ラジオデイズ
中学生のころ
毎晩決まった時間に
ラジオを聴いていた
DJはいつも僕らの味方で
カッコイイ音楽と笑える下ネタ
くだらないことが
とんでもなく
面白かった
ニューヨークから生放送のときは
「これがニューヨークの空気だよ」
と窓を開ける音が聴こえた
ふわっと風を感じた
遠くに人の声(英語で)車のクラクションが聴こえて
自分もニューヨークにいるような気分になれた
毎日を無難に過ごすことだけに
未熟な神経を強張らせていたあの頃
秘密基地に集合したような
特別な面白さが唯一の宝だった
高校卒業間近のとき
DJは番組の終わりを宣言した
理由はわからない
「君のような人に出会えてよかった」
DJは言葉を詰まらせながら
最後の最後に泣いた
僕も泣いた
声を上げて泣いた
今もラジオを聴いている
あの頃のようなラジオを
もう一度聴きたくて