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エモーションハンター  作者: むぺぺ
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復讐

「クソ!」


――ガラン、ガラン――


足元にあったガラクタを怒りのまま蹴り上げる。路地の片隅に何人かの男たちがいた。


「お、落ち着いてください……」


一人の男がなだめようとするが

 

「これが落ち着いてられるか!!」


なだめようとした男が気に食わなかったのか、男の胸倉を掴む。男は、興奮が抑えられず怒りで震えていた。


「俺たちは、コケにされたんだぞ! あの一年の女に!!」


更に掴んでいる手に力が入る。


「く、苦しぃ……」


掴まれている男は、首を絞められる形となり顔が真っ赤になっていく。


「クソ!!!」


力任せに掴んでいた手を放す。


「ゴホ、ゴホ、ど……どうするんですか?」


胸倉を掴まれていた男は、首を抑え苦しそうに立ち上がる。


「そんなの決まってる…… あの女に復讐する」


恨みに満ちた目を見てゾワっとする掴まれていた男。


――コツ、コツ、コツ――


足音が周りの建物に反響して近づいてくる。姿が見えるとピタッと足音が鳴き止んだ。


「今の君には無理だよ」


聞き覚えがない声が今度は足音の代わりに聞こえてくる。


「誰だかしらねぇが、誰に向かってその口を聞いているのか分かってんだろうな! 悪いが俺は、手加減できる気分じゃねぇぞ!!」


声を荒げ、『心器』を発動して怒りのままに襲い掛かる男。


――パシ!――


彼はニヤっと笑うと、軽々と素手で『心器』を受け止めた。


「う、嘘だろ……」


「『心器』を素手で受け止めた……」


怒りから恐怖が胸にわき始めた。額から汗が流れる。体は震えていたが、怒りのの震えではない。恐怖の震えだ。男は、『心器』を発動していた腕を掴まれる。


「うっ!」


腕を想像以上に強く掴まれ苦痛の顔を浮かべる。


「今の君では、僕に傷なんて与えられないよ」


腕を外そうと抵抗するがびくともしない。額から流れる汗の量が増える男。


「お、おい! 何、ぼっとしてんだよ…… 俺を助けろ!!」


その声にビクっと反応する男たち


「は、はい!」


『心器』を構え謎の男と交戦しようとするが


「ごめんね、君たちには用はないんだ」


――シュッ――


「え?」


男達の顔が宙を舞い、首からは血が噴水のように噴き出た。


――ピチ、ピチ、ピチ―――


噴き出た血が地面に落ち、雨のように音を奏でる。そして最後に


――ゴン、ゴン、ゴン――


コンクリートに石をぶつけた音がした。その石は腕を握られた男の近くに転がる。男は、その石を恐る恐る見た。


「う、うわぁーーー!」


恐怖が限界を超え、足をジタバタして暴れまわる男。


「離せ…… 離せ、離せ、離せ、離せ、離せぇぇぇーーーーー!」


男の精神は崩壊した。ただ叫ぶ。今の彼にはそれしかできなかった。


「君、少しうるさいよ」


――ボキッ――


「うぎゃーーー!」


腕を砕かれ、白目を剥き悲痛の声を上げる。ぶらんと垂れる腕。


「クソーー!!」


目に涙を溜め、悔しくて歯を食いしばる男。


「悔しいか、憎いか、怖いか?」


謎の男がニヤっと笑い、男の顔を覗き見る。


「く、悔しい…… に、憎いぃ!!!」


謎の男を睨む。


「いいよ、いいよ! その目!!! 君にこの力をあげよう」


ポケットから何かのカプセル? を取り出すか謎の男。


「なん……だ?」


「神になる力だよ」


「か……み……?」


「そう神!! これを飲むと君は誰にも負けない力を得られるんだよ!!!」


「ま……まけない」


――ゴクン――


「ぷはぁー やっぱりスイダーはうめぇなぁー」


「本当に、お前それ好きだよな慎太郎」


自動販売機に飲み物を買いに来ていた、翼と慎太郎。


「お前も飲んでみるといいぞ! 毎日そんな苦いコーヒーなんて飲んでないで」


翼が持っていた缶には無糖と書いてあった。


「そんな甘いの飲まされたら、舌がおかしくなるよ」


そう言って無糖コーヒーを開ける。


「あっそ…… ん?」


窓の外を見ていた慎太郎が何かを見つける。


「どうした、慎太郎?」


翼もコーヒーを飲みながら慎太郎が見ている窓に近づく。


「あれ、お前の『EBOL』の娘じゃなかった?」


慎太郎が窓の外に歩いてるロングの金髪の女の子に指を指す。


「本当だ、あんなところで何してるんだ?」


見ると大きな荷物を運んでいるように見えた。場所は、焼却炉の近くぐらいだ。見る限り、一人では到底で運べない量だ。


「はぁー 少し手伝ってくるよ慎太郎」


「分かった。じゃ、先に教室に帰ってるよ翼」


翼はコーヒーを一気に飲み干し階段を下りて行った。


「相変わらずほっとけない奴だな、さっきまで嫌いだなんて言ってたのに…… まぁ、だからお前の友達やってるんだけどな……」


慎太郎もスイダーを飲み干し教室に帰ろうとすると、窓の外にまた何か見つける。


「さて、友達らしいことするか」


慎太郎は教室には行かないで翼の後を追うように階段を下りて行った。


「ふぅー 重たいな……」


荷物を下ろし休憩するエリス。そして大塚先生との会話を思い出す。


『おい、エリスちょっと頼まれてくれないか?』


『私が? 嫌です!』


『まあまあ、そういわずに…… じゃ~ 今日の会議を伸ばした罰で!』


『そんな……』


『あと、荷物けっこう多いから『EBOL』に手伝ってもらえよ』


「冗談じゃない、なんで私が……」


翼のことを思い出すエリス。


――バン――


「く~痛ったぁーい!」


壁を殴った手がジンジンと響く。


「大丈夫か?」


「えぇ、はい、大丈夫です…… 」


すぐに後ろを向き手を隠すエリス。


『今の見られた? あぁ、もう全部あいつのせいよ!』


「手が痛むのか?」


『なんでわかるのよ…… ん?』


手を触り状態を確認しようと近づいてきた瞬間


「気安く触らないで!」


手を振り払うエリス。


「なんだ元気そうだな」


ニコっ笑う翼。


――ドキ――


「や、やっぱりあんただったのね。何しに来たの?」


『何で今、私ドキッとしたのかしら』


「何って、お前が重たそうに運んでるのを見つけて……」


「見つけて…… 何よ?」


「よけろ!!」


「え?」











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