42 言霊に宿る力は明月を解放する
地獄のプラチナ4800を抜けれない!! この村の話まだ続く
親白狼と邂逅し、その子どもを預かった優太達は村人達の目を盗みながら泊まっていた宿へと戻ってきていた。
宿自体も村の端に有ったことが功を奏したようだ。
「おお? 随分の間出掛けてたようだがどうしたんだ?」
「少し歩いてきただけだ……ルーフ達は?」
優太は素っ気なく言葉を返すと、ルーフ達の所在をロロに聞いた。
すると、ロロは肩をすくめると首を横に振る。
「お前さん達が出掛けた後も少し話していたが暫くしたらルーフの奴がおっかねぇ顔で飛び出していきやがってそれっきりだ……ルートもな」
「そうか……一つ頼みたい事がある……」
本来ならばルート達にも知っておいて貰った方が良いのだが居ないなら仕方ないと優太はロロに話し掛ける。
それに、ロロは「たのみ?」と首を傾げる。
「ああ、レイナ……入れてやれ」
「はい! どうぞ」
ロロの言葉に優太は頷くとレイナに中に入れるように促す。
そして、レイナが開けた扉から入ってきたのは人の腰辺りまである大きさの狼だった。
「えぇ!? こいつはもしかして件の狼か!」
「正確にはその子どもだ」
『バウ!』
優太はそう言うとロロに理由を説明する。
それに、ロロは「成る程なぁ」と呟くと優太達に視線を向けてから頷く。
「よし! 分かった……お前達に貸してる部屋で大人しくしているのなら許可してやる」
「すまない……金は追加で払う」
優太の言葉にロロは首を横に振ると快活に笑いながら言うのだった。
「いや、金なら足りてるし……正直、ライツの野郎には頭に来てたんだ! これぐらい協力させてくれ」
「……そうか」
こうして、子白狼を保護することに成功したのだった。
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優太達が宿屋に着く前、ルーフとルートはライツが居る家へと向かっていた。
白狼の討伐を辞めさせる為に直談判に来たのだった。
「ライツ! 居ますか、話を聞いてください!」
「ルーフ……あんまり荒れるな、らしくないぞ」
ルーフはついて早々に荒く扉をノックする。
それをルートはなだめながらライツが出てくるのを待っている。
「何なんだこんな時間に……出来れば日を改めてもらいたいのだが?」
「ライツ……ルートさんから聞きました、山に住む狼を退治するとは本当ですか!!」
ライツが家から出てくるや否やルーフは掴み掛からんばかりにライツに詰め寄った。
それに対してライツも少し荒い口調で言葉を返す。
「ああ、そうだ! 明日になれば冒険者達が集まってくる……そうすればあの狼もひとたまりも無いだろう!」
「そんな……それによって村が更なる危機に陥るとは思わないのですか! それに冒険者を雇う費用なんて……」
ルーフの言葉にライツは得意気に笑って言う。
「月明樹の木材を高値で買いたいと言う商人が居てな……報酬に関しては問題ない」
「……! 貴方では話ならないですね……長老様はどこですか」
ルーフの言葉にライツは「ふん」と鼻をならすと言い捨てるように言うのだった。
「じいさんは今は話せる容態じゃねぇよ、親父も別の村に用事が有って出ている」
「責任者が居ない状態で勝手をしているのか……」
ルートの言葉に「何とでも言え」と家の中へと戻っていってしまった。
表情の暗いルーフにルートは話し掛ける。
「ルーフ……今日は宿に戻ろう。あいつも村の事を考えた結果何だろう……今何を言っても無駄だろう」
「……私はこのまま長老の元へと行ってみます。もしかしたら話せるかもしれませんし」
ルーフはそう言うと足早にその場を離れ歩き出した。
そんなルーフにルートはため息をつきながら「俺も行こう」とルーフの後をついていったのだった。
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ロロから許可を貰った優太達は子白狼を前に頭を悩ましていた。
「……この子の名前はどうしたらいいのでしょう? このまま、狼ちゃんと呼ぶわけにもいきませんし」
「はぁ、どうせ預かっただけなんだ名前なんてどうでもいいだろう?」
優太は少し面倒くさそうにそう言うがレイナは首を横に振りながら反論する。
「いいえ、やはり不便です! 名前は必須です」
「名前と言われてもなぁ……」
優太はそう呟くと子白狼の方に視線を向ける。
子白狼は優太達の言い合いを不安そうにそれでいて何か期待しているように尻尾を揺らして見ていた。
そんな子白狼を見て優太は「ふむ」と考えながら無意識に子白狼の頭を撫でる。
『……』
「……ルナだ」
「ルナ……ですか?」
期待する子白狼を見ながら優太は微かにそう言った。
レイナは言葉の意味が分からずに優太に質問するように繰り返した。
「俺がいた世界で月を差す言葉だ……月の様に白く輝く毛並みを持つお前の名前はルナだ」
「ルナ……素敵です!」
『……!』
優太が名前の理由を教え、レイナが嬉しそうに頷いた時……子白狼の体に異変が起こった。
キュュュン……
突然、子白狼……ルナの体が眩く光り始めた。
「な、何ですか!?」
「……っ!」
目を見開くレイナを横目に咄嗟に優太は光に手を伸ばし、ルナの体を引っ張り出す。
「な!?」
ルナを引っ張り出した途端に優太が珍しく驚きに声を上げる。
それもその筈、優太が光から引っ張り出したのは……白銀の髪に狼の耳と尻尾が生えた九歳位の美少女だった……しかも全裸で……
「ユ、ユウタさん! 何が何だか分かりませんが取り敢えず何か身に付けるものを!!」
「と、取り敢えずロロに何か無いか聞いてこよう……」
優太はルナらしき少女をレイナに任せて、ロロに子どもが着れる衣服が無いか聞きに行くのだった。
「子どもが着る服? しかも女の子用? どうしてまたそんなもんを……」
「事情は話せば長くなる……後で説明する」
優太の言葉に少し考えた後に「少し待ってろ」とロロは言うと、一旦奥へと入ってしまった。
そして暫くするとロロは幾つか子供服を持ってくると優太に渡した。
「ほらよ、うちの娘が子供の時に着ていた物だ……」
「助かるが……良いのか?」
躊躇う優太にロロはニカッと笑って見せると押し付けるように子供服を渡した。
「良いんだよ、何に使うか知らんがタンスの肥やしになってるよりは使われた方が良いに決まってる」
「……すまない助かる」
優太はロロにお礼を言うとレイナ達が待っている部屋へと戻るのだった。
それを見送るとロロは「んー」と背伸びをした後に自分の仕事に戻るのだった。
「さてと、晩飯の準備に風呂も沸かさねぇとな……」
ロロから子供服を貰いレイナ達が居る部屋へと戻るとレイナの膝を枕に少女……ルナがスースーと寝息をたてて眠っていた。
それに気が付いた優太は静かに部屋の扉を閉める。
「……寝たのか?」
「はい……割りとすぐに」
優太の言葉にレイナは静かに返す。
そして、少し困った様な顔をしながら優太に話し掛ける。
「優太さん……この子がルナちゃんなのは間違いないと思います。それと、どうやら二足歩行に馴れていない様で歩こうとしたらすぐに転んでしまいましたし、言語も不自由なようです」
「……そうか」
レイナの言葉に優太は頷く。
しかし、予想は出来ていた事だった何らかの呪いで狼の姿になってしまって居たのならば生まれた時からの場合は高い……そうなれば言語等が不自由でも不思議は無かった。
「取り敢えず一回起こして服を着せよう」
「はいっ! ルナちゃん起きてください」
レイナが優しく声をかけながら肩を軽く揺する。
すると、ルナは目をパチパチとさせながら目を覚ました。
「……?」
「起きましたか? 今からお着替えの時間です」
「俺は暫く部屋の外に居る……着せ終えたら呼んでくれ。そのまま食堂に行くぞ」
レイナが頷くのを確認すると優太は部屋から出ていくのだった。
暫くすると、レイナ達が部屋から出てきた……ルナはレイナの手に掴まってゆっくりと歩いている。
「……!……!」
「お? おっと……どうしたんだ?」
ルナは優太の姿を見つけるとレイナの手から離れて優太の方へとフルフルと揺れながら歩き出す。
そして、途中で転びかけてしまうが優太が咄嗟に受け止める。
「ふふっ、どうやらユウタさんと一緒が良いみたいですね」
「……」フリフリ
レイナの言葉にルナは答えるように尻尾をゆっくりと振っている。
それに優太は「はぁ」とため息をつくとそっとルナに手を差し出す。
「ほら、行くぞ?」
「……」
「んー、何だか親子見たいですね!」
レイナの言葉に「何言ってるんだ」と呆れながらも何処か満更でもない優太であった。
「ほー、この子があの子狼だとはな」
「……」
ルナは優太の後ろからロロを見ている。
今、ルナが着ている白いワンピースはロロから貰った物で事情の説明の為にルナと会わせたのだった。
「髪の色とワンピースがマッチしてて似合ってるじゃねーか……」
「……」
ロロはそう言いながらルナの頭を撫でる……ルナは少し身構えたが大人しく頭を撫でられる。
そして、ルナを撫で終わったところでロロは優太達に言うのだった。
「飯出来てるからささっと食ってさっさと風呂に入ってくれ」
「分かった」
この時のロロの言葉がちょっとした問題を呼ぶとは優太は思いもしなかった。
おまけ
ル「……」フリフリ
ゆ「……」ナデナデ
ル「……」フリフリ
ゆ「……」ミミフワフワニコニコ
レ「ゆ、ユウタさんが笑顔だと!」
作「しっ、気付かれたら殺されるぞ!」カメラカシャカシャ
ゆ「……」ニコニコ
作「いつの間に後ろ……」シュットン
レ「恐ろしく速い手刀私で無ければ見逃していました……」
ル「……」フリフリ
タイトルに言霊を入れたけどまだ触れない……




