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ビバ☆ロック  作者: Rainbow project
「俺たちの青春の傍らにはいつもロックがあったんだ。」
11/15

第十一章[男の戦い]

―時は流れ、夏。

バンドとチア部の活動を両立させる毎日が、

少しずつ安定してきた。

まだ、いじめは続いているけれど。

「それでも仲間がいてくれる。」

それだけでも、ミカにとっては大きい。




キーンコーンカーンコーン・・・




翔 「あっち~」


ツバサ 「もう、本格的に夏だね」


ジョニー 「蝉が鳴いてると余計に夏って感じだな」


生徒 「おい」


翔 「なんだよ?」


生徒 「お前たちのバンド・・・こないだライブやったんだって?」


生徒 「変に注目されてっけど」


翔 「ああ。わりーな大人気だったぜ」


生徒 「ふん・・・調子に乗んなよ。ちょっと人が集まったくらいで・・・」


生徒 「どうせすぐ消えるだろ」


生徒 「そうだよね~」


ミカ 「そっ・・・そう思っておけばいい」


生徒 「?」


ミカ 「いつか私たちが有名になったら・・・後悔させてみせるから・・・っ」


生徒 「は?何言ってんの?」


生徒 「声が小さくて聞こえませーん」


生徒 「あんたもさ、チアやってるから強いとか思ってんの?」


ミカ 「ちっ・・・ちがうっ・・・」





―ガラガラ・・・ガタン!!


生徒 「ミカ!!!」


ミカ 「・・・?」


生徒 「おおおおいた!すげー」


翔 「誰だ?」


光 「さぁ・・・?」





―見たことのない男子学生。

茶髪のスポーティーな雰囲気で、背も高い。

漫画に出てくる、学校の大人気な男の子という雰囲気だ。




ミカ 「・・・??」


生徒 「探してたんだよー!!!」


生徒はミカに駆け寄った。





生徒 「ちょ・・・えっ!?涼何やってるの?」


涼 「小林・・・ミカ!」


ミカ 「えっ!?」


涼 「野元涼です。よろしく!」


ミカ 「え・・・あ・・・よ、よろし・・・」


翔 「ちょっと待ったー!!」


涼 「?」


翔 「気安く触ってんじゃねーよ!つか誰だよ!!」



生徒 「きゃーーー!涼くーん!」


生徒 「なんでうちのクラスにー?」


生徒 「え、どこどこ?」



涼 「ちょっと話してみたくてさ、来ちゃった☆」


生徒 「きゃーーー!キラーンってしてる!」


生徒 「イケメン~!!」


生徒 「誰に会いに来たのー?」



クラス中の生徒たちが、一斉に涼を見つけると、そのすぐ隣にはミカがいた。




生徒 「え・・・冗談でしょ?」


涼 「何が?☆」


生徒 「話してみたかった人って・・・」


涼 「この、小林さんだよ!」


生徒 「は!?何言ってんの・・・」


翔 「おい待て!こっちのセリフだ!」


生徒 「アンタは黙ってなさい!」


翔 「ああん(怒)!?」


ジョニ― 「おいやめろ翔」


涼 「あーあ・・・うるさくなっちゃったね」


ミカ 「・・・。」


生徒 「だいたいね、涼はみんなのアイドルなんだから!こんな奴が独り占めしていいわけないじゃない!」


翔 「だからなんなんだよそれ!」


ミカ 「・・・何の・・・ご用ですか?」


ミカは不安そうに尋ねた。




涼 「ちょっとだけ時間もらえる?」


ミカ 「え・・・」


生徒 「ねぇ涼くーん!」


涼 「ごめんみんな!また今度ね!」


涼はミカを連れて教室を出た。



翔 「おい、待てって!」








―五分後・・・


涼 「・・・ここなら邪魔は来ないな」


ミカ 「あ、あの・・・私に何の御用でしょうか?」


涼 「そんなよそよそしくしないでよ☆」


ミカ 「え・・・」


涼 「俺さ、こないだのライブ見たんだよ!ビバ☆ロックの!」


ミカ 「あ・・・ど、どうも・・・」


涼 「日曜にほぼ毎週やってるよな?俺、時間あるときは毎回見てるんだけど・・・もしかして気付いてもらえてなかった?」


ミカ 「ありがとう・・・でも、歌ってるときは歌に集中しすぎてて・・・ごめんね」


涼 「そっか!・・・初めてライブを見たときは衝撃だったな・・・街をたまたま歩いてたら綺麗な声が聞こえてきて・・・しかも見てみたら俺と同世代じゃんってなって」


ミカ 「は、はぁ・・・」


涼 「しかも後から同じ学校の生徒だってわかって衝撃!」


ミカ 「ありがとう・・・これからもよかったらライブ来てね」


涼 「完全にファンとして見てるでしょ?」


ミカ 「え・・・ご、ごめん。」


涼 「俺本当に好きになったわ」


ミカ 「え?」


涼 「ミカ自身をねっ☆」


ミカ 「え・・・!?」






翔 「おーーーい!ミカー!」


ミカ 「し、翔だ」


涼 「・・・。」


翔 「ここにいたのか・・・野元、涼・・・だっけ?何の用だ?」


涼 「青山翔君・・・。ビバ☆ロックのギター担当」


翔 「・・・?」


涼 「君さ、ミカと付き合ってんの?」


翔 「お前には関係ねーだろ」


涼 「君のギターテクニックはすごいと思うけど、君自身はミカにふさわしくないようだね?」


翔 「は!?何言って・・・」


涼 「勝負しよう、翔君。」


翔 「勝負・・・!?」


ミカ 「・・・?」


涼 「ああ。このミカをかけてね☆」



翔 「ふざけんな!!ミカは物じゃねぇ!」


涼 「分かっているよ。でも、仮に僕がミカと付き合ったら・・・この学校はどうなるかな?」


翔 「ずいぶんと自分に自信があるようだがな、お前にもお前のファンがいるみたいだぜ。

ここはお互いのために関わらない方が平和に収まる!」


涼 「それはそうかもしれないが・・・ねぇ、ミカっていじめとか受けてるんでしょ?」


ミカ 「っ・・・・!」


翔 「おい、いい加減にしろよ!傷つくこと言ってんじゃねーぞ!」


涼 「君が暴力的にふるまうことで、余計な混乱が生まれる。より多くの生徒を敵に回すことになるんだよ・・・でもね翔君。幸い僕に歯向かう人はこの学校にはいない。そしてその僕が仮に誰と付き合おうと、僕の決めたことだからって許してくれる。ミカへの冷たい視線もきっと消えるだろう。果たしてどっちが平和的解決なんだろうね?」



翔 「言ってる意味が分かんねーよっ!」


涼 「・・・じゃあどんなことでもミカを守れると?」


翔 「当然だ!!」


涼 「なら勝負の内容は僕が決めさせてもらうね。」



翔 「いいだろう!なんか訳分かんねーことになったけど、どうであれ他の奴にミカは渡せないんで」


涼 「暑苦しいなぁ。・・・言っておくけど、手加減はしないよ」


翔 「あたりめーだ!!!そのかわり、俺が勝ったら二度と近づくんじゃねーぞ!」


涼 「分かった」


ミカ 「待って!勝手に決めないでよっ!」




涼 「・・・。」


ミカ 「二人はそれでいいかもしれないけど・・・こっちは・・・勝手に自分のこと決められたら困るのっ!」



翔 「そ・・・そうだよな・・・ごめん」


涼 「君は翔を信じられないの?」




ミカ 「そういうわけじゃ・・・ないけど・・・」







キーンコーンカーンコーン・・・


涼 「授業の時間だ。またね」


涼は颯爽と教室に戻っていった。











―放課後・・・


ジョニー 「・・・は!?勝負!?」


タクヤ 「それは・・・学校中で騒ぎになるんじゃ・・・!?」


ツバサ 「その人、そんなに有名だったの?」


光 「本当に学校のアイドルらしいYO~!名前を知らないの俺たちだけだったみたいだYO」


ミカ 「・・・。」


翔 「絶対に勝つから問題ねぇ!周りがどう言おうと関係ないからな!」


マリナ 「ねぇ、その勝負まだ正式に受けたってわけじゃないんでしょ?・・・無視できないの?」


翔 「ほっとけないっすよ!」


マリナ 「でもそれでいいの!?」


ミカ 「先輩!・・・私も最初はそう思ってました・・・でも、私は翔を信じてるので」


マリナ 「ミカちゃん・・・」


ツバサ 「勝負の内容は、いつ、どこで?」


翔 「それがまだ分からないんだ。だが・・・アイツが全て決めることになっている」


タクヤ 「そうなのか!?不利になるんじゃ・・・」


ジョニー 「油断できないな」


翔 「ああ・・・」












―次の日・・・


生徒 「ねぇ!これ何―!?」


生徒 「おい見えないよ、なんだよこの人だかり!」


生徒 「なんか掲示板に貼ってあるらしいよ!」


生徒 「・・・なにこれ!」




『青山翔君へ

今日の放課後、決闘を申し込む。体育館でバスケット対決、一対一だ。』





翔 「すげー人だかりだな・・・」


ジョニー 「なんだ?」


生徒たちは一斉に後ろを向いて、翔たちのほうを見た。




翔 「な・・・なんだ?」


生徒 「ねぇ、アイツが青山翔?」


生徒 「そうだよ・・・隣のクラスで・・・」


ミカ 「ちょっとすみません!通してください!」




ミカたちは人をかき分けて、掲示板の前に立った。




ミカ 「・・・これ・・・!」


翔 「あ・・・!」


生徒 「おい翔、冗談よせよー(笑)」


生徒 「涼と対決とかいつ決めたの??」


生徒 「アタシの涼君なんだけどーどういうつもりー?」


生徒 「どーせ勝てねぇって(笑)」





翔 「・・・今日の放課後って・・・」


ミカ 「いきなりすぎる・・・」


生徒 「なぁ、見に行こうぜー」


生徒 「いこいこー!涼君のかっこいいところ見たいし~!」


翔 「・・・行くしかねぇな」











―放課後・・・


ツバサ 「翔!頑張ってね!!負けないで」


翔 「おう!」


ジョニー 「じゃ、体育館行くか」


体育館に着くと、大勢の生徒がコートの周りに集まっていた。






生徒 「涼君頑張ってー!」


生徒 「わー!涼君~!!!」


生徒 「おい、翔たちが来たぜ」




コートにはすでに涼の姿があった。





翔 「・・・よぉ」


涼 「来てくれたんだね、よかったよ」


翔 「逃げるわけにはいかないからな」


涼 「それでこそ翔君だ。」






生徒 「ねぇ・・・なんであいつらこんなことになったの?」


生徒 「よく分かんねー」



涼 「もう一度勝負の内容を確認しておこうか。一対一でバスケット対決だ。先に点を取った方の勝ち。ミカをかけて勝負だ。」


翔 「ああ。」


生徒 「ねぇ、聞いた!?」


生徒 「ミカをかけて勝負・・・って・・・」


生徒 「どういうこと!?」





涼 「さぁ、さっそく始めようか。」


ミカ 「翔!頑張って!!」


翔 「・・・。」





涼は生徒にボールを渡して、翔と向かい合った。

周りで見ている生徒たちは緊張感に包まれ、

自然と歓声をおさえた。



ピー!!!

―笛が鳴ったと同時に、生徒は翔と涼の間の空中にボールを高く投げた。


バシっ!!





生徒 「よし!!涼が取ったぞ!」


生徒 「わーーー!!いけー!」


生徒 「きゃー!」


生徒 「涼君頑張って~!・・・でもなんか勝ってほしくない気もする・・・けど頑張って!」


涼はドリブルをしながらゴールへ向かい、シュートを放った。


翔 「っ!」



生徒 「あー外した~」


生徒 「翔に取られたしっ」


ジョニー 「翔!いけ!」


ツバサ 「頑張れ~~~!!!」


タクヤ 「しかし・・・すげースピードだな」


マリナ先輩 「たしかバスケ部入ってるんじゃなかった?」


タクヤ 「そうなの!?」


光 「自分の得意なもので勝負かYO」


ジョニ― 「とにかくシュート決めろ!」


ミカ 「・・・。」


マリナ先輩 「ああ~またボール取られた!もう見てられないわ!」


ツバサ 「ゴール守って!!」


ジョニ― 「かなりの接戦だな・・・」






涼 「その程度か?」


翔 「少し遊んでただけだっ!」


翔はボールを奪い、涼の守るゴールに向けてシュートした。


涼 「・・・!」



翔 (入れ・・・!!!)


ミカ 「・・・!」


翔のボールは、大きな円を描いてゴールに入った。




ピー!!






生徒 「入った・・・!!」


生徒 「ええええ!」


涼 「なっ・・・」





翔 「っしゃーーー!!!」


ミカ 「わぁ・・・!!」


ジョニー 「やったぜ!」


タクヤ 「さすが!!」




体育館には驚きの声と歓声が混じった。



翔 「正真正銘、俺の勝ちだ!」


涼 「・・・負けたよ」


コートの中心で握手をする二人の元へ、ミカが駆け寄った。




ミカ 「あの・・・お疲れさま」


涼 「ミカ・・・」


ミカ 「私なんかの為に、って言ったら変かもしれないけど・・・二人とも一生懸命でかっこよかった」


ミカは涼に笑顔を見せた。



ミカ 「よかったら、またライブ聴きに来てね」


涼 「・・・ああ」


ミカ 「そして・・・」




ミカは翔を見て頷いた。


ミカ 「信じてたよ、翔」






生徒 「なんかさ・・・涼君ってバスケ部なのに負けたって・・・」


生徒 「翔すごくね?」


生徒 「涼君負けちゃったけど、これでいつまでも私たちのアイドルだね~」






涼 「悔しいけど、やっぱりお似合いだ」


翔 「・・・ありがとな。」






―まるで戦いの終わりを告げるかのように、最終下校時間のチャイムが鳴った。


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