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無気力高校生の異世界救済  作者: SUZUKING
第二章 旅立ちと始まり
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46 ルナの成長と月明祭前日

年末に年越し関係無い物を出す……季節ネタはどうしても別世界線になるのでその内番外編で書くかも?

 優太達が村へと戻った後、更に森の奥にローブを纏った怪しい一団と彼らと話す女性の姿が有った。


「ふーん、それじゃあ目障りな狼は駆除できたのねぇ?」

「はい! 確かに息の根を止めたのを確認いたしました!」


 男の一人がそう言うと、女は妖艶な笑みを浮かべると続けて質問を投げ掛ける。


「そう、ちゃ~んと“二匹”殺したのね?」

「に、二匹?」


 男が焦った声を上げる。

 すると、女はゆっくりと男に近づいていく。

 栗毛を三つ編みにしたスタイルは良く、胸元の開いた赤いドレスを着ている女。

 男達の視線は女に釘付けだった。


「そう……まあいいわ」

「で、では!」

「どちらにせよ……貴方達はもう用済みですもの」


 女はそう言うと妖艶な笑みを浮かべながら、何かを引っ張るように手を引く。

 すると、男達の胸元から赤い鎖に絡め取られたハートが引き出される。


「あらあら~! こーんなにチャームも育って……でも、足りないわぁあの人にもう一度愛して貰うにはまだ足りない……」


 女にハートを引き釣り出された男達は膝から崩れ落ち、完全に動かなくなった。


「あっちのはバレちゃったみたいね……まあ、良いわ仕込みなら幾らでも出来るもの」


 女はそう言うと、森の暗闇へと消えていったのだった。




 ─────────────────────────────




 長老の宣言から数日、村は一気に騒がしくなった。

 村人達は移住の準備と月明祭の為の食料の準備と右往左往していた。


「隣の村は全員は無理だそうだ……」

「少し遠いが川の近くの村は……」

「どうせ最後になるならパーとやらねぇとな!」

「月明祭が最後にやったのはいつだっけなぁ」


 村人達は自分達を受け入れてくれる村の話や月明祭の話で持ちきりだった。

 そんな中、優太達は……優太は宿の部屋でだらけていた。

 因みにレイナとルナは村の手伝いに出ている。


「久々に動いたからしばらく動きたくない……」

「それ、私達が出ていく時にも言ってましたね……ただいまです」

「た…だいあ?」


 優太が呟いたタイミングでレイナ達が帰ってきた。

 数日の間にルナは歩いたり走ったりに慣れ、言葉も少しずつ習得していた。


「ああ、もどったのか? おかえり……」

「はい!」


 優太は二人に返事を返すと体を起こし、ベッドから下りる。

 そして、扉へと向かうと二人もそのまま優太に付いていく。


「飯をくって……んー、ルナの訓練だな……」

「はい……もう、お昼近くですけどね……」


 体を伸ばしながら言う優太にレイナは少し呆れながら一緒に食堂へと向かう。




 食堂ではロロが既に昼食の準備を始めていた。

 実は優太に合わせて居る訳なのだか、ロロは朝食を食べていない優太の為に毎回少し多めに準備する。


「おはよう……」

「ユウタさん、今はもうお昼ですよ……ロロさんこんにちは!」

「おは……やう?」

「ルナ、ユウタさんの真似はしなくていいですよ。今はこんにちはが正解です」


 そんな、漫才の様なやり取りをしながら優太達が入ってきた。

 ロロは三人に近寄ると軽く片手を上げて声をかける。


「よう、嬢ちゃん今日も大変そうだな。ユウタはいつも通りだな……おはよう」


 ロロはそう返しながら、ルナの頭を撫でる。

 ルナも満更でも無いようで少しゆらゆらと尻尾を揺らしている。


「今日もこの後はこの子の訓練か?」

「ああ、自分の身は自分で守れる様にしないとな……ただ……」

「ふふっ、ルナは優秀です!」

「……?」フリフリ


 二人の様子にロロは首を傾げるが、その先は気にせず昼食の準備にもどるのだった。




 早めの昼食を食べ終わり、優太達は森の中へと来ていた。

 最近ではルナは食べさせなくてもフォークを使い自分で食べれるようになったので何時もより早く森へと来れた。


「レイナ、ルナは歩く、走るはもう問題ないんだな?」

「はい! 転ぶ事はもうないと思います」


 優太はレイナの言葉を聞くと、周りを見渡し一本の木を指差す。

 それをレイナとルナは首を傾げながら視線を木へと向ける。


「ルナ、今から三人で走ってあの木まで競走だ」

「ああ、成る程……ルナ! 負けませんよ!」

「うー!」


 優太はそう言うと足元に木の枝で線を書く。

 そこに三人が並ぶと、優太が合図を出す。


「よーい、スタート」


 ダダッ


 合図と共に三人が一斉に走り出す。

 しかし、優太だけ早々に後退していき完全に勝負はレイナとルナの一騎討ちになった。


「は、速い! ついこの間まで歩くのもやっとだったのに……」


 レイナも驚く速さで目標の木に向かって走るルナ、それに追い付こうとレイナはスピードを上げた。

 そして、木の近くまで行った所でルナが跳んだ。


「ええ!?」

「うー!」


 ベキィィィ!!


 ルナが跳び目標の木へとものの見事な飛び蹴りを当てる。

 それと同時に木は音をたてて倒れる。


「おーい……なんか凄い音が……何が有ったんだ?」

「あっ! ユウタさん、ルナが木に向かってキックをしたら……」

「かったー」シッポフリフリ


 大体の状況察した優太は取り敢えず二人を呼びながら、魔力で倒れた木を処理していく。

 優太はルナの走り方に少し違和感を感じていた事をレイナに話す。


「違和感……ですか?」

「ああ、なんと言うかな……ルナの走り方は軽いんだ……」


 優太はそう言いながら魔力で切って分けた丸太の一つを手に持つとそれをレイナにも見せた。

 それを見てレイナは「えっ」と声を上げた。


「こ、これは?」

「月の魔力の一種……重力を操れるのか……しかも、無意識にな」


 ルナが蹴ったと思われる場所にはクレーターの様な窪みがあり、木はその少し下辺りから折れた様だった。


「要するに重さに耐えれずへし折れた訳か……」

「う?」


 優太は丸太から薪へと姿を変えた木を空間魔法で作った空間に全て入れると首を傾げるルナの頭を撫でながら村へと帰ろうと歩きだした。

 すると、直ぐ後ろからガサガサと茂みを揺らす音が聞こえ振り返る。


『ブフン! ブルルン!』


 そこには通常のイノシシの二倍ほど大きいイノシシが息を荒くして立っていたのだった。


「うわぁ、立派なラージボアですねラージポークと違って狂暴らしいですよ」

「明日の手土産に丁度良さそうだな……」

「ガルルルゥ」


 すると、突然ルナが威嚇の声を上げて高く跳び上がり、ビックボア目掛けて飛び蹴りをお見舞する。


 ドゴンッ


 鈍い音が響きビックボアは絶命した。

 一瞬出来事にレイナは言葉を失って居るが、優太は「ほう」と感心の声を上げるとルナへと近付いていく。


「お見事だルナ……じゃあこれを持って帰るか」

「……何と言うか……私がおかしいのでしょうか?」

「う!」シッポフリフリ


 一悶着有りつつも優太達は村へと帰るのだった。




 ─────────────────────────────




 村に戻ると、明日の月明祭に向けての準備が進められていた。

 ここ数日で顔見知りになった村人が忙しい中足を止めて声をかける。


「よお! お三方、今日も森からのお帰りかい?」

「まあ、そんなところだ……」

「こんばんは!」

「こんわんわ……」


 優太達は軽く挨拶をしながら森で仕留めたビックボアを取り出して村人に渡す。

 村人はビックボアを見て「おお!」と感嘆の声を上げる。


「こいつは立派な物だ……でも、この近くに居たと言うことは確実に守護の光が弱まってる証だな……」

「こいつは明日の月明祭に使ってくれ……ルナが仕留めたんだ」

「うっ!」シッポフリフリ


 優太に頭を撫でられながら上機嫌で自己主張するルナに村人は「おお!!」と頷く。


「そいつは張り切らないとな女衆にもそう言っとくぞ」

「お願いします……何か手伝える事があったら言ってください」


 レイナの言葉に村人は首を振る。


「色々レイナちゃんには手伝って貰ったから大丈夫だよ……その代わり明日は楽しんでくれよ」

「でも……分かりました楽しみにしています」


 村人の言葉にレイナは何か言おうとするが、優太に肩を叩かれて言うのをやめた。

 優太はそのまま宿の方へと歩きだし、それにレイナも着いていくのだった。


「村人達も最後の祭りの仕上げは自分達で終わらせたいだろう……余所者が下手に手伝い過ぎるのは良くない」

「そうですね……」


 優太の言葉にレイナは頷きルナの手を引いて行く。

 こうして着々と準備は進み月明祭が始まるのだった。

月明祭を書いて終わりです。村はどうなるかな?

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