表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とある貴族の人形遣い (仮)  作者: 涼坂 九羅
3章 焔とともに幕が開く
PR
33/37

33話 迎えが遅いのだが?

「水無瀬…ですか」


 アリサに夢の中で『水無瀬』なる人物に出会ったことを告げると、彼女は苦虫を噛み潰した様な表情を見せた。


『水無瀬』とは、どんな家なのだろうか?


 あ…俺の着替えは、宿の従業員さんが用意してくれた。

 なんか、忙しそうだったな…俺達が来た意外で、何かあったのだろうか?


 因みに、ポチは未だ爆睡中で、赤城は読書(夜通し読書かよ!!)、サヤカは別室で治療中(かなり酷い怪我だったので納得)である。


 アリサは『私も詳しくは知らないのですが…』と、前置きして話しだした。


「以前、修行でご紹介したと思いますが、我が家と同じ七大貴族の一家です。

 歴史は『水無瀬』の方が古く、その家名が歴史に出始めたのは『戦国時代』より前だとか…

 その《家伝》は、異国の魔法・・をベースに、独自のアレンジを加えた『幻術』…

 月村家が『人形遣い』の家柄だとすると、水無瀬は『幻術師』の家柄と呼べるでしょう」


 …なんとなく思ったのだが、

 この世界には王道の《魔法使い》は居ないのだろうか?


『人形遣い』とか『幻術師』とか…

 確かにファンタジーだけど、なんか王道の『魔法使い』じゃ無いよな…


『パペットワーク』も『夢幻廻廊』も十分ファンタジーだけどさ。

 なんかこう、《ファイヤーボール》とか《ヒール》とかさ、そういった魔法は無いのかな?

『人形遣い』でも満足してはいるけど、やっぱり王道には憧れるというかさ…


 多分、『日恵野』の魔法も違うと思うしな。


 俺の思考がだだ漏れのため、アリサが凄く不思議そうな顔をしている。


「ふぁいやーぼーる? 火の玉…ですか?

 …私の情報が正しければ、《火鳥家》が焔を用いた魔法を使うらしいですが…」


 マジでか?

 火鳥には王道の魔法が存在するのか!?


 そういえば、他家の魔法を俺が使うのは可能なのだろうか?

 もし、使えるのなら王道を体験させてもらおう。


「…アリサは、マスターの将来に一抹の不安を覚えざる負えません…」


 やばい。

 アリサを心配させたくは無いから、この思考は一旦中止だな。

 そうだ、ついでだから聞いておこうか…


「日恵野家は、『人形遣い』とか『幻術師』とか、そういったので何て呼ばれてる?」


 アリサは即答した。


「日恵野は『魔祓い師』と呼ばれております。

 日恵野に関しては少々複雑で、本来の家伝が失われた・・・・ことにより、戦国時代に確立された対魔法使い用の魔法が《家伝》となった様です。

 それ故に、日恵野家は《対魔法使い戦特化型の魔法使い》と呼ばれています。

 夜守を倒した日恵野の動きは、マスターもご覧になられましたね?

 あの、日恵野静という男は、武人戦にも精通し、政治的面にも優れ、ルックスも…まぁ良い方で、評判も良いので、現在、勢力争いにおいて最有力候補とよばれています。全く、腹が立ちますが…」


『魔祓い師』ときたか…

 つまり、『エクソシスト』か?


 つーか、『魔祓い師』は『魔法使い』のカテゴリーに入れていいのか?

 だって、魔法を『祓う』側の人間だろ?

 普通、敵対関係とかそういう存在じゃん。


 アリサに聞くと、


「日恵野は、その『祓う力』を確立させ、戦国時代成り上がった家系です」


 だ、そうだ。



 夜守の屋敷を外から見ながら、溜め息をついた。

 屋敷の中では、静の知らない『委員』が忙しなく働いていることだろう…


 結局、撤退作業と事後処理で徹夜してしまった。

 レイジ君達を待たせている事実に罪悪感が刺激される。


 とはいえ、彼の母親に待っていてくれと言われている以上、待つしか無い。

 月村美夜子に、そう言われて静は律儀に待っているのだ。


 時刻は、朝6時くらいか。

 お腹が空きましたね…


 隣を見ると、大樹がパンをかじっていた。


「やらんぞ」


 見ただけで、そんなことを言われるとは…不本意ですね…

 ただ、美味しそうだと思っただけなのに…分けてもらおうなど、一かけらも思っていないのに…


 空腹をごまかす為、話相手になって欲しかっただけだのに……


「…静、今更だが俺達は何時まで待てばいいんだ?

 俺は、夜守の身柄も奪われて、少々不機嫌なんだが」


 実質、僕たちは追い出された形ですからね。

 詳しいことは聞かされていないし、教えてもくれないでしょう。

 夜守の身柄も、後から来た『委員』に引き渡しました。


 大樹は俺の頼みで、わざわざ同行してもらっています。

 しかし、このままだと、何も無さ過ぎて流石に悪い気がしますね…


 今度、飯でも奢りますか…


 そんなことを考えていると大樹に睨まれました。


「…この借りを、飯でも奢って返そうとして無いか?

 …勘弁してくれ

 そういうのは、可愛らしい女の子を誘って行け。

 何が悲しくて、お前の『おすすめの店』に、男二人で入らねばならんのだ…っけ!!」


 なんで、ここまで拒否されているのでしょう?

 この前、誕生日に連れて行った、『レストラン』は味が合わなかったのだろうか?

 僕は、『西欧料理』も、あの『雰囲気』も好きなのだが…残念です。


「付き合い長いから、考えていることは解るがな…

 静、お前、少しズレてんだよな」


「ズレているとは心外だな」


「で、何時まで待てばいい?」


 おっと、そうですね…


「もうすぐ終わるでしょう。

 月村美夜子は、『委員会』の人間ではありませんし。

 あくまで『月村家』の人間として、『月村の家伝』における『重要機密』とやらの関係で屋敷に残っているのでしょうし…

 先程、委員会幹部の一人、『月村大悟』が屋敷に入りましたからね…

 引き継ぎをしたら出て来るのではないでしょうか?」


「…そうか、さっさとして欲しいな」


「ですね…」


 僕たち二人に近付く人間が多数。

 全員、『新聞記者』だろうか?

 本当に、何処から情報が漏れたのですかね?


「仕方ないです、あしらいますよ」


 僕は、彼等と向き合った。



 日恵野がやって来たのは、10時を回った頃だった。

 どんだけ待たすんだよ、おい。


 日恵野とともに部屋に入って来たのは、日恵野より背の高い大柄な男と、体中を包帯で巻かれたサヤカさん、そして…


「レ・イ・ジーーーーーーーーーーーーー!!!」


 抱きつかれた、凄い久しぶりだな、おい。

 入って来たのは、我が母君、月村美夜子様だった。


 別に怒ってないが、お迎え遅いぞ…

 まぁ、前世の母は、もっと酷かったがな。


 ハッスルし過ぎて、息子の存在忘れるなよ?


「レイジーーーーー!!

 良く頑張ったわね♪

 私も鼻が高いわ、流石、私のレイジ♪」


 スリスリ…


 スリスリ、すんな!!


 母様は、後ろに居る赤城に視線を向けると。

 ニッコリと笑った。


「貴男が、赤城さん・・・・ね?」


 なんで、名前を知っているんだ?

 日恵野と目が合う…奴は困った様な顔をしていた…

 なるほど、コイツが説明したのか。


 赤城は立ち上がると、恭しく母に向けて一礼した。


「はい、お初に・・・お目にかかります。

 私が、赤城です」


 母様の笑みは崩れない。

 赤城のことを、母様は何処まで説明されているのだろうか?

 もし、単なる誘拐犯として説明されていたら…赤城グッバイ!!


「貴男と、貴男の仲間の仕事がなんだったのかは追求しません。

 ですが、今、貴男方に、雇い主はいますか?」


 赤城は即答した。


「いえ、今我々に『雇い主』はいません。

 前の雇い主・・・・・が誰だったのかは言えませんが、今現在、求職中です」


 母様は和やかに頷いた。

 その後の言葉にアリサは絶句する…


「そう、なら、私に雇われて下されない?

 月村の屋敷を勝手に見られた以上、放置する訳にはいけないのよね…」


「御待ち下さい奥様!!

 放置する訳にはならないのは解りますが、なにも雇う必要は…」


 母様はアリサの方に顔を向ける、笑みではあったが有無を言わせないモノを宿していた。


「アリサ?

 この方々は、曲がり形にも、レイジの命の恩人ですよ?

 たとえ、今回の原因を作った張本人だとしても…です」


 母様の理屈は、言うのはアレだが変だ。

 しかし、それを指摘しても俺達にはどうしようも無いのでは無いか?……と、思っている。だから、俺は口出ししなかったのだ。


 だから…アリサ、少し下がってくれ。


 アリサは俺の方を見ると、赤城を睨み、俺の後ろに下がった。

 母様はそれを見届けると、俺に頷いて改めて赤城に問う。


「それで、雇われて下さりますか?

 勿論、裏切りは死を意味しますよ?」


 赤城の即答が、芝居臭かった。


「勿論、存じております。

 これより、よろしく御願い致します」


 ちらりと見た日恵野の顔が、苦笑いだったのが気になったが…どうでもいいか。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ