10 遠征とダンジョンと魔物と筋肉痛
深夜更新が多いですが、とりあえず書けたので更新! バイトが夜よりになった弊害が( ゜д゜)ポカーン
ダンジョンへと遠征に行く当日、優太は激しい筋肉痛に悩まされていた。
リティ曰く、「強化を維持して、トレーニングすると強化に合った身体をつくれる」と言うことらしいのだが。
「こんなの聞いてねぇ……」
動けないほどでは無いが、ひどい筋肉痛に優太は魔物より強者に会った気分だった。
(オラワクワクすっぞ)
と、どうでもいいことを考えていたら、ドアがノックされる。
「ゆうくーん! 起きてる?」
どうやら、幸子が起こしに来たようだ。
「あぁ、開いてるから開けて良いぞ」
「分かった……ゆう君どうしたの?」
幸子はドアを開けて、直ぐ床に転がる優太を発見した。
「あらやだ……死んでる……」
「生きとるわ、何処の家政婦だお前は」
いつかの仕返しとばかりに、からかう幸子に優太はツッコミを入れつつ起き上がる。
「はぁ、それじゃあ行くか」
「うん!」
そうして、優太と幸子は集合場所へと向かうのだった。
集合場所に着くと、すでにジークとリティ、そして数人の兵士達が四台の馬車を引いて待っていた。
クラスメイトの人数は優太を含めて三十人ほどだ、馬車は大きめな物の為、一つに十人位は乗れるのだろう。
「それでは、今から近くにある【賢者の洞窟】へと向かう」
【賢者の洞窟】……それはかつて、この世界【エールランド】が出来て、種族が産まれた時に四つの種族を纏めた賢者、その一人、人族の賢者サリリが作ったダンジョンだ。
「まあ、このダンジョンの特徴は敵がメチャクチャ弱い事だな」
リティが一通りダンジョンの説明を終えると、生徒達は「へー」と感心の声を上げる。
また、リティの言った通り、このダンジョンの最大の特徴は魔物がメチャクチャ弱い事だ。その為、このダンジョンはルーキー冒険者が腕試しをするのに打ってつけだった。
「それなら大丈夫かな?」
「レベル上げってなんかワクワクするな」
ジーク達の言葉で大分余裕が出来たのか、ちらほらと前向きな言葉が生徒達の間で交わされる。
「当然、身の安全は保証するが、油断は禁物だ魔物は凶暴だそれに変わり無いからな」
ジークの言葉に、晃達は顔を引き締める。
優太はそんな中でものんびり欠伸をしている。
「では、早速馬車に乗ってくだされ、一番後ろの馬車には、武器等の刃物が乗っているから近づかない様にな!」
ジークの指示に従い、優太達は馬車に乗り込んで行く。
その途中で、ブレインとエリナ、そしてエリナの付き添いで来ていたシリアが見送りに来ていた。
「晃、幸子! 皆、気を付けろよ!」
「皆様! お気をつけて下さーい」
ブレインとエリナが手を振り、晃達にエールを送る。
その後ろで、シリアが深々と頭を下げて、お見送りをしていた。
「行って来まーす!」
「エリナさまーまた明日ー!」
そのお見送りに、晃達が手を振り返す。
そうして、一同はダンジョン【賢者の洞窟】へと向かうのだった。
─────────────────────────────
馬車が城門を出ると、始めに城下町【リーシア】が現れる。
町の建物は白と赤に統一され、規則正しく並んでいるため町並みは美しく整っている。
「わぁー、綺麗だね!」
「町の風景は、現国王陛下が住みやすい様にと考え、この姿になったのですよ」
絵美が目を輝かせている横から、兵士の一人が町の説明を入れる。
しばらく、進むと一段と賑わっている通りに出た。
「おお! 今週はバザールの日だったか!」
ジークはそう言うと、馬車を止める様に兵士の一人に言う。
「今日は少々忙しいからな、帰るときまだやっておるだろうから、その時に救世主様方の息抜きによろう」
「すみませんが、王国の馬車が通ります! 少しの間、道を開けて下さい!」
馬車を一時、停車させてバザールの人混みを退けて貰う。
道が開くと、馬車は再び動き出す。
「もう少しで、城下町を抜けますよ。」
兵士の言葉の数分後に、門の開く音が聞こえて来た。
城下町の門を出ると、そこは広大な草原だった。
「この草原を2~3時間ほど進むと町が見えて来る、そこが我々の目的地だ」
「全兵士、ここは結界の外だ気を引き締めろ!」
ジークの横に立つ男の言葉に、兵士達は「はっ!」と敬礼をすると、各々武器に手をやり、辺りを警戒する。
「ジン、ご苦労だな、お主が居ると心強い!」
「いえ、この騎士団副団長ジン・カザカミ、業務を全うするのみ……」
ジン・カザカミ、体格こそそこまでがっしりしておらず、しかし、しなやかな筋肉より繰り出される斬撃は素早く敵の急所を裂く。
鋭い目付きに、後ろに纏めた長い黒髪、顔つきは整っている、そして何処か日本人に似ている。
彼は、ジークの言葉に、淡々と言葉を返すのみであとは、周りを警戒している。
「それにしても、良かったのですか? お二人共来てしまって」
進が馬車から顔を出して、心配そうにジークに話し掛ける。
しかし、ジークは快活に笑い「心配無用」と応えるのだった。
「ススム様……心配は無用です。城には他に騎士団の分隊が常駐しております故、守りは問題有りません」
「まあ、そう言う事です!」
ジークの言葉に被せて、ジンが応える。
そんな話をしていると、少し大きめの町が見えて来た。
「あの町が我々の目的地【クリエスティア】だ! ダンジョンに入る前に皆にはあの町で冒険者登録をして貰う」
ジークの言葉に、晃達は目を輝かせる。
冒険者登録、それはつまりギルドと呼ばれる組織がこの世界では、存在すると言う事だ。
「ジークさん、ギルドとか在るんですか?」
「あぁ、そうだあの町には冒険者ギルドが在ってな、主に依頼の斡旋、魔物の素材の換金等をしているぞ」
その言葉に、流石の優太も目を輝かせる、優太もオタクまではないにしろ、ライトノベルで読んだ存在が実際に在ると言われると、心踊ると言うものだ。
「さあ、町に入るぞ、このままギルドまで直進して、その後ダンジョンから出た後に泊まる宿に荷物を置きに行く」
「各々の部屋は取って有るので、部屋の鍵を貰って荷物を置きに行って下さい」
ジーク達の言った通り、馬車は町の中央に在る建物へと進んでいく、恐らく中央の建物がギルドなのだろう。
そして、町の賑わいも中央へ進むに連れて益々盛んになっていく。
「なんか、色んな鎧を着た人がいるね」
「魔物の素材は換金されると、町の職人に卸されて装備品になります。その装備品を他の冒険者が買うことでギルドは収益得ています」
この世界でのギルドのシステムは、依頼の斡旋とギルド専属の職人への素材の斡旋で収益を得て、その収益を新人冒険者のサポートに回すことで更なる回転を促すものだ。
「まあ、ギルド専属ではない職人に直進持って行く冒険者も居るがな」
「団長、ギルドに着きます。皆様は馬車を降りる準備をしてください」
馬車はギルドの前で止まり、優太達も馬車から降りてギルドの建物を見上げる。
外壁は石ブロックを組んだ作りになっており、どう見ても砦にしか見えない。
「このギルドは元々我が国が建てた砦だったのですが、今は必要が無くなったのでギルドが有向活用したものです」
「よし、全員降りたな! では、なかに入るぞ!」
ジンがギルドの建物の説明をしていると、ジークが全員降りたのを確認して、ギルドの扉を開ける。
中に入ると、そこはまさにライトノベルに出てくるギルドその物だった。石畳の内装に所々に置かれたテーブルでは、冒険者と思われる人達が酒を飲み交わしていた。
「騎士団長の旦那! こんなとこに来るなんて珍しいっすね……なんすか? そのガキ共?」
「カイン、この者達が我が国においでくださった救世主様方だ」
ジークの言葉に、カインと呼ばれた青年は「へー」と興味深そうに優太達を見る。
蒼い瞳、同じく蒼い髪を短く揃え、幼い印象のある顔を好奇心に輝かせている。
「あっと、俺はカイン、水中魔精族平たく言えば水に住む魔族だ」
「細かい自己紹介は、後にしてください……時間が圧しています」
ジンの言葉に、カインは渋々「またな」と仲間と思われる軍団へと向かって行った。
その後、ジーク達について一番奥のカウンターへと、辿り着いた。
「はいはーい! おはようございます! どう言った御用でしょうか☆」
カウンターに着いたと同時に、カウンターに立っていた少女が元気に挨拶をしてくる。
明るい茶髪の三つ編みに、明るい可愛らしい笑顔で彼女は、客人を迎える。
「リア、我だ」
「あっ! ジークさん昨日ぶりですね! 頼まれた例の物、来てますよー!(。ゝω・)ゞ」
リアは、ジークから昨日頼まれた事があった、それを取りに一旦カウンターの奥へと入って行く。
「ジーク、久しいのー」
「おお! マスター、お久しぶりですな! 昨日は居られなかったが一体何処へ?」
マスターと呼ばれた老人。彼の名はドラコ・ドラゴレイ、約500年は生きている竜人族だ。
竜人族は、強大な力を持ち基本山に込もっている種族だ、古い伝承や物語に詳しい為に歴の種族と呼ばれている。
小さい身体に、腰も曲がっているが、かつて強者の名残か優太達は彼から圧を感じていた。
「少々、この国のギルド会合にな、魔物の凶暴化に冒険者襲撃等の話し合いなのだが……平行線でのぉ」
「それは大変でなぁ……おお! 皆、このお方はこのギルドのマスターだ!」
ジークがドラコを紹介すると、晃から始まりそれぞれが自己紹介していく。
そして、最後に優太が自己紹介をする。
「やの……ユウタ・ヤノだ、よろしく」
「……お主……いや、“まだ”か……あいや済まぬな、よろしくのぅ」
優太を見たドラコは、一瞬何かを言おうとしたが止めた、優太はそれに気付かなかった。
「おっ! 紹介をしている間にリアが戻って来たな」
「はーい! お待たせ致しましたー、三十人分の冒険者セットです(。ゝω・)ゞ」
そう言って、リアが持って来たのは軽く丈夫な鉄で出来た鎧と、革で作られたポーチ等のルーキー冒険者にギルドから送られる冒険者セットと呼ばれる物だ。
「それにしても、これだけ大人数を此処で登録するなんて……リーシアにもギルドが在りましたよね? しかも本部が」
「何、ダンジョンへと行くなら、こっちでついでにやる方が良いだろ?」
リアは、ジークとそんな話をしながら、優太達に冒険者セットを渡し、ついでにステータスカードを確認して登録していく。
そして、冒険者セットを受け取った優太達に、ジンが次の指示を出す。
「それでは、皆様宿の方へと向かいます。部屋に荷物を置いたら、その装備に着替えて宿の前に来てください」
指示に従い、宿へと優太達は移動を始めるのだった。
ジーク達が移動した後、ドラコはある人物と会っていた。
「ユウタと言う少年……伝承に記された魔力と同じ物を感じました。」
「さあな、だがあいつと同じかそれ以上になるぞ……ユウタは」
その言葉に、ドラコは目を見開く。
そして、微笑みながら、相手に頷いて見せる。
「かの賢者と、実際に交友の有った貴女が言うのならば、間違い無いでしょうな」
そう言い、振り返るドラコ……
「原始の魔王、リティ・インティ殿……」
「出来れば、無数の魔を知る王と呼んで欲しいのだが……」
原始の魔王と呼ばれたリティは、不機嫌そうにかつて、魔法の知恵より付けられた二つ名の方を読んで欲しいと言う
それをドラコは「済みませぬな」と軽くあしらう辺りどちらが年上か分からない
「数万年前からある伝承では、原始の魔王と書いて有りました故に……」
「それよりも、ドラコ……ユウタをどう見る?」
リティの言葉に、ドラコは目を瞑り、静かに応えた。
「……強くなるでしょうな、運命も、宿命も、絡み付くでしょう……しかし、それを断ち切れるほどユウタ殿は強くなる……」
「あいつと同じく、巻き込まれるのだろうな、大きな厄災に……」
二人は、そう頷き合うと、一人の少年のこれからを憂いるのであった。
優太達は宿へと、到着した。
しかし、優太達はその宿を見て、口が塞がらなくなる。
豪華な外装に、巨大な建物、それはもう高級ホテル並みだった。
「すげぇ、でけぇなーお嬢の家位有るぞ」
「アホ、うちの家はこないでか無いわ」
正孝の言葉に、すかさず明菜がツッコミを入れる。
二人が漫才をしている間に、ジーク達は宿へと入っていく。
「ようこそぉ! 宿【大平原】へ! 名の由来は平原より来る冒険者達を迎える事から付けられました!」
そんな、挨拶と宿の名の由来を説明する主人に、ジークは苦笑いで用件を伝える。
「主人、今回遠征で宿を取っていた物だ」
「おお! 確か、王国のいつも贔屓にして頂いて……おっと、鍵でしたね……どうぞ! ごゆっくり」
鍵をジークに渡し、ジークが鍵を優太達に渡して行く。
鍵を受け取って部屋に入ると、それなりの広さのある一人部屋だった。
「はあ、とりあえず着替えるか……めんどくさい、筋肉痛がしんどい」
ぶつくさ言いつつも、着替えを終わらせた優太は部屋から出て鍵を閉める。
その際に、偶々通りかかった幸子達と合流して、集合場所へと向かう。
─────────────────────────────
あの後、優太達が集合場所に着いて直ぐに、馬車は出発して、ダンジョンの前へと着いた。
そこには、岩で出来た入り口“だけ”が存在していた。
「あれが、ダンジョン……想像してたのと大分違いますね」
進の言葉に、ジークは笑って応えた。
「はっはっはっ、ダンジョンはゲートの中に封印されているのです。ダンジョン内の魔物を外に出さないために」
そう言い、ジークはダンジョン内へと入って行く。
それに続いて、優太達は馬車と共にダンジョンへと入って行った。
「うわぁ」
中に入った先は、確かに洞窟だった。
天然の岩がドームを形成しており、所々に明かりを得る為の松明がたてられている。
「では、皆訓練で使っていた武器を持って来て下され」
そう言われ、各々が使い易い武器を持って、ジーク達のもとへと集まる。
「それでは、これより魔物との戦い方を教える。まずは、我とジンが手本を見せる……ジン」
「はっ!」
ジーク達の後を着いて行く。
すると、優太達の前に一匹の魔物が飛び出して来た!
こうして、優太達の魔物との初遭遇となるのだった。
フラグを建築! 深夜テンションの俺様に勝とうなど!無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!
……すいません荒ぶって、面白いと思ったら評価とコメントを面白く無い人も評価お願いします。
また、ツイッターでも更新報告しますのでよかったらフォローお願いします。