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無気力高校生の異世界救済  作者: SUZUKING
第一章 異世界へ
13/68

12 悪意に負けず、魔物に負けず

ダンジョンをチラ見せ目的の回です。次の回で残留組にも光を当てて行こうかなと思います。

 ステータスカードに新しく記載された物がある。

 一つは身体強化だ、自身の身体に魔力を纏わせ、身体能力を上昇させる物だ。

 二つ目に自然系統魔法初級、メンタルの回復、草木を使った魔法がメインのスキルだ。

 しかし、問題は最後のだ。


 〈魔法創造・粒子魔法〉……魔力を放出し、ありとあらゆる物に干渉する、個人完全無視の魔法。黒くイメージされている為、かなり禍々しい


(魔法創造で作られた魔法は何で説明が変になるのだろう?)


 と優太は首を傾げている。

 その後ろで、リティは少しテンションが上がっていた。


「まさか、新しく魔法が出来る場面に遭遇するとはな……ふふっ♪」


 若干のキャラ崩壊をしているが、魔法マニアであるリティには嬉しい事この上ないのである。

 そんなこんなと話ながら、二人はジーク達と交流するべく、歩き出すのだった。




 場所は変わり、ジーク達は最初の広場で魔物のリポップを待っていた。


「にしても、本当にダンジョンはゲームみたいだよな」

「大地、言いたい事分かるよ。倒した魔物がリポップなんてゲームその物だ……」


 晃と大地の会話に、他の生徒達も頷いている。

 しかし、その考えに進が注意を呼び掛ける。


「ですが、ゲームと違ってこの世界では、死に戻りなんでありません安易な思考は止めましょう」

「確かに、先生の言う通りだ……ここからも、気を引き締めて行こう!」


 晃の言葉に、生徒達は頷く。

 それを見て、ジークは満足そうに頷いている。


「ふむ、結束が固そうで何よりだ、この分ならば何も心配いらんな」

「ジーク様、そろそろ魔物が湧く頃合いです」


 ジークの元にジンが魔物のリポップを知らせに来た。

 それに、ジークは「うむ」と頷くと、全員に向かって話し掛ける。


「皆、そろそろ魔物が湧く頃合いだ、気を引き締めよ! 兵士! 配置に付け、直ぐに補助出来るようにな!」

「「はい!(はっ!)」」


 ジークの言葉に、全員が立ち上がり、準備始める。

 その間に、魔物がリポップされる光が輝き、魔物が姿を現す。


「何!?」

「救世主方は退避を! これはどういう事でしょうか?」


 ジーク達のただならぬ反応に、晃達はすかさず退避する。

 この中で、進がジーク達に状況を聞いた。


「一体どうしたのですか?」

「ススム殿、あの魔物はこのダンジョンには居ない筈なのですよ」

「居ない?」

「そうです……あの魔物……〈ハイゴブリン〉はこのダンジョンでは出現しない魔物なのですよ」


 ジーク達の視線の先、そこに佇む複数体の魔物、各々が剣や斧、杖を持つ者いる。

 〈ハイゴブリン〉ゴブリンの上位種、複数体で軍団を作り連携を取って獲物狩る魔物。


「ススム殿は下がって下され、全隊! 奴等を倒すぞ!」

「先陣は私が……行きます!」


 ジークの号令に、兵士達が一斉に動き出す。

 その先陣を切って、ジンがハイゴブリンの剣士2体に向かって走り出す。


「遅い、そして隙だらけです……」


 刹那、ハイゴブリン2体の首か撥ね飛ばされる、何人かの女子生徒が「ひっ」と悲鳴をあげるが気にしている暇は無い。


「後、5体ですか?」

「盾を持っている奴は我に任せよ!」


 そう言って、駆け出すジークにジンがギョッと目を見開く。


「ジーク様! 武器はどうなされたのですか!」

「要らん! 素手で充分だ!」


 ジークはジンに言い返すと、拳を引き、腰から突き出すように盾を持つハイゴブリンを盾ごと殴る。


「ギキィ」


 ハイゴブリンはニヤリと笑い盾を構える。

 その瞬間……


 バキィ! ドゴンォォン!


 ジークの拳が木製の盾を完全に破壊し、ハイゴブリンを向こうの壁にめり込ませる。

 その直ぐに、もう一体のハイゴブリンがジークに飛び掛かるが、正拳突きの構えから横に回避して、そのままハイゴブリンの頭に蹴り叩き込む。


「ギャアァ」

「これで後は、2体か?」


 盾役のハイゴブリンが居なくなり、完全に無防備な魔導師ハイゴブリンはタジタジだが、そこを容赦するようなリルティア王国兵士ではない。

 そのまま、魔導師ハイゴブリンを隊列を組んで、魔法を回避しつつ確実に仕留めて行く。


「これで全部か……しかし、一体どうなっているのだ?」

「これは城に帰ってから、会議の必要が有るかと……」


 ジンの言葉に、ジークが「うむ」と頷いた。

 その時だった……


「きゃあぁぁ!」

「何!?」


 ジークが振り向いた先では、座り込む幸子に向かって盗賊ハイゴブリンが短剣を振り上げていた。


「幸子!」

「くっそ! 間に合わねぇ」


 晃と大地が駆け出すが、距離が少し離れて居た。

 晃と大地は、兵士達の動きを参考にするためにかなり前で戦いを見ていたのだ。


(あぁ、もうダメだ、ゆう君!)


 幸子が目を瞑る。


「ギキィ……ギャア!?」


 しかし、いつまで待っても、痛みは来ない。

 恐る恐る、幸子は目を開けると、そこには拳を振り切った優太が立っていた。


「危機一発、間に合ったな……手が痛てぇ!」

「ゆう君……?」

「おう、大丈夫か? 幸子?」


 優太の言葉に、安心仕切った幸子は優太に抱き付き、泣き出してしまった。


「ゆうぐぅん、ごわがっだよぉ!」

「のわ! 分かったから泣くなよ……ほら、立てるか?」


 優太は幸子を慰めながら、手を差し出す。

 それに、幸子は「うん!」と頷くと手を取って立ち上がる。


「ユウタ! 一体どうしたんだ? いきなり走り出して……これはどうなっている?」

「リティ、説明は後だ、レベル上げも充分だし、ここから出るぞ」


 ジークの声音に、何かを感じ取ったのか、リティは「分かった」と一言返し、ジークの後を追って行く。


「レベル上げは充分な筈だ! 今回はここまでとする! ギルドに寄ってから宿に帰るぞ」


 ジークの言葉に、兵士達も帰り支度を始め、幸子はまだハイゴブリンの恐怖を引きずっているのか優太にくっついている。

 そんな二人を見て、負の感情を募らせる少年が居た。


(俺は間に間に合わなかった、なのにどうしてあいつが……! もっと強くならないと)


 その少年は、誓う強くなると、誰にも負けないほど強く……


(お前にだけには、絶対に負けない! 矢野優太!)


 血が滲むほど、拳を握り締める少年、大野晃は密か誓うのだった。

 絶対に負けはしないと……




 ─────────────────────────────




 ギルドに戻って直ぐに、ジークはカウンターのリアの元へ歩いて行く。

 リア横に配置にされていた、お姉さん受付嬢と話して居たが、ジークの様子に顔を引き締める。


「リア、マリア……緊急の報告だ! 姉妹共々聞いてくれ!」

「あらあら、ジークさんが慌てるなんて珍しい……それで、ご用件は?」


 リアと話していた、お姉さんは本当にリアの姉の様だ、マリアと呼ばれた女性が用件を聞く。


「初級ダンジョン【賢者の洞窟】にて、ハイゴブリンが出現、調査を頼みたい」


 ジークの言葉に、マリアの目付きが変わる。

 猛スピードで、紙に何かを書くとそれをリアへと渡す。


「リア、これを直ぐにマスターの元へ……」

「うん! 分かったよ! お姉ちゃん! (。ゝω・)ゞ」

「調査には、私が直々に出ます」


 リアが走り去っていき、マリアの言葉にジークは「頼む」と頷いた。

 その一部始終を見ていたリティが、ジークに視線でどうゆうことかを聞いている。


「そう睨むなリティ……実はな、【賢者の洞窟】でハイゴブリンの部隊が出現した」

「何!? それは本当か!? しかし、ハイゴブリンは中級ダンジョンでしか出ない筈だが?」


 ジークの言葉に、リティは考えるように顎に手をやる。

 そして、ジークに向き直り、確認をする。


「それで、ダンジョン調査をギルドに依頼したと?」

「うむ、その通りだ……」

「……故意に、召喚された可能性は?」


 ジークはリティの予想外の発言に、目を見開く。

 

「リティ、それは一体……」

「ジーク、待たせたのぉ……どうかしたかの?」


 ジークがリティに何かを聞こうとしたところで、ドラコが奥から出てきた。

 リティはドラコを見ると「丁度いい」とドラコにも意見を聞く。


「マスター殿、この度のハイゴブリンの件、どうお考えで?」

「それは明日の調査が終わらねば解らぬが……少なくとも、普通ではない、いままで無かった事じゃ」


 ドラコの意見を聞き、再びリティは自分の考えを話す。


「……私は、この件何者かの意志があると思っている。」

「なんと、それはつまり……」

「ダンジョンにすら、干渉可能な敵か……」


 三人は、各々視線で確認し合う「彼らに言うには早い」と、頷きあいこの話を終わらせる。


「……」


 しかし、一人聞いていた者が居た。


「はぁ、めんどくせぇ」


 優太は、聞いた話に一言そう呟いた。




 ギルドでのドタバタが終わり、優太達は宿で各々の部屋でくつろいでいた


 コンコンッ


 と優太の部屋の扉がノックされる。


「誰だ?」

「私だ……リティだ」


 優太は誰かを確認すると、扉を開けてリティを招き入れた。

 部屋の椅子に座ると、リティは本題に入る。


「優太、索敵能力的にも優秀そうだな、その粒子魔法とやらは」

「あぁ、お陰で幸子を助けれた」

「しかし、使われるといい気はしないな?」


 そのリティの言葉に、優太は「バレてたか」と目をそらす。

 その様子に、リティはやや呆れ気味にため息をついた。


「優太、聞いていたなら、この事は暫く黙っていて欲しい」

「それば別に構わないが……」

「それだけ聞ければ充分だ」


 そう言うと、リティは立ち上がり、扉へと歩いて行く。

 すると、扉に手を掛けた所で「あぁ、そうだ」とリティが優太へと振り向く。


「優太、ジークを頼って見るといい、あいつは口が硬い上に戦いにだけは頭が回る……きっと、お前の力になる」

「善処する」

「今はそれで良い」


 リティはそれだけ言うと、優太の部屋を後にするのだった。




 こうして、初めてのダンジョン遠征は終わった、悪意の影を落として……

戦闘シーンは軽めにしてありますが、今後は激しい物が書ける様にしていきたいです。

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