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エモーションハンター  作者: むぺぺ
3/14

生徒会長

「新入生のみなさんは、配置してある椅子にご自由にお座りください」


係員の人から案内のパンフレットを受けとる翼、美里、慎太郎の3人。入るのが最後の方いうこともあったので、後ろの席の方で空いてる席を探し、それから3人とも並んで座った。


「はぁ~ どうにか間に合ったね」



美里が安堵の声をもらす。翼と慎太郎も一息ついていると


---ぱちんっ---


突如、照明の電気がおとされ、少し周りがざわつく。前の壇上の方に光が照らされる。


「これより、清心学園の入学式を始めます!」

 

始まりの音楽とともに再び全体に、光が照らされ一人の女性が入学式の開会を告げた。


「では、まずこの学校の生徒会のみなさんから新入生の皆様にお祝いの言葉を頂きます。では、生徒会のみなさんよろしくお願いします」


「この学園の生徒会だって、どんな人たちだろう!?」

 

美里が、興味津々で壇上の方を見る。


「みっちゃん、妙に興味津々だな。生徒会のなかに好みのタイプがいるのか?」

 

慎太郎が美里をからからう。


「もぅ~ 全然違うよ。いい慎ちゃん! この清心学園の生徒会は、学園でも上位の成績を修めた人しか入れないんだよ。そしてこの学園では、代々一番強い人物が生徒会長になると決まっているのよ。パンフレットにも書いてあったじゃない」


「へぇ~ それじゃ今から出てくる生徒会のなかにこの学園で一番強い生徒会長もいるんだな。それは、気になるな『世界一のエモーションハンター』になる俺の障害になるかもしれない」


 慎太郎もそれなりの興味を示す。


「ツバも、気にならないのか?」

 

慎太郎は、隣にいた翼に声をかける。しかし、翼は俯いたままで返答は返ってこなかった。


「ツバくん、大丈夫?」

 

美里が心配そうに声をかける。


「んぁ、あぁ…… どんな人物なのか俺も気になるぜ、生徒会長」

 

すぐに俯く翼。


「どうしたんだろ? ツバくん」

 

美里が慎太郎に耳打ちする。

「多分、さっきのことで悩んでるんだろう。」


「さっきのこと…… 金髪の女の子に言われたこと?」


「違う違う、ツバはそんなこと気にしないよ。ツバは、『心器』が発動しなかったことに悩んでるだよ」


美里は、翼をもう一度見る。翼は、自分の右手を見ていた。


「ねぇ? 慎ちゃんは、どうしてツバくんの『心器』が発動しないと思う?」


「あぁ、そのことか。俺は思うに……」


慎太郎が言いかけたとき


---パチパチ---


拍手がおきた。そして二人の男と一人の女性が出てきた。


「あれが、生徒会長 ??」


美里は、一番最初に出てきた背が小さい男を見て思わず言葉に出してしまった。すると、後ろから前の男性よりもでかく、服の上か らでも筋肉があるとはっきちわかる男と片手にファイルを持ち眼鏡

をかけた長髪の女が出てきた。


「みっちゃん、違うよ。後ろにいる男が生徒会長だよ。それであの見るからにっていう女性が副会長じゃないかな?」

 

慎太郎は、笑いながら美里に指摘する。すると、慌ててパンフレットを開けて確認していた美里が


「ち、違うよ、慎ちゃん!一番最初に出てきた男の人が『清心学園』の生徒会長だよ!」


「嘘だろ!?」


真意を確かめるために美里からパンフレットを取り、急いで顔を照らし合わせる慎太郎。


「本当だ……」


慎太郎や美里同じ反応を見せたのは周りの新入生も一緒だった。


---ザワザワ、ザワザワ---


会場がざわつく。


そのころ舞台上では、


『おい、なんでいっつも俺らが前に出たらざわつくんだ?』


『それは、あなたの背が小さいからです。 会長!』


『なんで、俺のせいなんだよ!! お前はどう思う? 』


『・・・・・・・・』


『やっ、やっぱり!そっ、そうなんだ俺かっこいいんだ……』


『どうでもいいので、はやく進めてください!!』


『はい、すみません……』


背が一番小さい男がマイクを手に取る。


「みなさん、ご入学おめでとうございます。生徒会長の『清水 心持』と言いま……。」


---ザワザワ、ザワザワ、ザワザワ---


 さらにざわつく会場


『どっ、どうしよう?』


『いつもどおり黙らして下さい。会長』


『やっぱり、あれやらないとダメか?』


『はい、ダメです』


『どっ、どうしても?』


『くどいですよ、会長』


『ですね、すみませんでした』


一番背が小さい男が右手をあげたかと思うと右手に『心器』が発動した。


『ハッ!!』


「なんだ!!」

 

急に背中に悪寒が走り思わず前を見る翼。


「なに、この感じ!?」

 

美里は、手で両肩をおさえている。


「ツバ…… これは本物だぜ」

 

慎太郎は、額に汗をかきながら膝の上でこぶしに握りしめている。


「あぁ…… そうだな。一流のエモーションハンターほど『感情のエネルギー』を使いこなすと言われているが、直に体験したのは始めてだ」


『俺達は、一瞬であいつに感情を支配されたっていうのか、これが一流のエモーションハンター…… 』


壇上の一番小さな男が『心器』を収めると、


「あっ、悪寒が消えた……」

 

美里が両肩の力を抜く。


「あぁ、あいつが『心器』を収めたからな」

 

慎太郎も、ふぅーと力を抜く。


先程までざわついていた会場は、一気に静まった。


「改めて、自己紹介しよう。僕がこの学園の生徒会長『清水 心持』だ。先程は、新入生に『感情』というものはどういものか体験してもらうために少し君たちに『喜・怒・哀・楽』の『怒・哀』にあたる『恐怖』流し込んだ。新入生の皆さんの気分を悪くしてすまなかった。しかし、新入生のみなさんに一つ覚えといてほしい。僕たちが扱うのは『感情』だ。『感情』の強さというのは見かけでは判断できない。だから外見的特徴で決して強さを判断してはならない。そもそも感情というのは……」


「こほんっ!」

 

会長の後ろの方で咳払いがおきた。それに気づいた会長は、後ろを振り返り顔が青ざめた。


「えっとー…… とっ、とりあえずだ。まず一番大事なのは学園生活を楽しむこと!君たちが一流のエモーションハンターになることを心から祈ってるよ」


そう言うと腕を引っ張られながら帰っていった。

 

「えぇーでは、これにて閉会とさせてもらいます。この後、新入生のみなさんはちょっとした検査があるので係員の案内に従って移動してください。」


ぞろぞろと新入生が案内に従って移動していく。


「ねぇ、私たちもも行こー!」


美里の呼び掛けで翼と慎太郎も移動し始める。案内された場所は保健室だった。大きさはちょっとした病院ぐらいあるだろう。


「しかし、この保健室大きいな」

 

慎太郎が上を見上げながら言う。


「まぁ、もはや病院という大きさだけどね。最新のエモーションハンター用の治療室もあるみたいだし……」


「そういや、美里のおじさん、おばさんエモーションハンター医者だったな。どこで働いてるんだ?」

 

と翼が美里に聞く。


「いやぁ~それが……」


美里が、少し苦い顔をしたとき


「みっちゃ~ん!」


誰かがこっちに向かって、手を振っている。


「おい…… あれって美里、お前のおじさん、おばさん………」


翼が確認するために美里に聞こうとしたが、もうそこには美里の姿がなかった。


「お母さん、お父さんみんなの前で、みっちゃんは止めてって言ってるじゃない!」


「あら、慎太郎くんは、みっちゃんって言ってるじゃない」


「友達と親は、別! 親に言われると恥ずかしいの!!」


「分かった、分かった。あらツバちゃんお久しぶり! いつもみっちゃんがお世話になってるね」


「おばさん、お久しぶりです。えっとー…… 美里のおばさん、おじさんがなんでここに?」


「おぉー! ツバくんか大きくなったね。実はな、今日からここで働くことになったんだ! まぁ、親からしてみては娘の成長を近くに見られることになって嬉しい限りなんだがな。ハッハッハッ」


「もぉーお父さんも止めてよ! ごめんねぇ、こんな親で」


そう言いながらも美里は笑顔だ。


「相変わらず、美里の家族はみんな仲がいいな。家族が仲がいいのはうらやましいよ」

 

慎太郎が隣にいる翼に言う。


「そう思うんだったら少しは家に帰ってみることだな慎太郎」


「冗談きついぜ、翼。あんな息が詰まるところ、もうまっぴらごめんだぜ」

 

慎太郎は手を振って拒否した。


「慎太郎君、ツバ君! 二人ともおじさんたちが検査してあげるからこっちに来なさい」

 

美里のお父さんに呼ばれる二人。


「美里のお父さん、検査って具体的に何するの?」



 

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