表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無気力高校生の異世界救済  作者: SUZUKING
第一章 異世界へ
2/68

1 王との謁見

俗に言う、説明回かな? 物語の最中にも、ちょくちょく、説明を入れます。

 豪華な玉間、豪華な玉座に座る、老人……ジゼル・エルティア、〈エルティア王国〉現国王は、眼前の少年達に微笑み掛けると、玉座から立ち上がる。


「ようこそおいでくださった、我が国〈エルティア〉へ! 異世界より誘われし、救世主様方よ!」


 そう、両腕を大きく広げ、歓迎の言葉を口にする。ジゼル王は、60代を過ぎてなお、衰えない体つきに、優しい微笑みは、正に好好爺と行った感じだ。

 そんな、ジゼル王の対応に、晃達は少し戸惑いながらも、片膝をつき頭を下げる。


「はっ! 我々は、こことは異なる世界より、女神様に選ばれ、元の世界へと帰る為に、戦う事を選び、此処に居ります。女神様より、この世界の危機の詳細は貴方様より聞けと言われたのですが……」


 戸惑う絵美達を余所に、転移者達の代表として、晃がジゼルの言葉に、返事を返していた。


「ふむ……お主が、救世主様方のリーダーか? 名は何と申す?」

「はい! 大野晃、此方の呼び方では、ヒカル・オオノでしょうか?」


 自然と、晃がリーダーの枠に収り、絵美達も、晃のカリスマ性は分かっているので、特に異論もでなかった。

 もっとも、優太に至っては、面倒だと思っただけだったりする。


「ヒカル・オオノか……では、ヒカルよ、そう固くなるな。他の救世主様方も、楽にしてよいぞ」


 ジゼル王が、そう言うと、晃達は躊躇いがちに、下げていた頭を上げ、立ち上がる。

 また、優太は晃達が頭を下げてる間も、堂々と立っていて、執事に睨まれていたのだが……


「あの、王様……そろそろ、説明を頂けるとありがたいのですが……」


 そんな優太を、スルーして、進が遠慮気味にジゼル王に、説明を求める。

 その言葉に、ジゼル王は頷く。


「おぉ! そうだな。まず、場所を移動しよう、此処では落ち着いて話しを聞けぬだろうからな……ランド!」

「はっ、既に円卓の間の準備が整っております」


 移動の旨が伝えられると、晃達は頷き、ジゼル王と執事のランドの後ろに付いて歩き出した。

 優太は明らか様に、顔をしかめたが、幸子になだめられ仕方なく後に付いて歩き出したのだった。




 ジゼル王に付いて行くこと数分、玉間のより、少し質素な扉の前に、優太達は到着していた。


「ここが円卓の間だ。緊急性の高い話し合いをするための部屋でな……侵入者を防ぐ仕掛けが施してあるから、落ち着いて話し合う事が出来るだろう」


 ジゼルが頷くと、執事のランドが扉を開く。

 扉の先には、優太達全員分の席が用意された、巨大な円卓があった。


「いつも、これだけ席が用意されているのですか? ……人数分丁度?」

「うむ、これは侵入者対策の一つだ。席の数を人数で設定し、紛れ込みに直ぐに気付く事が出来る」


 進の質問に、頷きながら、部屋の説明を始めるジゼル王。

 説明の内容は……かなり、高性能だった。ジゼル王の言った、人数設定に加え、魔力登録、敵意識別等々、とにかく高性能だった。


「……という訳でな。此処に居る、救世主様方の魔力は登録済みの状態になっておる。救世主様同士で話し合いを行いたい場合は、ランド同伴で許可しよう」

「ええ、そういう事なら、ありがたく使わせて頂きます。しかし、ランドさんが、信用出来るかが問題です。私達にも、聴かれたく無い話しの、一つや二つ有りますから……」


 進が大人として、生徒達の変わりに、ジゼル王にランドの信頼性を問う。

 そんな、進の言葉に応えたのは、他ならぬランドだった。


「ご心配無く。私は、如何なる密事をも、望むのでしたら陛下にすら、言わない事を制約します。【我が名、ランド・バトラード。名の制約の元に、如何なる密事の秘匿を約束する】」


 ランドが不思議な響きの言葉を口にする。すると、ランドの体が輝き出し、数秒すると輝きが消えていく。


「名の制約とは……何ですか?」

「名の制約か、この制約に反すると、名を失う……名を失えば、その者は犯罪者と見られる、なかなか重い制約だ」


 “重い制約”その言葉に、進は申し訳無さそうにしながらも、後悔無かった。これは、生徒達の為に“必要”な事だったからだ。


「ふむ、これで憂いは無いな? では、これからこの世界の危機について、説明させて貰う」


 そうして、世界の危機についての説明が始まった。




 ──────────────────────────────




 ジゼル王は、しばらく思案すると、救世主……転移者達が気にしているであろう事から話すことにした様だ。


「まずは、何故女神様は救世主様方に、危機詳細を説明出来なかったのか、と言うところから説明しよう」 


 それは、まさに優太達が気になっている事だった。

 そもそも、この世界を造り出した女神が、自分の世界の危機の詳細を知らないと言うのはおかしい。数人の脳筋はともあれ、晃達は全員がその異常に気付き、この世界に来てからずっと内心、首を傾げていた。


「ふむ、やはり気づいていたか、女神様は今……」

「力を失っている……あるいは、この世界に干渉出来ない状況下にある……」

「「!?」」


 ジゼルとランドは、勢いよく声の主に視線を向ける。そこには、「違うか?」と視線を返す、優太が居た。


「……その、通りだ。女神様は干渉の阻害を受けている様でな、数日前に今日、そなたらの事を告げてから、お告げが届かなくなったのだ」

「それで、最後は他力本願とは、勝手が過ぎるな」


 優太の辛辣な言葉に、ジゼル王は申し訳無さそうに、クラスメイト達の数人は同意と頷いていた。


「しかし、それでもこの世界の危機を救わなければ、元の世界には帰れないのですから、力を会わせるしかありません!」

「そうだ! 優太、悪態をつく前にどうするかを考えろ!」


 進と晃が、そう優太に言葉を掛けるが、優太は二人を無視し、ジゼル王に続きを促していた。


「で? おっさん、俺達は何と戦うんだ?」

「優太君は、僕が嫌いなのですかね……きっとそうですね……ぐす」

「えっ? い、いや、ゆ、ゆう君は割りと毎日あんな感じですよ! だから泣かないで! 工藤先生!」


 と少しナーバスになってしまった進を、幸子が慰め始めた所で、ジゼル王が優太の質問に応える。


「おっほん! うむ、この世界の危機、その元凶は……詳しくは分かってはおらん。そこでな、救世主様方には、力を鍛えながら、世界を巡り調べて貰いたいのだ……」


 ジゼル王の言葉に、晃達に衝撃が走る……何と戦うかも、分からず、手掛かりも無しに探せと言われたのだ、唖然とするなと言う方が無理だ。

 しかし、それでもぶれないのが、優太だ。


「はぁ~、話しにならん……とりあえず、これからの方針はどうすればいい?」

「うむ~、お主なかなか肝が据わっとるな、名は?」

「あ? 矢野優太だ」

「ユウタか、覚えたぞ! それで、これから暫くは、我が城で過ごし、この世界の事を知って貰いながら、己の力を磨いて貰うつもりだ」


 その言葉に、クラスメイト達は目を輝かせた。城で暫く過ごすのだ、心が踊るのも仕方ない事だろう。

 しかし、優太だけは、やはり嫌そうな顔をして、執事のランドに睨まれるのだった。




 その後、話し合いの結果、約五日間はこの世界を学び。五日後、ステータスの儀を行い、一週間は力を磨く為に、訓練をするのことに、決まった。




 ──────────────────────────────




 城で生活を始めて二日目、優太達はひたすら、生きる為にこの世界を学んだ。まず、最初に学んだのは、世界生い立ちと、四つの種族についてだった。

 まずは世界の生い立ちだが、平たく言えばドジ女神の“ドジ”からこの世界は出来ていた。女神は元々、世界の種の管理を任されていたが、ある日、ドジが炸裂し、予定に無かった空間に世界が出来てしまい、女神は罰としてその世界を管理するこになったと……


(あれは、もう手遅れなんだな、口には出さないが……残念女神だったとは……)


 この神話を聞いた、優太が心の中でドジ女神が、残念女神にクラスチェンジしたのも無理はないだろう。

 しかし、次の四つの種族の話しは、なかなか興味深かった。世界誕生は半分寝ていたが、種族の話しは寝ることはなかった……それはともかく、四つの種族の種族名は、グランド大陸に住む“人族”、ベスティア大陸に住む“獣人族”、ディアマンテ大陸に住む“機巧人族”、サタナス大陸に住む“魔族”の四つの種族だと教えられた。


「我々は、人族に類する存在だ。力や、魔法は他の三種族に負けはしているが、全体的にバランスがよく、万能型だ。また、獣人族は身体能力が高いが、魔法はからきしで、魔族は魔法を器用に使いこなすが、身体能力は低めだ」

「じゃあ、機巧人族は?」

「機巧人族は、自分の体に、いにしえのカラクリを着けて、戦闘能力を高くする事が出来る」


 説明の中は、ロマンの宝庫だった。優太にも、オタクでは無いが、多少なりともケモミミや魔族に憧れがあった。

 その横で数人の男子が、機巧人族に興味を持ったらしく、頻繁に質問している。


「その三種族の中で、危険な種族、近ずかない方がいい大陸はあるか?」

「む? 獣人族は、他種族に厳しいからな、ベスティア大陸に行く際は気を付けた方がいいだろう」


 そんな、男子を後目に、優太は心のロマンを抑え、説明をしている魔法研究家……リティ・インティに質問をする。

 眼鏡をかけ、銀髪をまとめ、きっちりとした衣服に身を包み、厳しい口調ながら、細かく丁寧に教える彼女に、女子達がたった一日でメロメロになったのは言うまでもない。


「さて、今日の講義はここまでにしよう。ススム殿、明日の打ち合わせに付き合ってくれ」


 そう言い、リティが進と別室へと姿を消すと、優太達は大きく伸びをすると、自分の部屋へと帰るのだった。


「……ケモミミは危険か……覚えておこうかな」


 優太は部屋に戻る途中、さっきの質問の返答にガッカリしていた。それでも、ベスティア大陸に行くのは決定しながら、溜め息をつきつつ、部屋に帰るのだった。


 三日後の、ステータスの儀に想いを馳せながら、優太は眠りに就くのだった。それはそれは、深い深い眠りに就いた。




おまけ


「さっちゃ~ん。絵美達忘れられてる?」

「たぶん、大丈夫だよ! ゆうくんは昔から面倒臭いと思考が絞られちゃうだけだよ!」

「ほ、ほんと?」

「うん! それに、晃君の親友なんて、名前すら出てないよ!」

「えっ!? 俺に飛び火した!? ひ、酷い!」


 日常の一部より……晃の親友の部屋から、夜な夜なすすり泣く声が……考えなければどうということはない!!

更新は出来る限り、一週間に一度はします。期待はしないで下さい。コメントはお手柔らかに、誤字の指摘も、有れば必要に応じて直します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ