30 諦め無い少女の覚悟
令和初投稿! 何か遅い気がするけど、ポジティブに行こう!
「助けてやる」
優太は、視線の先に居る少女の言葉に応える様に言う。
少女は、綺麗な金髪に、整った容姿、それに似つかわしくない魔道具の首輪と薄汚れたボロボロの服を着ていた。
主張の大きい胸元を隠すには、少々小さすぎる。
そして、優太の視線は少女の腕に移す。
「……っ」
少女は腕に抱き抱えた存在を大事そうに、抱えている。
また、優太は魔力で確認し、確信する。少女は既に死んでいることを……
「なんだぁてめぇ……」
「死にたく無かったら引っ込んでなぁ!」
少女を追い詰めて居た男二人は、優太に怪訝な視線を向けながら怒鳴り散らす。
しかし、優太はどこ吹く風で聞き流す。
「てめぇ……」
「まて、よく見りゃ上玉じゃねえか、男色の貴族に高く売れそうだ」
男の一人がキレかけるが、もう一人が何かを言うと男はニヤァと笑う。
少女がハッと思った時には、男達は優太に襲い掛かっていた。
「くくくっ、てめぇも取っ捕まえて、奴隷にしてやる!」
「奴隷? この国は奴隷は違法なはずだが?」
「はっ、そんなのどうでも良いだろ? お前は俺たちに捕まるんだからよ!」
男達はそう言うと、腰の剣を抜き放ち、優太に斬りかかる。
しかし、その切っ先は優太に届くことは無かった。
「なにぃ!」
「体が凍って……」
優太は凍った二人の男の横を通り抜けていく。
男の一人が、優太に問い掛ける。
「な、何故だ……詠唱は聞こえなかったのに……」
「ふっ、企業秘密だ」
男の言葉に、一言そう返すと、優太はそのまま少女の元へと歩いていく。
少女は警戒しながらも、優太に「どうして……?」と聞いてしまっていた。
「……普通の人なら、奴隷と知るや見て見ぬ振りをするのに……何故、助けてくれたのですか?」
「……一瞬、目が合った時に、俺に似ていると思った。何もかもを諦めたあの時の俺に……」
優太の言葉に、少女は俯く。「何もかも諦めた」その言葉が少女の頭に繰り返される。
気付いたら少女はぽつぽつと話し始めていた。
「私は、ハガン帝国の貴族の一人娘でした。十二歳の時に重い病を患い、その対策の為に血の滲む様な訓練をしてきました」
少女の言葉に、優太は静かに耳を傾ける。
「いつしか、私は父や叔父様の様な騎士に成りたいと思うようになってました。そんな時でした、私が拐われたのは……」
四年間の努力の果て、目指すは父親達の様な騎士、そんな願いを踏みにじるように彼女に訪れた悲劇。
「叔父様は目の前で殺され、守りたいと願ったこの子を看とり、自分の無力を呪いました」
涙を流しながら、言葉を紡ぐ少女は顔を上げ、真っ直ぐに優太を見つめながら話し続けた。
「でも、この子は……短い時間を一緒に過ごした、母に捨てられても強かに笑っていたこの子は……最期に私に言いました『沢山の人を救える騎士になって』と……」
優太は少女の瞳を見る。
力強く輝く瞳を見つめ、優太は心を決めた。
「だから……私は生きたい! 諦めたく無い! でも、体がもう動かない……」
強い少女の慟哭に、優太は手を差し伸べた。
少女の心に応える様に、優太は笑みを浮かべて言うのだった。
「だったら、俺と来るか? その病も何とかなるかもしれない……」
その言葉に、少女はポカンとした表情をしながら差し伸べられた手を見つめていた。
優太の言葉に、レイナは優太の手を見つめて固まってしまった。
(さっきの言葉は本当だろうか? この難病が治る?)
レイナは、真っ直ぐに視線を優太の瞳に合わせる。
その瞳は、真っ直ぐに此方を見据え、レイナは直感的に分かった。
(この人は、嘘をついていない……この人に着いていけば私は……)
腕の中で眠る少女の願い、自身の願いを叶えるために……レイナはゆっくりと優太の手を取るのだった。
「よし、じゃあまずは、その首輪を外すか……」
優太はレイナを立たせると、首輪に手を伸ばす。
「ま、待ってください! この首輪には強力な呪いが……」
バキン
レイナが忠告を言い終わる前に、優太はなに食わぬ顔でライラの首輪を破壊していた。
「な、何で!?」
「呪いでも、魔力で生成せれている限り、俺には通用しない」
優太はそう言うと、レイナの首輪にも手を伸ばす。
しかし、レイナは首を横に振り、首輪を撫でながら優太に言うのだった。
「これは、私の戒めとして残してください……この娘、ライラとの約束を忘れない為にも……」
「分かった……せめて見栄えは良くしておくか」
そう言うと、優太は首輪をいじり、シンプルな金細工のオシャレな首輪に変わった。更に、ボロボロの服も綺麗に修繕した。
そして、優太は首輪にもう一つ細工を施したのだった。
「……凄い」
「これでよし……どうだ? 体が楽になってないか?」
「えっ? そう言えば……体が軽く、それに魔力が……」
レイナの言葉に、優太は頷いく。
「でも、一体どうやって?」
「その首輪に細工をしてある。その首輪には、俺の魔力が溜めてある空間に繋がる様にしてあって、そこから魔力をお前に注入し続ける様にしたんだ……だから、絶対に外すなよ? 外したら魔力切れを起こす前につけ直せ」
優太はレイナに、首輪のカラクリを話した。
レイナは呆然としながらも、それ以上に体の不自由が無くなったのが嬉しかった。
そんなレイナに、優太は再び手を差し出す。
「改めてよろしく……俺はユウタ・ヤノだ」
「私はレイナです。レイナ・ヘンティル……よろしくお願いします! ユウタさん!」
こうしてレイナは、優太の手を握り握手を交わす。
幼き少女との約束を果たすために、レイナは優太と共に行くこととなった。
─────────────────────────────
優太達は、ライラの遺体を空間魔法で創った部屋へと寝かせていた。
扉は近くに合った適当な扉を拝借した。優太の許可が無ければ入れないので事故の心配はない。
「この子は後で迎えに来よう。今はまだやることが有るからな……」
「やること?」
レイナの言葉に、優太はニヤァと笑みを浮かべると、扉に手を掛けて言うのだった。
「この国で奴隷商売は犯罪だ……だから、騎士団の一番偉い奴に押し付ける!」
「……!」
レイナは驚きながらも、優太へと着いていく。
部屋から出た優太は、凍りついている男達の元へと近づいていく。
「くそ! 砕けろ! くそ、くそ!」
「無駄だ、下手したら体ごと砕けるぞ?」
優太は男達にそう忠告すると、おもむろに尋問を開始するのだった。
「さてと、単刀直入に聞こうか……お前らの雇い主は何処に居る?」
「はっ! 誰が教えるかよ!」
男の言葉に、優太は「そうか……」と言うと、レイナを手招きして近寄らせると、即席の金槌を作り手渡す。
レイナは首を傾げる。
「ユウタさん?」
「鋼鉄の杭、敵に嘆きを送り、その身を突き貫け〈鉄撃〉」
優太の魔法で産み出された鉄杭が、氷に刺さったのを見て、レイナは察したのか、鉄杭の元へと近付いていく。
なお、男二人は顔を青ざめさせて、冷や汗をかいている。
「レイナ、俺がやれと言ったら少しずつ、ひびを入れていけ」
「任せて下さい!」
優太の言葉に、レイナは意気揚々と頷く。
そして、優太は再び男達に質問をする。
「で、雇い主は何処だ?」
「そんなこけおどしに……」
「やれ」
「はい♪」
優太の指示に、レイナは容赦なくカーン! と金槌を振り下ろす。
パキィッ
怪しい音をたてながら、氷にひびが広がっていく。
明らかに、男達の顔色は悪くなって行く。しかし、優太は容赦しない。
「もう一度聞く……雇い主は何処だ?」
「……」
「ヤレ」
「♪」
再び鉄杭に放たれる一撃、男達は戦慄する。
レイナと優太の目は本気だと……
「レイナ……一気にヤレ……」
「はい♪」
「ま、まて……分かった、教える! 教えるよ!」
男の言葉に、優太はレイナに手で止めるように指示する。
そして、男に喋る様に視線を向ける。
「……俺達の雇い主は、今は街外れの森の野営跡地に居るはずだ……そこで落ち合う手筈になっていた……」
「野営跡地に……レイナ……」
「はい?」
「一思いに終わらせてヤレ」
「はい♪」
優太の一言に、男達は騒ぎ出す。
「てめぇ! 騙しやがったな!」
「うるさい」
そんな、男達のすぐ側では、レイナが渾身の力で金槌を振り下ろしていた。
「や、やめろおぉぉぉぉ!!」
カアァァァン!
氷は砕け散り、男達は五体満足で白目を剥いて失神していた。
優太は男達を一瞥すると、魔力で創った縄で男達を縛り上げ、ライラが安置されてる部屋とは別の部屋に投げ込んだ。
「レイナ……場所は分かった……行くぞ!」
「はい! ユウタさん!」
二人は走り出す、少女の仇討ちの為に……
おまけ
ゆ「貴女が俺のマスターか?」
レ「……?」
ゆ「い、言ってみたかっただけだ……///」
基本的に優太は敵には容赦しない……それはともかく、キャラが増えたらキャラ設定を書くつもりです。期待はしないでください!




