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無気力高校生の異世界救済  作者: SUZUKING
第一章 異世界へ
20/68

19 見るな!感じろ!魔力で……

更新しました。

もうすぐ、城での話が終わります。

 優太達は、闘技場に着くと早速、準備を始めた。

 ジークは剣を取り出して構え、優太は魔力を発現させてそれを霧状に撒き散らした。


「ユウタ様、その動作は必要なのですか?」

「分かりやすくしただけだ……実戦だったらしないな」


 優太の言葉に、ロブロは納得したのか、闘技場の端へと離れていった。

 そして、優太は剣を取り出して、ジークと向かい合った。


「それでは、今回は我から行きますぞ!」

「はあ、分かった……」


 ジークはそう言うと、優太に斬りかかる。

 それに対して、優太はジークの初撃を防いで見せた。


「ほぉ、ではスピードを上げるぞ」

「反応はなんとか……スピードを上げられたらどうなるか……」


 ジークが一度距離を取り。そして、再び優太に斬りかかる。


 ガキンッ

 ギンッ

 ガチッ


 一撃、二撃、三撃と連続で優太を斬り付ける。

 優太も何とか、全て受けきった。


「確かに、大分良くなってますな……では、“ブレイン”のスピードで行きますぞ!」

「っ!?」


 ジークがそう言った瞬間、ジークの姿がブレ始めた。

 そのスピードは、ジンのスピードを遥かに上回っていた。


「ちっ、目じゃ追えねぇ……そこだ!」

「感じれていますが、体が追い付いておらんな」


 優太が振り抜いた場所とは反対側から、ジークは優太を斬り付ける。

 優太は咄嗟に、回避して体勢を整える。


「反応はいいですぞ! しかし、これではブレインに一泡ふかす事はできんな!」

「ふぅー、次だ……」


 優太がそう言うと、ジークの姿が再びブレる。

 剣を構えながら、〈粒子魔法〉に意識を集中させる。すると、何かが風で揺れる様な感覚を感じた。


(そのまま反応すれば、裏をかかれる……まだだ、まだ待つんだ)

(ほう、やはりこの魔法は便利だな……常に捕まれている気分だ)


 優太は、魔法に集中している。

 そんな中で、ジークが動く。優太の後ろにフェイントを入れて、横から攻撃を入れる。

 すると、優太の感覚に異変があった。

 一瞬、後ろで魔力が揺らいだ、その直ぐ後に横から更に激しい魔力の揺れを感じたのだ。


「横か!」


 キンッ!


「お見事! だが、まだまだ行くぞぉ!」


 ジークの姿が再びブレる。

 先ほどと同じ要領で、揺れが大きい方を防ぐ。


 キンッ

 キンッ

 ガンッギチィィ


 二回防ぎ、最後は受け止めることに成功していた。

 しかし、すでに優太は息が切れており、これ以上の続行は厳しいだろう。


「うむ! いい感じですぞ! だが、少し休憩しようか」

「それがいいだろうな……ユウタ様、サチコ様の所に行かれたらいかがでしょう? リティ様から魔法の訓練を受けているはずですので」

「ああ、じゃあそうさせて貰う」


 優太はそう言うと、武器を別空間に入れて闘技場から出ていく。

 優太が出ていったのを見送ると、ロブロがジークに話し掛けた。


「ユウタ様のあの魔法……どう思う?」

「便利、そしてとてつもなく危険な魔法だ」


 ジークの言葉に、ロブロは頷く。

 そして、ジークは話を続ける。


「この国も一枚岩ではないからな、あの力を知ればユウタ殿を使って悪事を働く者がでるかもしれん」

「しかし、ユウタ様はその事をよく理解している」

「うむ、後は使いこなすだけだろう」


 ジークは、心から救世主……異世界から来た子供達を心配していた。

 それは優太も例外では無い。だからこそ、優太に訓練を付けるのだそれが優太にとって役立つと信じて。


「所でジークよ、お前ギルドに調査依頼をだしていただろう? その結果が出たみたいだぞ」


 突然の話題の切り替えに、ジークは苦笑いしながらもロブロから調査結果を受け取り目を通す。


【〈初級ダンジョンにハイゴブリンが出現した件についての調査報告〉


 先日にて、リルティア王国騎士団長、ジーク・ドランドより調査依頼を受け、すぐさまギルド専属冒険者の調査部隊を結成し、ダンジョンでの魔物出現の調査を開始し、今日の昼頃に調査部隊が帰還。


 調査部隊からの調査結果としては─────報告以降のハイゴブリンの出現は確認出来て居ない為、ダンジョン自体に問題は無いとの事。また、今後ハイゴブリンの出現がないかの調査を約一週間続行し問題が無いかの確認が取れ次第調査を終了する予定です。

             クリエスティア冒険者ギルド】


 一通り目を通すと、ジークは「ふむ」と考え込んでしまう。

 そんなジークを見て、ロブロはどうしたのかと質問する。


「どうしたんだ? この調査書を見る限り問題は無いみたいだが?」

「むしろ……問題が無いことが問題なのだ……」


 ジークの言葉に、ロブロの顔が険しくなる。

 そんなロブロを見て、ジークは頷く。


「リティから聞いているだろう? 今回の件に人為的何かが動いていると……」

「なるほど……ダンジョンに問題が無いのであれば……もはや疑う余地も無いな」

「しかし、お粗末だ……狙うのならばバレぬ方法もあっただろうに……」


 ジークの言葉に、ロブロは「恐らくだが」と前置きをして話し始めた。


「力の誇示、この可能性もある。ハイゴブリンの出現の仕方は他の魔物と同じだったんだろ?」

「そうか、ダンジョンへの干渉、少なくとも魔物を召喚出来ると言う事を知らしめる……そこから結び着くのは……」

「女神を妨害出来る程の力を持った敵」


 この結論に達し、ジーク達は今回の件、この憶測はまだ優太達には話さないことにした。

 まだ見えない敵、その襲撃を受けたとなれば異世界の子供達にはショックが大きいだろう事を考慮しての事だった。


「煮詰め過ぎだジーク、俺達も少し休憩するぞ」


 考え込んでいたジークに、ロブロが声を掛ける。

 ロブロの言葉に、ジークは頷くと二人は闘技場から出ていった。




 ─────────────────────────────




 優太は闘技場から出てから、とりあえず幸子の所に行くことにした。

 時間的には、夕飯まであるためこのあと少し訓練をしたら、食堂へと行くことになるだろう。


「幸子、居るか?」

「あっ! ゆう君! お疲れ様!」

「ユウタ……訓練の方はどうだ?」


 リティの研究室に入ってきた優太に、幸子は労い、リティは経過を聞いてきた。

 そんな二人に、優太は頷くとそれぞれに言葉を返していく。


「ああ、幸子もお疲れ……経過はほどほどじゃねえの知らんけど……」


 ぶっきらぼうに返す優太に、幸子は「えへへ」と微笑み、リティは優しく頷いていた。


「そうか、順調そうで何よりだ……」

「人の話し聞いてた? はあ、まあいいや」

「ゆう君は休憩?」


 リティの言葉に、優太が諦めながらため息を付いていると、幸子が優太に質問をする。

 幸子の質問に、優太は頷きながら答える。


「ああ、ロブロに言われたから、ここに来たんだ」

「そうなんだ、どのぐらいに戻るの?」

「さあ? ロブロが呼びに来るんじゃねえの?」


 優太の言葉に、幸子は「そっかー」と頷く。

 すると、今度はリティが優太に話し掛ける。


「だったら、ロブロが呼びに来るまで幸子と共に魔法の訓練をするといい……明日の主力は間違いなく魔法だろう?」

「そうだな、確かに魔法を基盤にしようと思っていたし、どうせならやっとくか……明日が来なきゃいいのに……」


 優太はそう言うと、おもむろに腕立て伏せを始めた。

 これには幸子もポカーンとしてしまう。しかし、すぐに我に返り優太に声を掛ける。


「ゆう君? 何でいきなり筋トレを始めたの?」

「ん? ああ、身体強化魔法の訓練の一環だ気にするな」


 そのやり取りと筋トレが一通り終わったら優太も席に付き、幸子達と魔法の訓練を始める。

 両手に〈マジックリング〉を装着する。〈マジックリング〉を着けると魔力の伝達が良くなるからだ。

 それを見て、幸子が興味津々に聞いてくる。


「おぉー、それがリティさんが言ってた、ゆう君が作った魔道具?」

「ああ、そうだ……早くこれの扱いに慣れないといけないからな」

「へー、明日は使うの?」


 幸子の質問に、優太は首を横に振りながら答える。


「いや、明日は使わない……あまり、手の内を見せたくないからな」

「……ゆう君は、やっぱりここの人達が信用できない?」


 幸子の言葉に、優太は少し考える。

 そして、リティと目が合うと、「はあ」とため息を付きながらも答える。


「少なくとも……リティ達は信用している……」

「そっか……ゆう君」


 幸子の声に、振り向く。

 幸子は優しく微笑むと、一言言うのだった。


「無茶したら駄目だよ?」


 そんな幸子の言葉に、優太はふっと笑うと言った。


「当然」


 幸子は優太の言葉に満足そうに頷く。

 そのタイミングで、ロブロとジークが優太を呼びに来た。


「ユウタ様、そろそろ再開致しますよ」

「はて? サチコ達の表情が明るい気がしますな」


 そんな二人に、優太は「何でもない」と立ち上がり、闘技場へと歩き始めた。

 その背中に、幸子は呼び掛ける。


「ゆう君!」

「どうしたんだ? 幸子……」

「頑張って!!」


 それは、単純な応援の声援、それでも優太は内心照れながらも「おう」と返したのだった。




 こうして、前日の夜は明けていく。

 一人の少女の決意を乗せて、二人の少年の心を昂らせて……

魔法の訓練で真っ先に筋トレを始める……ちなみにマジックリングに本格的に触れるのは城から出たあとになります。

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