は変わらずだね……」
「はぁ、何だ幸子、小崎……他の奴等はどうしたんだ?」
優太は仕方なく体を起こすと周りを見渡しながら二人に質問する。
「皆はダンジョンで手に入れた戦利品を売ってるみたい、ジークさんも付いてきてるし、そろそろ終わるかな?」
「わたしはやること無かったから、さっちゃんに付いて来たんだー」
二人とそんな話をしていると、用事を終えたらしい晃達が幸子達に気付いて此方に歩いて来ていた。
「二人ともどうかしたのか?」
「あっ! 晃君、ちょっとねー」
絵美の言葉に首を傾げながら視線を動かすと、面倒くさそうにしている優太を視線に捕えた。
「優太、お前はまだこんな所に居たのか?」
「……悪いか?」
優太の言葉に、晃は少し顔をしかめる。
「今日で俺達も最終調整なんだ、さっき行ったダンジョンも一つ上の中級のダンジョンだ……お前はまだ賢者の洞窟に居るのか?」
「まあな」
優太の態度に、晃は次第に苛立ちが隠せなくなっていく。
そして、優太に何かを言おうとした瞬間に晃の目に一人の少女が見えた。
「……ん?」
「あれ? 何だろう……迷子かな?」
幸子達もその少女に気付いたのか、迷子なのかと思い声を掛けようとした。
しかし、その前に少女が優太の隣……晃達とは一番離れた場所に行くと少し困った顔をしながら言うのだった。
「おとうさん……しらない人がいっぱい」
「ルナ、レイナはどうした?」
優太はルナに普通に対応するが、その場に居た優太を知っている者達は全員驚愕の表情を浮かべる。
幸子にいたっては完全に固まってしまっている。
「な、何? お、お父さんって……ん? あわわゎ、さっちゃーんしっかりぃ!?」
「ゆ、ゆう君に子ども? 何処の馬の骨?」
パニック状態の二人に優太は冷静に声をかける。
「落ち着け……」
しかし、再起動した幸子は優太の両肩を掴んで座った目で質問する。
「一体何処の誰と? いつの間に?」
「さっちゃん? ちょ、ちょっと目が恐いよ……」
「落ち着け幸子……そもそも、本当の子供じゃない……」
しばらく、傍観していた晃が怪訝な表情で話し掛けてくる。
「優太……まさか誘拐か?」
「違う、成り行きで仕方なくだ」
優太ははっきりと否定するが、晃は疑いの目を向けたままだった。
そして、幸子も我にかえる。
「はっ! そもそもゆう君にこの大きさの子供が出きるわけ無いよね」
幸子はそう呟くと優太の肩から手を退かした。
「あれ? ユウタさん、お知り合いですか?」
「ああ、レイナか……そうだ同じ世界から来たんだ」
またも普通に話す優太。
しかし、優太の肩は再びホールドされてしまう。
優太の肩をホールドする幸子は、その体勢のままレイナの顔を見た後胸元へと視線をスライドさせてから優太と目を合わせる。
「ゆう君、あの人は? もしかして?」
「ち、違うぞ」
「でもさ、凄い美人だしスタイルもいいよ」
優太が首を振るなか絵美が余計な事を言い始める。
確かに、現在のレイナの格好は鎧姿ではなく少しラフな格好をしているため、引き締まった腰も大きい胸も分かりやすい。
「ゆ、ユウタさんお困りですか?」
「い、いや、大丈夫だ……少しルナを頼む」
困惑しながら優太に話し掛けるレイナにルナを任せて、優太は幸子達に「はぁ」と溜め息をつく。
「レイナとも成り行きで仕方なくだ」
「……いつかちゃんと話してくれる?」
幸子の言葉に優太は頷く。
そんな優太に幸子は微笑むと「そっか、分かった」と引き下がる。
「お待たせしました! ガッツリセット特盛でーす☆」
いい感じに終わりかけた所に、レイナが注文したらしい物がテーブルに届いた。
「いや、量多すぎじゃない!?」
「レイナ、俺は少し食べて行こうと言ったんだぞ……」
「す、すいません……つい……」
テーブルに届いた、特盛の食べ物に幸子は驚愕し、優太はどこか優しげに、レイナは少し恥ずかしそうにする。
そんな風に穏やかに終わる。
しかし、一人納得していない人間が居た。
「優太、その女の子の首に付いているのは奴隷の首輪じゃないのか?」
「だったら?」
晃の言葉に優太は変わらず不遜な態度で応じる。
そんな優太に苛立ちながら優太への追及を続ける。
「この国では奴隷は違法だ! その女の子を解放しろ!」
「生憎だが、手放す積もりはない」
優太の言葉に、晃は更に何かを言おうとしたがそれをレイナが遮る。
「さっきから私への確認も無く解放しろだの何だの……失礼ではないですか?」
「な、何を言っているんだ君は!?」
レイナの言葉に晃は驚いた顔をする。
しかし、直ぐに優太を睨み付ける。
「優太、お前がそう言わせているのか? その子供も拐ってきたのか?」
「失礼極まりないです……斬ります」
「お父さん……ルナ、この人キライ」
晃の物言いにレイナは剣の柄に手を置き、ルナは優太のくっつきながら不快そうに晃を見ている。
そんな二人を見て更に言い寄ろうとした時だった。
「おお! ユウタではないか、久しぶりだな!」
「ジーク」
気配も無く突然現れたジークにレイナは驚く。
そんなレイナを見て、ジークは頷く。
「報告に聞いた元奴隷の少女だな、ユウタと行動を共にしている。もう一人は……ルート殿から聞いている」
「ジークさん」
ジークは晃に聞かせる様に大きな声で話していた。
そんなジークに何か言いたげな晃だったが言葉を飲み込んだ。
「では、用事も終わったので我々はこれで失礼する。達者でなユウタ!」
「あっ、ジークさん待って! それじゃあねゆう君!」
そそくさとギルドから出ようとするジークを追いかけて、幸子達もギルドを後にしたのだった。
そして、レイナとすれ違う時に幸子は小さく。
「ゆう君をよろしくね……」
とレイナに言って行った。
「はい、任されました」
幸子の言葉に応えるようにレイナは確かに託された想いを胸に刻むのだった。
幸子達が居なくなり、運ばれた食事も食べ終わった優太達は手に入れた素材でルナの靴を作って貰う為にベラの工房へと向かっていた。
「何なんですか! あの人は私は自分からユウタさんに着いていっていているのに!」
「ルナもあの人イヤ……」
「何時までも言ってるなよ……ほら、ベラの工房に着くぞ」
あれから文句を言い続けているレイナに呆れつつ、優太は工房の扉を開ける。
レイナは少し立ち止まると小さく呟いた。
「でも……サチコさんとは次に会う時は仲良くなれそうな気がします……」
「ルナも、あのおねえちゃん好き」
レイナと、レイナの呟きを聞いていたルナは互いに笑い合うと優太を追って工房へと入っていった。
久々の登場のクラスメイト




